埋物の庭

埋物の庭

街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

はにわ通信 第12号「放送大学 初めての学期を終えて」

f:id:haniwakai:20220226001024j:plain

学生証うp、やってみたかった

こんにちはいそのです。

今までブログに書いていなかったことを告白します。

 

・・・実は私は2021年10月から放送大学で学生をしております。はい。

18歳のときに入学した大学を4年で卒業して、それから就職して、また働きながら大学生を始めたわけです。

 

一度目の大学のときは哲学専攻・宗教学コースでした。今回は「人間と文化コース」で主に文学を学んでいます。え?ほとんど変わらない?バカヤロー、文学が学びたくなったんだ!(←同人誌のだいなもくんの口調を真似したかった)

 

2021年度第2学期に履修した科目は2つでした。

 

f:id:haniwakai:20220226224124p:plain

 

f:id:haniwakai:20220226224229p:plain

 

世界文学への招待('16)

「世界文学への招待('16)」はシラバスを読んで知らない国や言葉の文学(現代アラブ文学、クレオール語の文学etc)、興味深い切り口(アメリカ文学と戦争・都市と文学etc)に惹かれて受講しました。

 

これが大当たりで実におもしろかった。

世界文学を読むことは時間と空間を超えた旅で、気軽に海外旅行のできない今こそ読んでいきたいと思いました。

また文学作品は他者への共感を可能にする有効な手段というのも納得で、たとえばアメリカ文学を読んで戦争について考えたり、パレスチナ文学を読んで難民の人の気持ちを知ることができるわけです。

悲しいことに今週24日ロシアがウクライナに侵攻してしまいましたが、もしプーチン氏が世界文学を読んでいれば、少なくとも隣国ウクライナ文学を読んでいればこのようなことは起こらなかったのではないかと思ってしまいます。

 

ヨーロッパ文学の読み方ー近代篇('19)

「ヨーロッパ文学の読み方ー近代篇('19)」は野崎歓教授(フランス文学)が主任講師ということでぜひ受講したいと思いました。

東京大学教養学部が出している『教養のためのブックガイド』という読書案内の本があり、野崎先生はそこで「読む快楽と技術」という文章を書いています。私はこれを読んでもっと知りたいな文学のこと、読みたいな文学作品という気持ちになったのでした。

 

 

全15回の講義はスペイン・イギリス・ドイツ・フランス・ロシア・アメリカを代表する文学作品を取り上げる授業で、大変聴き応えがありました。

 

オーソドックスな文学講義なんて退屈そうと思われる方もいるかもしれませんが、大橋洋一教授(英文学)の熱い語り口、沼野充義教授(ロシア・ポーランド文学)の自由な読み方は知的好奇心を大いに刺激します。

 

単位認定試験ではロシア文学チェーホフの戯曲『かもめ』を読んで、「『かもめ』は悲劇か喜劇か」というテーマでレポートを書きました。私としてはニーナの喜劇ととらえることができると思っています。

 

ドストエフスキートルストイはこれまで読んできたのですが、チェーホフは読んだことがなく、授業で興味を持ちました。実際読み始めるとはちゃめちゃにおもしろく、気がついたら明け方になっていてその日は仕事を休みました。登場人物の語りの魅力、予想のできない展開、多くの謎とすべて語られていない物語。魅力がありすぎる。

 

戯曲3部作はどれも1冊で手が出しやすいです。

 

 

『ワーニャ伯父さん』は映画『ドライブ・マイ・カー』の作中劇ですね。

 

 

 

短編集も素晴らしく、それもそのはずチェーホフは生涯で1000編もの短編を書いている短編の名手なのです。読書体験の原点が星新一ショートショートにある私としてはこのうえない喜びです。

 

表題作「馬のような名字」は電車のなかで読んではいけない

 

というわけで初めての学期を終えました。

単位も無事認定されておりました。

 

f:id:haniwakai:20220225010434p:plain

 

来期の授業、今後の読書が楽しみです。

はにわ通信 第11号「アニメ平家物語(のはずが脱線しまくり)」

みなさん、ごきげんよう
島鉄です。

いきなりですけど、みなさま源平伝NEOって、知ってますか??

あ、はい。知らないですよね。アニメ化もできず、小説も未完ですしね。

そーですよね。下手したら今から約四半世紀前ですもんね。

90年代メディアミックス王(勝手に命名)であらせられるあかほりさとる氏の力をもってしても源平期ブームは起こせませんでした。

 

しかし時は令和、大河ドラマでは『鎌倉殿の13人』
アニメでは平家物語

www.nhk.or.jp

heike-anime.asmik-ace.co.jp


が絶賛放送中

そう……!いまや大中世ブームなのです!!

え?日本史は戦国時代と幕末しか興味がない??
それはもったいない!!

日本史はどの時代も興味深いですが、戦国・幕末と比べて地味〜なイメージの源平期も面白い時代なのですよ。


えー、ここまで書いて勘のいい人ならピンとくるかもしれませんが、絶賛放送中の『平家物語』についての感想というか、雑記です。

あ、冒頭書いた源平伝NEOは歴史ものではなく異能力バトルです。
誰が敵で誰が味方か分からない感じは中世チックでよいです。

 

アニメ『平家物語』とは?


