埋物の庭

埋物の庭

街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

シカクからドームへ

シカクにZINEを納品した。

 

シカクはZINEなどインディーズの出版物を置いている大阪の書店。

ぼくはこのブログを一緒に書いている島鉄くんたちと数人で、ZINEをつくっている。その名も『埋物の庭』。このブログと同じ名前である。毎年発刊していて、いまではvol.6まで出している。

 

自分たちでつくったものが書店の棚に並ぶというのはうれしいものだ。文学フリマなどの即売会でお客さんに直接売るのとはまた違ったかんじがする。自分の制作物が自分の手を離れたところで売買されている不思議。オンラインショップのページもできていてありがたい。

 

shikaku-online.shop-pro.jp

 

シカクから最寄り駅の阪神千鳥橋駅まで歩いてもいいのだが、散歩をすることにした。

 

シカクは此花区梅香にある。この花。梅の香り。美しい町名。

東に進むとすぐに六軒家川が現れる。正面の高いビルは弁天町の大阪ベイタワー。

 

 

海が近い。川のまわりは工場が多くて、どこか物悲しいかんじがする。

 

大阪には湾岸の開発がうまくいかなった歴史があるわけだが、それはともかく、海の近くというのは本来的に物悲しいものかもしれない。たとえきらきらとした港町や、人々でにぎわう砂浜であっても、茫漠とした海に臨んでいるとどうしても人間の存在の取るに足りなさを意識してしまう。

 

しかしそういった物悲しさのことがぼくは意外と好きなのだ。気持ちが暗くなるなかでちょっとしたことにでも淡い光を感じられるから。たまに味わうのも悪くないと思う。

 

橋を上がると、奥のほうにうっすらとハルカスが見える。

小学校のグラウンドには大きな水たまりがあるが、サッカークラブの子どもたちは元気に活動している。

 

 

此花区の隣の大正区を舞台にした『エヴリシング・フロウズ』という津村記久子の小説がある。小説のなかで主人公のヒロシたちは自転車に乗って友だちとイケアまで行ったり、自分の進路について考えて、成長していた。

 

きっとぼくの感傷とは関係なく世界は動いていくんだろう。そのことにさみしくもあるが安心もするのであった。

 

エヴリシング・フロウズ (文春文庫)

 

JRゆめ咲線大阪環状線の高架を過ぎるとまたすぐ川が現れる。安治川だ。

今度ばかりはすぐ川を越える橋が見当たらずどうしようかとあたりを眺めていると、なにやら人が集まっているスポットが。

 

安治川トンネルである。これで川の向こうへ行ける。入口の写真は撮り忘れた。

 

 

Into the darkness

 

トンネルは安治川の河底を通っているので、けっこう階段を下る。

 

www.jcca.or.jp

 

最深部は長い一本道。

日常見ない光景でゲーム『8番出口』のようなリミナルスペースの感があるのだが、けっこう歩行者と自転車を押した人が歩いている。

 


「涼しいなあ」「クーラー入ってるやろ」というおばさま方の会話に、警備員さんが「自然のん」と答えていて、「ええー川ってすごいんやな」と驚いていた。ぼくも一緒に驚いた。

 

関門トンネル(同じように山口県と福岡県を結ぶ海底の人道トンネル)を思い出した

 

出口側

 

地上に出てしばらく進むと大阪メトロ中央線九条駅の高架が現れる。

 

 

そして大阪ドームが見えてきて無事に大阪メトロドーム千代崎駅に到着。

 

UFOのような大阪ドームの屋根

 

巨大なイオンモールスーパービバホームが並ぶ風景

夏の暑さは危険なので街歩きがなかなか厳しい。涼しいところに行きたいものです。

おいぬ様に会いに行く

御嶽山って皆さん知っていますか?