キャラクター原案が高野文子さん。
もう、この時点で私は「えっ?!」と惹かれてしまいました。
この権威主義者!と罵られてしまいそうですが、私は高野先生の短編集が好きなんです。

 

 

個人的には『絶対安全剃刀』に収録されている「田辺のつる」、という話が好きです。
私の親が介護職だからというのもありますが、自分のことを幼い少女だと思っているおばあちゃん(=ツル)が主人公として登場します。義娘(嫁)や息子、孫から疎んじられながらも、年齢を超越した少女性を見せるツル。他人(読者目線)なら可愛いおばあちゃん、なのですが身内ともなると反応は違ってきますよね。


なかなか開けようとしない孫の部屋のドアをノックして、先程まで子供帰りしていたツルが、それまでの人生(結婚、育児、夫の自殺未遂……)で経験したことを思い出しながら呼びかける一コマはグッときます。


閑話休題

 

「800年の祈りの物語」、というコピーも秀逸ですし、国語の授業中ヒマすぎて国語便覧に並ぶ装束や王朝文学・戦記に思いを馳せていた学生時代を思い出します。

ああ、『平家物語』がアニメ化*1されたらどんなふうになるのかしらん。

ちなみに原作は古川 日出男氏訳の河出書房新社刊行『平家物語』です。

www6.nhk.or.jp

 

好きなポイントと主人公


とゆーわけでアニメ『平家物語』には期待しつつ、裏切られたらどーしよー、とゆー恐怖を抱き、ある程度話が進んだ時点で(小心者)視聴しました。

 

……まずオープニング曲と話がリンクするの、卑怯すぎません??
こんなの好きになりますよ!!少なくとも私は。

 


www.youtube.com

 

少し溜めて流れるサビ。ボルテージの上がる曲調はもちろんのこと、歌詞がよい。

“何回だって言うよ、世界は美しいよ 君がそれを諦めないからだよ”

”最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても、今だけはここにあるよ”

 

時代に翻弄される登場人物たち、現代人として結末を知っている悲哀な物語、しかし現代にいたるまでその物語が連綿と語り継がれている事実……。

過去がどうあれ、未来が暗くとも今、この時はたしかに存在している……。

 

このお話の主人公はオリジナルキャラクターの琵琶法師の娘*2びわです。


f:id:haniwakai:20220217013119j:image

元々の『平家物語』は作者不詳。12世紀末、後鳥羽院の治世に信濃前司行長なる僧侶が書いた、とも言われています*3

なかでも「語り本」とよばれるものは琵琶法師による平曲*4、平家鎮魂の唄かつ源平合戦のオーラル・ヒストリーです。

この主人公、びわオッドアイ右眼のみで対象を見ることで未来(さき)のことが分かります。

……!?!?!

未来のことが見える眼……というのは突拍子もない設定のように思えますが、つまりは現代に生きる源平合戦の行く末を知る私たちの視点に限りなく近いわけです。


f:id:haniwakai:20220217013133j:image

現在五話まで視聴したのですが、「いつ死ぬかなー」と思っていた推しキャラの平重盛が四話で退場。
権勢を誇る平家(=清盛一門の伊勢平氏)とそれを疎んじる朝廷、間に挟まれて苦労する平家の次期棟梁たる重盛……。
まさしく中世の武家政権発足の転換期を象徴するのが、この時代。

 

時代(と実の父)に翻弄される重盛はただただ可哀想。中間管理職の悲哀といいますか、父清盛と血筋のいい弟の宗盛、朝廷を代表する後白河法皇の間に立たされるのはキツいですよね。胃が痛くなりそう。


史実と少し異なるところも『平家物語』にはあるのですが、スタンスとしては驕る平家代表が清盛、良心的平家代表が重盛となっています。


f:id:haniwakai:20220217023625j:image

一方、父を平家に斬られながらも、重盛の下で暮らす主人公、びわ。重盛の子供らと遊びながら、琵琶を用いた語りシーンも交えて淡々と諸行無常の中世の世界観を現代に伝えてくれます。


f:id:haniwakai:20220217023646j:image

また、「桜、蛍、紅葉、厳島神社で水に遊ぶ」……と場面で季節のうつろい、時代が徐々に変化していくさまが分かるのも、このアニメの魅力です。美しい絵巻物のよう。


f:id:haniwakai:20220217023655j:image

もっとも、成長していく他の人物と異なり、びわの姿は変わりません。ここも気になるポイントですね。


f:id:haniwakai:20220217023720j:image

 

徳子を通じて描かれる世界


藤原家が天皇外戚として権勢をものにしたように、清盛も娘である徳子を入内させ、天皇外戚として権力を握ろうとします。

 

劇中で、徳子は”びわ“が姉のように、母のように慕う聡明な女性として描かれています。
徳子の「お父様は私のことを駒としてしか見ていない」という台詞で漫画『応天の門』の藤原高子が基経に反発するシーンを思い出しました。


外戚政治に嫌気が差す女性側の反発といえますね。
また史実はどうあれ『平家物語』で入内した徳子と高倉天皇との間になかなか子ができず、徳子が子を授かっても天皇は側室の子を可愛がる、など二人のすれ違う場面が描かれます。


f:id:haniwakai:20220217013314j:image

幼いびわに向かって「私は、許して、ゆるして、ゆるすの」とその苦しみを吐露する徳子。


f:id:haniwakai:20220217013327j:image

高倉天皇には安息の場所が必要であることを理解している聡い徳子は、それ故に苦しみながらも、父清盛や後白河法皇も含めて許そうと自分に言い聞かせるように話します。苦しみで満ちているこの世界……でも美しい。

 

平家物語』では屋島の戦いの後、「波の下にも都はございますよ」と亡き清盛の妻である時子が語りかけ、幼帝安徳天皇は入水し、徳子もそれに続きます……。

 

作品中の人物では、びわ以外誰もその運命を知りません。

もう現代人たる私としては先の重盛がいつ死ぬのかハラハラしてましたし、後の安徳天皇が「あぶー」とか遊んでる時点で(死なないで……!)と思ってしまうわけです。

 

ちなみに徳子は入水するも救われ、後に出家しています。『平家物語』では終巻にて徳子を後白河法皇が訪ねる場面も。

 

徳子のみならず、陽気に今様を謡いつつも策を練る後白河法皇や、平家打倒を企てたため流刑され一人だけ許されなかった僧俊寛


f:id:haniwakai:20220217013405j:image

 

初めての戦に震える重盛の息子・維盛


f:id:haniwakai:20220217013431j:image

f:id:haniwakai:20220217013421j:image

など様々な人物の思い、視点が交差する群像劇であることも、アニメ『平家物語』の推しポイントです。

 

鎮魂、そして語り継がれる物語

まだ五話までしか視聴していないにもかかわらず、大層な見出しをつけてしまいました*5。でもまあ、『平家物語』が現代まで残っていることは事実です。

 

平家物語』には歴史を伝えるというだけでなく、滅びた平家鎮魂*6のため作られた側面があります。

kusanomido.com

そして山田氏はこのように述べる。

国家にとって『怨霊』が重要な位置を占めていたのは中世までであり、近世以降は民衆の中で恐れられるにとどまった。そして、怨霊が神とされるのは、十世紀以降の菅原道真以降のことである。

『慰霊』は怨親平等思想の拡大とともに鎌倉時代より盛んとなり、室町時代には施餓鬼と結びついて戦乱で亡くなった大量の人の供養が行われた。

以上の2点の指摘を考慮すれば、「平家物語」が成立したとされる時期は、ちょうどまさに「怨霊思想」と「怨親平等思想」のクロスする時代であることがわかる。

仮に「平家物語」の成立に慈円が関わったとして、慈円やその周囲の者の胸中にあったのは「怨霊思想」と「怨親平等思想」のどちらなのか。いやもしくは、その両方であったのだろうか。なかなか難しい問題である。

日本三大怨霊といえば、前述の無念の大宰府左遷となった菅公首塚が未だに恐れられている平将門、武士の台頭を象徴する戦いである保元の乱に敗れた崇徳上皇*7ですね。

 

三大怨霊は神として祀られ、畏れられていました。と同時に「怨親平等思想」があったからこそ、敵方であっても語り継がれた側面もあります。

が、前掲のブログにもあるように時代が下るにつれ、怨霊が畏祀られることは少なくなりました。

中世人は寺院から呪詛を唱えられることを本気で恐れていたのですが、改名するという対抗策を編み出したりしています。

徐々に”まじない“を畏れる意識が希薄化したのですね。

president.jp

アニメ『平家物語』でも強訴する山坊主の神輿に矢を射るな、というセリフがありました。結局命令むなしく神輿に矢が刺さるのですが、その後重盛邸は炎上しており、重盛は神輿に矢を射た罰かとつぶやいています。

この場面は中世人らしいなあ、なんて見ていました。日本史の教科書通りですが、坊さんが神輿を担いで京に降りてくるのは、神仏習合の象徴でニンマリ(全然微笑ましくない場面ですが)してしまいます。

 

さて、では「平家鎮魂(畏れ)」という意識が薄まっていく中でなぜ『平家物語』は時を越えて語り継がれたのでしょうか?

もちろん明確な解があるわけではないですが、私は時代を超越する普遍的な「我々の生きる世界の無常を思い知らされる」要素があったからではないかと思います。

語り継ぐ琵琶法師の存在も大きいです*8

 

天災や戦災は必ず起き、とかく日常はもろく移ろいやすいもので、凡百の庶民から栄華を極める者まですべて等しく時代という大きな流れの前には無力である……。

現代でいうと、コロナウイルスは先進国も途上国も関係なく猛威を振るっています。

 

変異株の登場でワクチンのブースター接種に急ぐ先進国のエゴと、そもそも未接種の途上国、緊迫したウクライナ情勢と平和の祭典たる五輪……現代のニュースを見聞きするだけでも、先のことは分からないので人は翻弄される、と痛感します。

 

先のことについて、アニメ『平家物語』第二話「娑婆の栄華は夢のゆめ」では、びわ白拍子祇王との会話で語られています。


f:id:haniwakai:20220217013548j:image

「いつか、というのは、いい言葉だな。明日、明後日さきのことが楽しみになるの」(中略)「また今度、もいい言葉ね」


f:id:haniwakai:20220217013558j:image

 

先のこと、を考えると未来に希望が持てる時もあります。

 

一方、徳子の入内で「壇ノ浦の結末」を思い出したびわは徳子を引き留めようとします。

「これからだって会えなくなるわけじゃない。また今度、ね」

と優しく諭す徳子。しかし、びわの目に映るのは激しい潮と、海に沈む徳子の姿でした。また今度、はないかもしれないのです。

 

ここでOP曲の歌詞が頭をよぎります。

“いつか巡ってまた会おうよ 最終回のその後も 誰かが君と生きた記憶を語り継ぐでしょう”

”いつか笑ってまた会おうよ 永遠なんてないとしたら この最悪な時代もきっと続かないでしょう“

 

アニメ『平家物語』の無常観と連綿と語り継がれる物語の重要さ、がこのシーンに詰まっているように思えました。

病の流行、悲惨な二度の世界大戦、関東・阪神・東日本を襲った大震災も多くの命を落とした人がいる中で、生きのびた人がそれを語り、現代に続いています。

多くの人々はまたいつか、を信じて今日も生きているのです。

 

まとまっていないまとめ

散々引用している(JA○RACに睨まれないかな)OP曲「光るとき」の歌詞ですが最後に
”君たちはありあまる奇跡を駆け抜けて今をゆく”
とあります。
 
中世人の価値観は現代人と異なるのですが、物語の中で今に通ずる普遍的な部分があるゆえに語り継がれ、時代に翻弄され散っていった者たちもそのお陰で現代にいたるまで物語の中に生きています。
それはこの時代を生きる私たちもそうなのでしょう。私たちは等しく歴史的存在です。
そして、今この場所にちっぽけでも私たちが存在しているのは奇跡的なことなのです。
 
少し触れるつもりが長々と書き連ねてしまいました。
この文が800年後も残っているわけはないと思いますが(ログインできなくなったmixi日記を消し去りたいです)、時代に埋もれてしまうものを掬いとって受け継ぎたいものです。

f:id:haniwakai:20220217023756j:image
重盛は闇を恐れ、びわは未来(さき)を恐れました。重盛はびわに「闇も未来(さき)も恐ろしくとも……今この時は、美しいの」と語りかけます。
 