長野の木曽にある噴火した山……ではありません。


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実は東京都にも御岳山とゆー古くは山岳信仰、現代はパワースポットとして知られる山があるのですよ。

しかも祀っている神様のなかに「おいぬ様」と呼ばれる一柱がいるとか。

犬を祀っている、なんてなかなか聞きません。


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ってなわけでゴールデンウィークを利用して東京の西側、青梅にある御岳山まで行ってきました。

これで3年連続でゴールデンウィークは西多摩地域に行ってますね。Discover Westな島鉄

 

そもそも御岳山とはどんな山なのか。

ホームページの由緒を見てみます。

 

創建は第10代崇神天皇7年。武淳川別命 (たけぬなかわわけのみこと)が東方十二道を平定の折、大己貴命(おほなむちのみこと)・少彦名命 (すくなひこなのみこと)をお祀りしたことが起源と伝わります。 文書に残る最古の記録としては、天平8 (736) 年に「僧の行基が東国鎮護を祈願 し金剛蔵王権現像を安置した」とあります。これ以降、蔵王信仰・修験道山岳信仰の地として広く知られるようになったのです。 また、平安時代の『延喜式神名帳』には、この地の地主神である「大麻止乃豆乃 天神社(おおまとのつのあまつかみやしろ)」として記されています。

 

中世になると山岳信仰が興隆し、戦国時代にかけて関東の修験の中心となりま す。特に鎌倉時代には「金峯山御嶽蔵王権現 (きんぶせんみたけざおうごんげ ん)」として有力な武将達から信仰され、武将の畠山重忠は鎧・鞍・太刀などを 奉納したと伝えられています。

(中略)

天正18 (1590) 年、徳川家康が関東に封ぜられると、神社には朱印地三十石が寄 進され、慶長11 (1606) 年、家康の命により大久保石見守長安が普請奉行として 社殿を改築。南向きだった社殿が、江戸の「西の護り」として東向きに改められ ました。現在の幣殿・拝殿は元禄13 (1700)年に5代将軍綱吉の命によって造営されたものです。

江戸時代中期になると、庶民の「社寺詣で」が盛んになりました。御師(おし) の布教によって講が組織され、御嶽信仰が武蔵・相模を中心に関東一円に拡がっていきました。

 

その後、明治維新によって社名が明治7 (1874) 年に「御嶽蔵王権現」から「御嶽神社」に改められ、さらに昭和27 (1957) 年に「武蔵御嶽神社」と改めて現在 に至っています。

 

引用:武蔵御嶽神社HP http://musashimitakejinja.jp/history/yuisho/「神社由緒」(2025年5月7日)

 

なるほど、御岳山(≒武蔵御嶽神社)は古代から近世に至るまで時の政権を守護する性格と、神仏習合山岳信仰・修行の場所としての2つの異なる性格をもっていることがわかります。

また、庶民からの信仰も江戸時代からは集め、明治期の神仏分離を経てなお現代まで信仰・観光の場として認識されているとゆーわけです。

 

それならば、御嶽駅からケーブルカーの駅(御岳登山鉄道滝本駅)までバスも出ていますが歩いて登ったほうがよいでしょう。

おいぬ様からの評価が上がるはずです。

昔の修験者や庶民へのリスペクトを忘れない島鉄


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ちなみに駅からケーブルカーの駅までは2.5kmほどあります。

そしてバスのみならず車でケーブルカーの駅へ向かう方も多いです。駅前の地図に等高線引いてあるの初めて見たかも……。

 

何が言いたいかというと、オール歩きを敢行するとメチャクチャ急な坂をハーハー言いながら排気ガスを浴びて歩かねばならない、ということです。

ああっ、勾配が急になったと思ったら道路に丸がいっぱいある!!

【勾配フェチの坂の話】このドーナツ型の凹みがあると、それは激坂確定のサインです!|公益社団法人土木学会【土木学会WEB情報誌『from DOBOKU』〜土木への偏った愛】

↑真空コンクリート舗装っていうんだね、キミ。

 

ゴールデンウィークに行ったからでしょうか割と車の往来も多かったです。御嶽駅を出て40分ほどかけてようやくケーブルカーの駅まで着きました。


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ちなみにバスだと御嶽駅から8分でケーブルカーの駅まで着きます。

賢明な方はバスに乗ったほうがよいことをオススメします。

登山する前から疲れるので。特に膝にきます。

観光情報 観光スポット|KEIO 御岳登山鉄道

関東一の急勾配を誇る御岳登山鉄道のケーブルカー、には乗らず!

これから己の足で詣でたいと思います。

標準コースタイムは1.5時間だそう。そこそこかかりますね。

ここまで40分歩いているのであわせて2時間かぁ。


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鳥居の前でパシャリ。

鳥居の後ろにある滝本の大スギは、昔ここまでやっとこさたどり着いた修行者あるいは参拝者が一息ついた場所だそう。

奇しくも島鉄も同じ気分です。

 

幸いここからの道は勾配がそこまで急ではなく、息を整えることができました。とはいえ舗装されているので結構膝にダメージが……。

ちなみに御岳山はこの先も山頂まで舗装路です。武蔵御嶽神社HPに記述があった御師集落が山頂付近にあり、今も100人以上の人が住んでいます。

18代目の青年神主、東京・御岳山で宿坊を営み、信仰を守る【武蔵御嶽神社(東京都)馬場慶太郎権禰宜インタビュー】 | ホトカミ

高野山生駒山にも似ていますね。

山頂までの道は生活道路でもあるため、舗装されており階段状の登山道にはなっていないわけです。なるほどね。


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登っていると、ときおり

ろくろっくび

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確かに、うねうねした道が首っぽい……?


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ケーブルカーの線路


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ケーブルカーの橋桁

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なかみせ(茶店は現存しない)

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お地蔵さま

 

と目につくモノたちが島鉄の心を癒してくれます。

ケーブルカーはともかく、昔の人も山登りの最中にこういった場所で休みつつ山頂を目指したのでしょう。


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だいこくのお

ここから先は尾根を横切るため勾配が緩くなり、これを大黒様のおかげ(←?!)として感謝の意を込めここから大黒様の尾根として「だいこくのお」と呼ぶようになったそうな。

大黒様がどこから出てきたのかイマイチ分かりませんが、実際にこの先緩やかな坂道となったため島鉄も大黒様に感謝しました。

サンキュー大黒!


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あんまがえし

この付近は坂が緩やかで平坦なため、按摩さん(現代風に言えば整体師でしょうか、近世までは盲目・弱視の方が按摩を生業にしていました)が御嶽神社の境内に着いたと思って、参拝して引き返してしまったという逸話からこんな名前がついたそう。

 

……いくらなんでも狭すぎないか、御嶽神社

こういう逸話がどのように定着したのか気になるところです。口裂け女の噂研究みたいな。さすがに都市伝説と違って文献として残ってはいないだろうなぁ。


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しばらく登っていると、唐突に集落が現れます。

うわっ! 山の上に人が住んでいる!!

分かっていてもテンションが上がりますね。

宿坊や講の石碑が立ち並ぶ光景が広がっています。

市史編さんこぼれ話No.21 「御嶽講と講碑、そして愛犬祈願」|東京都小平市公式ホームページ

ふーむ、武蔵御嶽神社の講は雨乞祈願だったのか。

石碑は戦後のものがほとんどですが、中には江戸時代のものも。


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宿坊もリニューアルしたところと、古くからの茅葺きなところまで様々です。

絶景かな。遠くに武蔵野とビル群が見えます。

青の住居表示板を見ると、ここが集落なのだと強く感じられて不思議な気分になります。


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小さな診療所もあります。


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わっ、すごい人!

参道には茶屋が土産物屋が立ち並んでいて大勢の人がいます。登山道と打って変わって不思議な気分。


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水飴や犬用の鹿骨、玉こんにゃくと色んなものを売っているお茶屋さんを発見。


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鹿肉ローストが売っていて珍しかったので購入。

脂質の少ない滋味あふれる美味しさ。

古狸山、という店名がユーモラスで素敵です。

軒下にある明治スカットの瓶も歴史を感じられてすき。

www.softdrinks.org

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ようやく武蔵御嶽神社の大鳥居に着きました。

Twitterでも触れたのですが、疱瘡社(天然痘を流行らせる悪神を祀っている)はこの大鳥居より手前にあります。

https://x.com/pentaro1129/status/1919694402080928050?s=19

境内のなかに疱瘡を流行らせないために大鳥居の外で祀られているんですね。

 