冬はその静けさ、活動する生物も減ることから死に近い印象を受けます。しかし、必ず春は巡ってきます。そして雪景色は美しい。
 
たとえ今は苦しくとも、いつか良い日が来ることを祈って、これからを生きていきましょう。
 
 
……あと全然関係ないですが、最近『平家物語』視聴と同時並行で『賭博黙示録カイジ』(限定じゃんけん、鉄骨渡り、Eカードでおなじみ)を読み返しているのですが、こちらは「勝たなきゃゴミ」という非情さがちりばめられているため、脳内が混乱しています。
 
いや、でも鉄骨渡りで「人は勝たなきゃ嘘だ・・・・!俺は敗れた……」と1,000万円のチケットをカイジに託した石田さんに
石田さんは立派に達した・・・・!決して・・・・・・・・決して無駄な人生なんかじゃないっ・・・・!(中略)石田さんの人生は負けじゃない
って言ってたし、人生も単純な勝ち負けではないですよね。
 
あれ?なんの話でしたっけ。
 
とにかく!これからも語り継いでいきましょう、あの時代に確かに存在した者たちの思い、無念、教えを……。
そして、平穏無事な明日を迎えられますように。

f:id:haniwakai:20220217013904j:image
おちゃめな後白河法皇、すき
 
島鉄

*1:映像化自体は大河ドラマあり

*2:でも水干姿で男の子の格好をしている……なんかピンポイントで私の好きなものを狙い撃ちしてる?

*3:吉田兼好徒然草』による。真偽は定かではないです

*4:弾き語りのこと

*5:記事公開時点で六話「都遷り」が関東・近畿広域圏で放送されています

*6:引用のブログでは平家鎮魂も包摂した怨親平等の物語と解釈されています

*7:この戦いで源義朝平清盛が有名になりますが、のちに起きた平治の乱の結果、平家一門が隆盛を極めます。うーん諸行無常

*8:人気演目だから残っている、という側面もあるでしょうけど

はにわ通信 第10号「奥山由之の写真」

写真集『BACON ICE CREAM』を買って読んだ。

代官山の蔦屋書店に特設コーナーが設置されていたのだ。今度新しい写真集が出るらしい。

 

 

著者の奥山由之は映像作家でもある。

米津玄師の「感電」や星野源の「想像」などのMVのほか、ポカリスエットのCMなどを手掛けている。見たことがある人は多いのでは。

 

 

 

 



 

2020年代の文化のなかでこの人の存在はとても大きい。

フィルムの淡い色調やカラフルでポップな色遣いはとにかく映えてエモいし、一度見たら忘れることのできない強い印象を与える。

 

『BACON ICE CREAM』は2015年に出版された。

この写真集からいまのMVにつながる彼の作家性を感じる。

 

色の美しさや光の明暗へのまなざしの鋭さに驚く。

長時間露光で描かれる抽象的な光の軌跡、闇の中でストロボに照らせされて浮かび上がる物の形と色。

 

タイトルになっているBACON ICE CREAMは、表紙の写真のことだろう。

丸くて白いアイスクリームのように見える雲と、四角くて紅白のグラデーションのあるベーコンのように見える光の軌跡。

 

私はこれまで写真に情報や意味をもたせようとして撮っていたけれど、そうでないあり方もあるのだと気づかされた。実際本人はこの本についてインタビューで次のように語っている。

 

何万枚もの写真をネガからプリントし、部屋中の壁に貼って毎日見て、言葉が浮かび上がるものは外していった。

 


言語を超えた感性に訴える写真表現の可能性を探っていきたい。

 

ポンペイ 埋物の都市

上野の東京国立博物館ポンペイ展を観た。

 

 

イタリアのナポリ近郊のポンペイは、ヴェスヴィオ火山の噴火によって地中に埋もれてしまったローマの古代都市。

埋没しているのでこのブログ「埋物の庭」で取り上げるにはピッタリだ。

 

ちなみにヴェスヴィオ火山のあるナポリは、桜島のある鹿児島市姉妹都市の関係にある。

 

鹿児島に旅行に行ったときナポリ通りがあって、不思議に思い調べて知った。

 

姉妹都市は地理や文化の似ている都市同士が結んでいて、意外な組み合わせがあったりするので旅行中はチェックすることにしている。


f:id:haniwakai:20220204141323j:image

トーハクの裏

 

さて、展示は噴火の瞬間存在していた物がそのまま残されているので、当時のパンとか残っていて感動した。


f:id:haniwakai:20220204133744j:image

 

裕福な人の家にはフレスコ画やモザイク画が飾ってあって、なかにはパンの絵もあった。

当時の人が生活のなかで見て絵にしたものと同じものを実際に自分も見ることができるのはおもしろい。


f:id:haniwakai:20220204134043j:image

 

猛犬注意の絵を見て現代日本と変わらないと思ったり。


f:id:haniwakai:20220204104839j:image

 

モザイク画は小さいタイルなどを貼って作られている。精緻で美しい。

 

ナイル川の風景を描いた絵のなかのカバが気に入った。ディズニーアニメに出てきそうなかわいさだ。

 

f:id:haniwakai:20220204134450j:image

 

肌の色の表現が興味深い。ピンク、オレンジ、赤のタイルと色を少しずつ変えて表現されていて、ピクセルアートと同じやり方なのだ。

古代ローマに転生したらモザイク画職人を目指すことにしたい。

 

(今回の記事はスマホで書いてみました)

 

京都の思い出

はじめに

先週文学フリマ京都(2022/1/16)に行ってきたので報告です。後半は街歩き記事です。

 

第六回文学フリマ京都(2022/1/16)

文学フリマ京都、とても楽しかったです!