ずんずん歩きます。


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あっ! 大菩薩峠の石碑だ!

www.aozora.gr.jp大菩薩峠は戦前の新聞小説で、幕末を舞台にニヒルな剣士机龍之介が主人公として出てくるのですが、殺人を厭わないので今風に言うとダークヒーロー。そんな机龍之介が旅をしながら決闘する……そんな内容です。小説冒頭で剣道試合の舞台として御岳神社が出てくるから石碑があるのですね。

といっても島鉄は若くして亡くなった雷さまこと名優市川雷蔵演じる映画(大映版1960-1961)しか知らないのですが……。

 

勝手ながら小説の名前の通り山梨県大菩薩峠しか頭になかったので、まさか東京で大菩薩峠の石碑に出会うとは思わず、1人嬉しくなった島鉄でした。

 

この他にも各所に御嶽講の石碑があって面白いです。


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練馬区に戦前の麹町区(今は千代田区ですね)、横浜の港北区など武蔵国一円(埼玉県、東京都、神奈川県東部)から御岳山に詣でた石碑が建っています。 

【御嶽講】

四国だと八十八ヶ所お大師様の御札、富士講伊勢参りなんかも有名ですが、関東(武蔵)では御嶽講が根付いていたわけです。東京では、たまーに御嶽神社の祭神おいぬさま(大口真神命)の札を貼っている家を見ることがあります。

京都大阪で鍾馗様を屋根に飾っているのと同様、この家は古くからの地元民なのだなぁなんて思えるので出会うと個人的には少し嬉しいですね。

 

閑話休題

拝殿まで着きました。

宝物殿は残念ながら16時までとゆーことで入れず。

こんなに澤乃井(東京都青梅にある地場の酒蔵です)の酒樽が積まれているのは初めてかも。


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愛馬三日月を担いで崖を降りるとゆー伝説(源平合戦鵯越の逆落し)の残る畠山重忠像が勇壮な雰囲気を醸し出しています。

東武者の誉れとも言うべき人物の像を見て、ここ御嶽神社が武蔵一円で信仰された霊山なのだ、と感じますね。


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拝殿の狛犬は……なんかスタイリッシュ?!

ニホンオオカミ風です。

musashimitakejinja.jpお札で描かれているのとそっくり!

この狛犬は1985(昭和60)年製なのでそれほど古くはありませんが、御嶽神社のイメージにはぴったりかもしれません。


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さらに奥へ進むと……。

あった!

おいぬ様、大口真神命を祀っている神社です。

本殿を取り囲むように社殿があるのは出雲大社を思い出させます。

my-butsu.hatenablog.com


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愛犬……はいませんが、すべての動物の健康を祈願しました。

さらに裏手に回ると奥宮遙拝所があります。

奥宮、と言っても何か建物があるわけではありません。f:id:haniwakai:20250531235949j:image

ここからは遥か向こうに三角の美しい山容……奥ノ院峰が見えます。

元々の御嶽信仰とはこの美しい山に畏敬の念を抱き祈るものだったのでは……と思わされますね。

体力に余裕のある方は行ってみてもいいかもしれません。

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美しい……。

musashimitakejinja.jp

一通り参拝を済ませ、長蛇の列となっているケーブルカーに乗り込みあっという間に山を降りました。

ちなみにケーブルカー乗り場までの道から見える木々にはムササビの巣箱が用意されているので見つけるのもまた一興です。


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いやぁ、東京の西側にはまだまだ知らない場所がいっぱいあるなぁ。

東京には自然がない、と思っている皆さん!

たまには多摩へ足を伸ばしてみてはいかがですか!!

 

……最近雨続きで寒いですね。

ではでは。

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徳島旅行

休日。どこかへ行きたい、と思って地図を眺めると徳島に行ったことがないと気づいた。

 

調べると兵庫の舞子から(あるいは三宮からでも)バスで行けるらしい。

宿を予約して一泊の旅行をすることにした。

 

JR舞子駅で下車して明石海峡大橋の上にあるバス乗り場・高速舞子まで上がる。

 

 

四国方面のいろいろなバスが出ている。関西と四国の結びつきを感じる。

予定どおりバスが来て乗る。

 

 

明石海峡大橋を渡る。淡路島を経由して四国に入るルートだ。

窓から海を眺める。

 

 

今回旅行をしたくなったのは、日々の悩みから離れたいという気持ちもあった。

人間関係の悩みだ。

 

私は在宅勤務をメインに仕事をしていて、週に1~2回の出社を除いては一日を家で過ごしている。家ではひとり暮らし。

 

通勤やオフィスにいることのわずらわしさから開放されたが、ずっとひとりでいると困ることもある。

 

一日中自分自身の思考と向き合わなければならないのだ。移動や人との関わりがある外と違って、思考が切り替わる契機がほとんどない。そうすると、なにをしていてもずっと同じことを考え続けることができてしまう。悩みがあるときはこれが辛い。

 

世の中の在宅勤務者はいったい気分転換をどうしているのだろう。だれかと(あるいはペットでも)一緒に住んでいればもっと気晴らしができるのかもしれない。ほかには同僚とオンラインで雑談するとか?散歩するとか?

 

ともかく、私の場合はまだこのひとり悩み続けてしまう問題の解決策が見つかっていない。だから旅に出たら気分が変わると思ったのだ。

 

徳島駅

 

しかし結論からいうと全然変わらなかった。悩む場所が家から旅先に変わっただけだ。旅行もだれともほとんど話すことなくできてしまうわけで。

 

徳島ラーメン

 

せっかくの旅行なのに心から楽しめていない。

『日常』で遊園地に遊びに来て財布をなくしてしまったゆっこのように。

 

glaccitta cafe

 

新町川

 

たまにこういうダウナーな気分の旅行をすることがある。

しかし旅が終わりしばらくして振りかえってみると、家にいるよりは、やっぱり旅をしてよかったと思うのだ。だから、すぐには効かないかもしれないけど。きっと。

 

宿にチェックインして街をぶらぶらしている間に夜になる。

 

虹の橋病院グループ、めっちゃ目立ってる

 

徳島駅周辺の居酒屋で夜ごはんを食べる。

 

安兵衛

 

店内はにぎわっていた。

テキパキと注文を受けたり料理をつくる店の人やお客さんを眺めながら食事をする。

 

 

かつおのたたきは高知が有名だけど徳島でも美味しかった。にんにくが大きくてガツンとくる。

 

 

ほどよくお腹がいっぱいになって、繁華街の秋田町の方へ歩く。

 

やらかしそう

 

少し元気出た

 

秋田町・紺屋町界隈には飲み屋がたくさんあった。

 

 

まだ早い時間だったからか空いているお店は少ない

早めの時間から開いているバーに入ってお酒を飲んだ。

 

BAR HIGUCHI。パッソア・グレープフルーツ

 

カメラを持っていたので、お店の人がこんなのあるよといろいろ見せてくれた。

 

ワイルドターキーの珍しいボトル

 

常連さんからのはっさくの差し入れ

 

常連さんから、坐禅を12年やってようやくなにかわかってきたという話を聞いたりした。続けることは大事だよねという結論にそのとおりだと思った。飲んでいるときのこういうあたりまえの大事さを改めて確認する話の流れがけっこう好きだ。

 

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翌日、東新町商店街近くの喫茶店でモーニングをとっていると雪が降ってきた。

 

ENFANT

 

四国で雪はたぶん珍しい。まあ降ったり止んだりだし、雨でなくてよかったと思う。

 

徳島といえば眉山阿波おどり会館からロープウェイに乗ろうとすると、

 

 

まじか

 

点検で運休していた。こういうこともある。

 

調べると徒歩でも30分ほどで登れるらしい。せっかくなら登っておきたい。

徳島眉山天神社の裏から思ってもなかった登山を始める。

 

階段

 

 

 

あ、ミッ◯ーとミ◯ー!