やっぱりイベントはいいですね。書き手と読み手が直接話すことのできる空間って素晴らしい。

 

f:id:haniwakai:20220123213102j:plain

ブースの様子

 

サークルはにわ会としては2回目のイベントでした。

巻を重ねるごとに内容もDTPも上達しているはず。

 

会場では表紙がかなり重要なので毎度デザイン担当の同期に感謝です。

今回は印刷で表紙をマット加工にしたらいいかんじになりました。

 

 

他のサークルも回れて、おもしろい同人誌をたくさんゲットできました。

 

阪大のSF研や感傷マゾ研の本がめっちゃ刺さりました。

詩歌集も充実してて、阿波野巧也さんの『百日百首』も楽しいです。

 

f:id:haniwakai:20220123212523j:plain

戦利品

 

文学フリマは次回が2月に広島で、5月に東京という予定のようです。

開催できるのか心配ですが、また参加したいです。

 

京都観光

今回は和楽庵さんというゲストハウスに泊まりました。

なんと築130年の古民家です。

日本家屋なので廊下が激寒でしたが、サービスが行き届いていて大変居心地がよかったです。

 

f:id:haniwakai:20220123211038j:plain

 

 

文フリの会場はみやこメッセで宿もその近くです。

このあたり岡崎の界隈は来たことがなかったのですが寺社に加えて近代の歴史的建造物もたくさんあって気に入りました。

 

https://kyoto-okazaki.jp/images/about/map.jpg

京都岡崎コンシェルジュHPより

 

f:id:haniwakai:20220123222357j:plain

平安神宮の大鳥居

 

京都市京セラ美術館

 

f:id:haniwakai:20220123215206j:plain

正面入口

 

2020年にリニューアルして京都市美術館から京都市京セラ美術館になりました。

改修でかつての地下が入り口になっています。谷底に降りるようで楽しい巧みな設計です。

 

f:id:haniwakai:20220123215831j:plain

 

新設のカフェでは美味しいコーヒーとスイーツが食べられます。

 

f:id:haniwakai:20220123215903j:plain

 

中央ホール。階段がかわいい。

 

f:id:haniwakai:20220123215929j:plain

 

かっこいい階段。

 

f:id:haniwakai:20220123215952j:plain

 

灯りもいいんだな。

 

ちなみにこの本を読んでから行ったので楽しさ倍増でした。おすすめです。

 

 

永観堂禅林寺

 

f:id:haniwakai:20220123221227j:plain

 

禅林寺哲学の道の近くにあります。

自転車でぶらぶらしているときに山の上に塔が見えたので行ってみました。

 

山上の多宝塔には歩いて登ることができます。

 

f:id:haniwakai:20220123221329j:plain

眺望

 

寺院内は歩いていると気持ちがよくなるような美しさです。

 

f:id:haniwakai:20220123221607j:plain

 

なにを撮っても絵になります。

 

f:id:haniwakai:20220123221916j:plain

 

おわりに

旅行っていいものだなとしみじみ思いました。楽しかったなー。

しばらくどこにも行くことができなそうなので、この思い出を胸に春を待ちます。

 

f:id:haniwakai:20220123222710j:plain

京都タワー

 

《同人誌告知企画④》Discover 西の方~愛媛県内編~

いよいよ……!

明日……1/16は
















の時間だあああああ!!!!!!(しつこい)

bunfree.net
はい。本日は京都市左京区にある、京都大学に来ています。

f:id:haniwakai:20220115172147j:plain

f:id:haniwakai:20220115171802j:plain

CENTER×CENTERすき



いよいよですね、京都文学フリーマーケット

明日の11時から16時まで、平安神宮近くの「みやこメッセ」にて開催されます。

私たちはサークル828会として『埋物の庭 vol.3』を【か-54】のブースで販売しています!よろしくお願いします。



~前回までのあらすじ~

名古屋まで夜行バスを使い、株主優待券を駆使して飛行機に乗る予定が破綻したため
名古屋から鈍行を乗り継いでようやく松山に到着し、街の変化に驚愕する島鉄だったが……。

 

道中編

f:id:haniwakai:20220110153626j:plain

N2000系(左)ではない方(右)に乗りました


特急宇和海。これならすぐ宇和島予讃線最南端の駅)に行けるのですが……

いつのまにか車両が変わっていました。昔は徳島辺りを走っていたN2000系という車両が一部転属してきたみたいです。ってことは……車両は別に新しくなっていませんね。
うーむ、駅も古いしJR四国愛媛県に投資する気がないのかなあ。限られたリソースを割くのだから仕方ないのでしょうけど。

tetsumin.com

しかし、皆さん。私はこのN2000系写真の右側の「もっと」古い車両に乗るのです。


調べてみると……国鉄時代末期に営業を開始したキハ54系*1みたいです。
水色の四国の空と海のようなコーポレートカラー(若干くすんでますが)が印象的ですね。

f:id:haniwakai:20220110153644j:plain

f:id:haniwakai:20220110153659j:plain



道中には新しい駅や、みきゃん電車もありました

写真がやや汚れているのはご容赦ください(車両が古いので)。


f:id:haniwakai:20220110153716j:plain


途中駅の伊予大洲。停車時間も長く、ヨユーで写真を撮れちゃいます。

駅員さんと運転士さんがのんびり会話しているのも四国の島時間(?)って感じでなんだかいいですね。

f:id:haniwakai:20220110153804j:plain

f:id:haniwakai:20220110153817j:plain

八幡浜駅は観光列車「伊予灘物語」が停車するので待合室が豪華でした。

18きっぷのいいところは長い停車時間中に駅を出て、少しだけですが街を散策できるところですね。

f:id:haniwakai:20220110153748j:plain

f:id:haniwakai:20220110153736j:plain

海洋堂(高知県に本社があります)ホビートレイン。鬼!