 

まずいですよ

 

案内板を過ぎると一気に急な登山道になった。

 

 

 

急坂がずっと続いて息も絶え絶え登った。

このときばかりは悩みごとを考えている余裕もなかった。悩んでいるときは運動がいいかもしれない。

 

そして、頂上に着いた。

海まで見渡せる眺めが広がっていた。

 

頑張って登ってよかった

 

自販機がラッピングされている。

 

 

Fate/stay nightの桜が士郎たちと阿波おどりをしている。似合ってるし平和な光景に、彼女の境遇を思うとぐっときた。

 

徳島にはアニメーション制作会社のufotableFate鬼滅の刃などを制作)がスタジオを構えている。市内で映画館のufotable CINEMAを運営しているほか、街おこしにも関わっているようで、あちこちでポスターを見かけた。このラッピング自販機もその一環だろう。

 

Fate/hollow ataraxiaのカレン(白い髪の人)*1がいてうれしかった

 

下山するとけっこう登った(277m)のがわかる。

 


昼になったので、食事処を探すとそば屋があったので入る。

 

総本家 橋本

 

親子丼も美味しかったし、

 

 

生そば(1人前が2つのお碗)もよかった。

 

 

店から外に出ると、道路の緑地帯にヤシの木が伸びていた。

 

 

ヤシの木は、徳島駅から眉山までの徳島駅前通り沿いに続いている。

おかげで南国ムードを醸し出している。こういう雰囲気ヤシの木は全国にあって、千葉や和歌山、宮崎などが有名だ。

ヤシの木は南国/ハワイのイメージを演出するために戦後の日本で植えられてきた歴史がある。そのあたりの話はサークル綜合果汁さんの『雰囲気ヤシの木』に詳しいので興味があればご一読を。

 

 

ヤシの木は背が高いなあと眺めていると、歩道になにか落ちていた。

 

 

ヤシの木の皮だ。

これだけ長い幹だ。そりゃ皮もたくさん剥がれるわけで。

 

 

道路にもたくさん落ちていた。

 

さて、行きは兵庫からバスできたのだが、帰りは違うルートで帰ってみたくなった。

そこで南海フェリーである。

 

nankai-ferry.co.jp

 

 



南海フェリー

南海フェリー公式サイトより

 

南海フェリーは、鉄道でおなじみの南海が運営するフェリーで、徳島港和歌山港を約2時間15分で結んでいる。値段はリーズナブルで、徳島港⇔なんばの船と鉄道のセット券「好きっぷ」は2500円で販売されている。

 

案外この航路は知らない方もいるのではないだろうか。

船旅には鉄道やバスとはまた違う旅情があり、私は機会があれば乗ることにしている。

 

というわけで徳島駅から徳島港までバスで移動する。

 

フェリーには車でも乗れる

 

四国で南海のロゴを見るとは

 

悩みモードはまだ続いていて、甲板でぼーとしている。

朝から断続的に降っている雪がここにきて一段と強くなった。風も吹いてとても寒い。

 

 

フェリーが港から出発して、徳島の街から離れていく。

昼前に息を切らして登った眉山が見える。

 

 

あの頂上に行ったんだと思うと、少し誇らしい気持ちになる。

悩んでいる間もちゃんと時間は流れていて、なにか行動をすれば変化はあるのだと思った。

 

 

雪が止んで空が晴れる。現代文の情景描写のように。

気持ちはいまいち晴れていないけど。

 

 

やがて船の進行方向に陸地が見えてくる。

見渡す限り海だった寄る辺のなさと、陸に近づいた安堵感。

自分自身の孤独と、つながりを求める心のはたらき。

 

 

やがて船は和歌山港に着いて、私は日常へと帰るのであった。

*1:Fate/hollow ataraxia』は『Fate/stay night』のファンディスクで続編。2025年3月時点ではアニメ化されていない。カレンは、Fateの桜、空の境界の浅上タイプのキャラで、いそのの一推しである。

豊田市美術館と街の埋物

 

豊田市

 

 

ここは愛知県豊田市

写真は名鉄豊田市駅のまわりの風景です。初めて訪れました。

 

名古屋の都心部から地下鉄鶴舞線に乗ると、途中から相互乗り入れで名鉄豊田線になり、豊田市駅まで一本で行くことができます。だいたい50分くらい。

 

 

 

豊田市美術館

今回のお目当ては豊田市美術館です。

美術館の建築がよいと噂を耳にして、あと展示を調べるとおもしろそうだったので来ちゃいました。

 

The郊外(←この言い回しなんなんでしょうね)という感のある道をしばらく歩きます。

見えている高架は愛知環状鉄道線第三セクターなんですね)のもの。

 

 

案内板にしたがって進みます。

建物がなかなか現れないので、なんだか心細くなってきます。

 

 

ほんとうに?