すごい迫力の車両が止まっていてびっくりしました。


おそらく私の帰省先の愛南町より田舎なのではないか、と思う山奥の鬼北町にちなんで「鬼列車」が運行しています。

mag.japaaan.comこの色っぽい鬼像は有名な竹谷隆之氏のデザインだそうです。

鬼北町、行ってみたくなりますね。


宇和島

そしてそのまま電車(気動車)に揺られてしばらくすると……

f:id:haniwakai:20220110153832j:plain

f:id:haniwakai:20220110153846j:plain

駅前は南国風(寒い)

予讃線最南端の駅、宇和島駅に到着です!車止めもあり、終着駅の風情があります。

たしか、宇和島の商店街が壊滅していた記憶があります。

my-butsu.hatenablog.com

過去記事では触れていませんが、この時も年末だからか商店街が終(つい)だった記憶があります。

 

果たして今はどうなっているのでしょーか?!

f:id:haniwakai:20220110153901j:plain

広々としたアーケードながら、屋根は日光を通す仕組みになっており、明るいです。

が、店の明かりが消えているからか少し寂しい雰囲気を醸し出しています。

 

ただ、年末でも空いているお店や、おそらく新規(といっても私は2年帰省していないので最近出来たのかどうかは分かりませんが)のお店もありました。

 

f:id:haniwakai:20220110153913j:plain

わー!とっても綺麗なウグイス色の着物です。まさに初春を思わせる素敵な色ですね。

ゲルピン*2なので買えないですけど。

 

f:id:haniwakai:20220110153930j:plain

f:id:haniwakai:20220110153942j:plain

おそらく新しくできたお店。牛鬼はどこの店も飾ってますね

元気のなくなったシャッター商店街のイメージがあったのですが、新しくお店を出して頑張ってらっしゃる人もいるようです。

飾ってある牛鬼は知らない方も多いかと思うので説明しますと、宇和島市和霊神社の夏祭、和霊大祭で出てくる、牛鬼という妖怪を象った大きな山車(だし)のことです。

www.uwajima.org

上記リンクに動画もあるので、宇和島の牛鬼の迫力を体感したい方は見て下さいね!

 

f:id:haniwakai:20220110153959j:plain

商店街を抜けて宇和島バスセンター近くにある定食屋でランチ

暖簾が牛鬼です。この二見さんで刺身定食をいただきました。漁業の盛んな宇和島近海で取れる海の幸を堪能し、親切な店主のおじいさんからはおミカンを貰えました。

f:id:haniwakai:20220115135246j:plain

すぐ横の喫茶店

バスの時間まで二見の隣にある喫茶店でコーヒーを飲んでました。

f:id:haniwakai:20220110154010j:plain

なぜこの愛媛県最南端の宇和島駅に来て、なおバスを待っているかというと私の祖母は宇和島より南の愛媛県最南端の自治体に住んでいるからなのでした。

f:id:haniwakai:20220115135939g:plain

愛媛県南宇和郡愛南町。遠すぎる

f:id:haniwakai:20220110154018j:plain

f:id:haniwakai:20220110154027j:plain

宇和島バスセンターでバスに揺られること1時間。ようやく目的地の城辺へ着きました

ああーー遠かった。

帰省するってこんなにも大変なことだったんですね。2年近く自宅で正月を迎えていたのでようやく思い出すことができました。

 

愛南町

 

f:id:haniwakai:20220110154035j:plain

バスターミナルすぐ横のお店。まだまだ現役です

久しぶりに来るとなかなかいいものですね。城辺名店街、勝手に廃墟だと勘違いして(失礼)ましたが、現役でした。スミマセン……。

 

f:id:haniwakai:20220115162940j:plain

なーしくんモナカでおなじみ梶原製菓

元気にやってるお店は田舎でも存在する。

これが今回の帰省で得られた有益な情報です。ぱっと見シャッターの降りた元気のない商店街でもひっそりと営業しているお店はあるんですね。

 

f:id:haniwakai:20220115164204j:plain

めっちゃ古いテレビと扇風機を置いている公民館

時間が止まっているような空間が残されているのは、都会と違っていいところですね。

六本木や麻布が、かつて路地でキャッチボールをしている子供たちのいる住宅街であったことを、今どれくらいの人が記憶しているでしょうか。

 

帰省してさっそく祖母から風呂が使えない(洗い場7:湯船2:下足所1という、どーかしちゃってる設計のため、正直入りたくはないのですが)という衝撃の告白を受けたので、愛南町の北端にある、かつては真珠養殖で栄えた旧内海村の温泉施設へと向かいました。

f:id:haniwakai:20220115164927j:plain

アクシデントゆえに撮影できた海岸

あまりにバス利用者がいないからか、次に停車するバス停の表示が変わらず(手動式のため運転士がボタンを押さないとそのままなのです)、バスが温泉施設を通り過ぎてしまうアクシデントもありました。

その代わり、綺麗な海岸の光景を写真に収められました。

f:id:haniwakai:20220115170657j:plain

バス停からゆらり内海に向かいます。来た道を帰る

yurariuchiumi.com

ただの温浴施設ではなく、地元のかたが作った工芸品(鬼滅の刃マスクやヒオウギ貝の飾り物など)も売っています。

海が近いゆえに、ややしょっぱい潮湯につかり、ビールを飲めば気分は最高潮です。

 

f:id:haniwakai:20220115171441j:plain

夕日の綺麗な海

年を越して、コロナウイルスオミクロン株が猛威を振るうニュースを聞くと、しばらく帰省できないような気がしますが、旅も街歩きも帰省もできるうちにやる、これが肝要ですね。それではみなさんサヨナラ、サヨナラ、サヨナラ……。

 

 

『埋物の庭』はvol.1~3までAmazonにて絶賛発売中です!!!

 

ではみなさま、明日の京都文学フリーマーケット(に来てくれる方いますか??)にてお会いしましょう。

ごきげんよう

 

 

 

 

*1:違ったら教えてください

*2:要するに金欠

《同人誌告知企画③》Discover 西の方~四国まで編~

第六回京都文学フリーマーケットまで残り2日……!

c.bunfree.net

露骨な宣伝を欠かさないことに定評があります。

いよいよ本番です。持てる限りのすべてを出し尽くしたいと思います。島鉄です。

試合に臨むアスリートのコメントの真似事をしてみました。なかなか言う機会が無いので、これからも隙をみては言ってみようと思います。

 

昨年はオリンピックが、開催されアスリートが幅を利かせてましたが、これからは文学の時代です。

とはいえ、「これからの文学の話をしよう」なんて言えるほど造詣が深くないので、宣伝します。

 

 

『埋物の庭Vol.3』電子版で先行発売中!!!

 

ここまで宣伝すると嫌われそうですが、あんまし売れてないので許してください。

さて、本題に移りますと(←話の転換下手くそ)

Discover 西の方

って記事タイトルは、今回出した同人誌のテーマと被らないよう頭をひねって考えました。IQサプリの序盤に出てくる問題並みの閃き力。

 

まぁ、単純に、帰省していたんですよね。

2年ぶりに祖母の住む愛媛県へ足を運びました。東回りで行くと世界一周してしまうので、泣く泣く西回りにしました。

 

ざっとこんなもんでしょうか。

それでは張り切っていってみましょー。

 

 

名古屋~大阪編

f:id:haniwakai:20220110153331j:plain



f:id:haniwakai:20220113081946j:image

 

朝の名古屋駅。12/28夜に私は夜行バスを使い、名古屋駅へと降り立ちました。

いや、フツーに松山まで夜行バスで行ってもよかったんです。しかし……私の手元には三重交通HDの株主優待券がありました。

 

な、なんと!三重交通HDは名古屋→大阪便という私のために作られたのではないか?と思うくらい使用頻度の高そう(近畿に行くにも四国へ帰省するにも便利)な高速バス路線があります。これで大阪まで行って、関空から松山まで飛行機でひととっびじゃ〜い!

 

安くて早い(四国内のJRは特急でもそこそこ時間がかかるので)最高のプラン……!

 

と、名古屋行きのバスを予約したときは自画自賛していたのですが、時価500円に届かない三重交通HDの株主優待券(地元のバス路線や三交インというホテルでご利用になれます)は高速バスには使えず、関空〜松山便はコロナウイルス感染症の影響もあり廃止されていました。

shimajiro-mobiler.net

つまり私は届いた株主優待券の注意事項を眺め、廃止された航空便の予約画面を調べて、真相に気づき一人途方に暮れたわけです。

どうしよう。とにかく安く帰省するには夜行バスが吉。

しかし!帰省シーズン(あの頃はコロナウイルスの猛威もいったん鎮まっていました)を迎え、東京―大阪便で安い路線は皆無。こうなると元から予約していた夜行バスで、とにかく名古屋までは行き、そこから青春18きっぷで移動するのが一番安上がりそうです。

my-butsu.hatenablog.com

実は18きっぷフル活用の鈍行で帰省する試みは4年前にやっています。もう2度とやらない、と思うほど過酷な旅でした。朝5時発で2日間かけて辿りついていますからね。

 

……どうしても、この道しかないのか。いろいろ考えてみたものの、お財布事情から(帰りの航空券代がそこそこして貧窮してました)名古屋から乗り継ぎ、鈍行で愛媛の最果てへと向かうことにしたのです。

 

f:id:haniwakai:20220110153338j:plain

ここから始まる、私の長旅

大垣に向かうのは、現在は廃止されたムーンライトながら号での学生貧乏旅行ぶりでしょうか。

座って移動できることに感謝しつつ、大垣駅の雪の量を見て(米原駅が豪雪で麻痺していたら帰省を断念することになる……)不安になりました。

 

f:id:haniwakai:20220110153350j:plain

f:id:haniwakai:20220110153344j:plain

ぜんぶ、雪のせいだ

一面の銀世界が広がっています。誰がこしらえたのか、駅には小さな雪だるままである始末。しかしながら幸運にも前日は運休していた東海道線も、29日は遅延こそあれど復旧していました。

望みが繋がれほっとするも、駅ホームは想像以上に人でごった返しています。座れなさそう。そして寒い……。

 

f:id:haniwakai:20220110153356j:plain

f:id:haniwakai:20220110153407j:plain

ズバリ言います。この写真でどこの駅前か分かった方、近畿出身(もしくは鉄ヲタ)ですね?

いつもなら降りて街歩きの一つや二つしているのですが、阪神梅田百貨店、阪急三宮百貨店のどちらも見送ることしかできませんでした。

なぜなら、この時乗っている電車は姫路行の新快速だからです。

姫路までは降りられぬ。

 

f:id:haniwakai:20220110153411j:plain

四国と明石海峡大橋

おお!あれに見えるは母なる島、青い国四国ではないか。

沿線が鄙びた雰囲気を醸し出し、しばらくすると姫路駅へたどり着きました。

さあここからが大変です。

f:id:haniwakai:20220110153415j:plain

姫路までは連結12両編成など、都心へのアクセス・通勤路線としての性格からそこまで混雑しなかったのですが、ここから岡山までは4両編成というヒジョーに地域の交通事情に合わせたローカルな路線になるからです。つまり激混みくんです。

 

唯一の救いは乗り合わせた家族連れが「マスク鼻までかけんとアカンよ」、「嫌や~」、「ねえ、お菓子食べていい?」って感じのヤンママと小学校低学年くらいの男の子、そのさまを冷静に見つめるちゃっかりした女の子、の会話に癒されたことでしょうか。

もってきた分厚い本2冊はさすがに読めず、岡山まで耐え忍ぶ時間が続きます。

 

岡山~香川編

f:id:haniwakai:20220110153429j:plain

ム!案内に四国登場!!

ようやく着いた岡山駅。新幹線も止まるだけあって広々したホームです。でかでかと「四国方面」の案内が。

しかし、四国ビギナー*1の皆さん、ここで安堵するのはまだ早い。

四国鈍行の旅は四国に入ってからが本番なのです。なにせ単線で特急が運用されている都合上、その煽りを普通電車はモロに受けているからです。

 

f:id:haniwakai:20220110153442j:plain

広告……なし!

時計の後ろに見える電光掲示板に表示のある、快速サンポート南風リレー号にてノンストップ(途中駅で特急の待ち合わせがないとは言ってない)で松山へ向かいます!!

Don’t stop me nowです*2

blog.goo.ne.jp

ちなみにJR四国の普通車はトイレがついていません。3時間半かかろうがお構いなしです。特急の通過待ち時間に駅トイレへGOだ!とゆー姿勢を変えてないのです。

経費の関係もあるのでしょうね。いまや夜行バスもトイレなしは珍しくないですし。

 

沿線風景はほとんど海か山、田畑と田舎あるあるな景色が広がっているのですが、時たま都会にでます。

f:id:haniwakai:20220114015408j:plain

観音寺駅

f:id:haniwakai:20220114015558j:plain

実は降りたことのない愛媛県下第2の都市、今治駅

このように、沿線で時たま海がとても近く見えるところがありました。こういうところは四国のステキな風景なのではないでしょうか。

f:id:haniwakai:20220114020215j:plain

穏やかな瀬戸内海を眺めると、米原で降り積もった雪を早朝に見たことを忘れてしまいます。おなじ国、おなじ日なのに不思議な気分。

 

f:id:haniwakai:20220110153458j:plain

コキンちゃんだ!!

伊予西条駅ではコキンちゃん(ドキンちゃんの妹みたいな子)がお出迎え。えー、ウソ泣きが得意で、性格はドキンちゃんをも超えるわがままさ、だけども特段悪事を働いていないのでアンパンマンサイド(カバオ含む住民の方々)ともよろしくやってるみたいです。

コキンちゃん (こきんちゃん)とは【ピクシブ百科事典】

f:id:haniwakai:20220114020839p:plain

デメリット、大きすぎる

 

JR四国アンパンマンの生みの親である、やなせたかし先生が高知出身ということもありアンパンマン箱推し状態となっています。お子様にはおおむね好評のご様子。

 

松山編

f:id:haniwakai:20220110153514j:plain

いつみても県庁所在地の駅と思えぬほどしょぼい。レトロ調で味はあるんだけども。

辺りが真っ暗になったところでようやく松山駅到着!13時半ごろに出発して着いたのは18時前。長いながい旅路でした。とりあえず愛媛県までの移動はこれにて完了。

……そう、明日は明日で県内の移動が待ち構えているのでした。

 

f:id:haniwakai:20220110153523j:plain

工事してる!!

国鉄時代のような気動車と、白い外壁の向こうに広がるアンマッチなコンクリート柱。

キャプションに「県庁所在地の駅とは思えない」と書くほど”JR松山駅”は四国内でもぱっとしないのですが(なにせ高知駅ですら高架ですし)、いよいよ再開発に乗り出すようです。

www.pref.ehime.jp

コイツはしばらく目が離せそうにありませんぜ。

駅チカのサンルートホテル支配人がYouTubeで宣伝を頑張ってらした記憶があります。

Youtube | (公式)ホテルサンルート松山

 

しかし、数年ぶりの帰省でJRの駅前がすっかり変わってしまったことにショックを受けました。

キスケはともかく、駅前のどさんこラーメンがない!!

しかも駅前にあったバッティングセンターもない!!(再開発エリアとモロ被りでした)

https://matsuyama.keizai.biz/headline/2402/

f:id:haniwakai:20220110153634j:plain

テナントが……変わってしまった……

朝も再確認のため撮ったのですが、私の記憶の中の松山駅には元祖インドカレーはなかったような……。

まあ、でも松山といえばJRよりも地場私鉄の「伊予鉄」。

 

f:id:haniwakai:20220110153539j:plain

f:id:haniwakai:20220110153551j:plain

地方私鉄としては珍しい自前の電車もあり、駅ビルも立派です

キャプションに書いた通り、610系という大手私鉄のお下がりではない電車が走っており、たまたま撮影できたのはラッキーでした。しかも長旅のテンションからか伊予鉄でしか使えない電子マネーである「ICい~カード」も購入してしまいました。

よほどうれしかったのか2度ツイートしてます。アホや。

 

 

f:id:haniwakai:20220110153604j:plain

今まで乗ったことのなかった最新車両

さらにさらに、松山市駅からホテルへと向かう路面電車で昔は本数も少なく乗れなかった最新車両のモハ5000形に乗ることができました!

Wi-Fi完備、照明もLEDで明るいです。音も静かなので、製造から半世紀以上経っている釣り掛け式モーターの旧車両が走っている音を聞くと「大丈夫なのかな……!?」とゆー気持ちになります。

新旧入り混じる松山の街。久しぶりに堪能できました。

 

f:id:haniwakai:20220114024519j:plain

最新車両とモダンな電停

 

なんか最後、鉄道の話しかしてないですね。朝からずっと電車に乗っていたから*3おかしくなっていたのかもしれません。

 

この日は飯屋がほぼすべて閉まっているばかりか、居酒屋も満席続きで3軒目にしてよーやくご飯にありつけました。

「媛っこ地鶏」推しの「花いちもんめ」さんにてしばし海の幸と焼き鳥に舌鼓を打ち、一日の疲れを癒すのでした。

f:id:haniwakai:20220114025112j:plain

 

しかし、まだ帰省は終わっていないのです……。

 

(二日目、愛媛県内編へと続く……)

*1:そんな言葉はない

*2:島鉄は鈍行旅行の暇を持て余すため、レスリー・アン・ジョーンズ氏の『フレディ・マーキュリー~孤独な道化~』を読んでました

*3:気動車も乗ってたとかゆー野暮なツッコミはしないよーに