 

 

急な坂を登っていきます。

 

 

 

あ!

 


ありました。坂の上だったんですね。
それほど大きくはない?という印象を受けます。

 

 

中に入っていきます。

チケットを買って廊下を歩いていると、窓から光が差し込んで床に影を落としています。

なんでもない光景なのですが、その美しさに足が止まりました。

 


館内は外から見たよりも広いようで、窓の外には庭が広がっています。

 

「しないでおく、こと。― 芸術と生のアナキズム

www.museum.toyota.aichi.jp

 

さっそく1つめの展覧会「しないでおく、こと。― 芸術と生のアナキズム」を観ます。

 

今回テーマとなっているアナキズムは、過激な無政府の思想というよりも、統治の否定/抵抗、個々の自律/全体の調和という理念です。

 

こちらはコーポ北加賀屋(adanda + contact Gonzo + dot architects + remo + FabLab Kitakagaya + 102木工所 + REUNION STUDIO)の作品。

 

 

コーポ北加賀屋大阪市住之江区にある協働スタジオ。7つの異なる組織グループによって分有運営されているそう。大阪の自宅から近いので行ってみたいな。

 

展示はコーポの営みの再現という趣きで、作ったもの、メンバーの書いたもの、読んだものが並んでいました。シェアハウス、共同生活をしてみたくなります。

 

続いては、大木裕之の作品。

床に雑然と物が並べられて(落ちて)います。

 

LAWSONのレシートって作品になるんだ…!

 

トヨタの「ウーブン・シティ」や電車好きの藤井聡太くんが紙面を飾る中日新聞

 

この透明なパネルの奥で映像が流れていました

 

パネルにレシートが貼られていて、近づいてよく見てみると「中華料理九龍城 ¥2189」の領収書でした。オノ・ヨーコの「Ceiling Painting」(YESって書いてあるやつ)を思い出しました。

 

落書きのような箴言のような絶妙な塩梅

 

呪術廻戦28巻やはがきやDVD

 

たぶんLAWSONで買った水と酒

 

暮らしがそのまま作品になっているようですが、実際に本人が展覧会期間中にしばらく滞在していたようです。まさしく領域展開です。

 

最後にロシアの「集団行為」。

壁に20個ほどの展示パネルがあります。

 

 

「集団行為」はソ連時代の1976年に始まり、集まった参加者たちが繰り広げるものです。野原や山で人々が集まり、決められた動作(アクション)をして、解散する様子が作品として記録されています。

 

封筒を開けてなかの絵を重ねたり、穴に横たわってから出現したりと、アクションはどれも目的がよくわからないナンセンスなものばかりです。

しかしその様子は楽しそうで(写真は淡々とやってるかんじですが)、子供のころの遊びを思い出しました。

 

展示会場を出て、展覧会のタイトルの「しないでおく、こと」という言葉がいまいちわからなかったので、美術館の売店で売っていたアガンベン(イタリアの哲学者)の本を買って読んでみました。「創造行為とは何か」という章で以下のように書いています。

 

創造とアナーキー 資本主義宗教の時代における作品 (シリーズ〈哲学への扉〉)

 

 

真に人間的な実践とは、人間という生きものに固有のものである諸々の働きや機能を働かなくさせることによって、それらをいわば空転させ、可能性へと開いてやることなのだ。

ジョルジョ・アガンベン岡田温司・中村魁 訳『創造とアナーキー 資本主義宗教の時代における作品』月曜社、2022年、pp.64-65)

 

アガンベンさんの言葉はむずかしいのですが、生物学的・社会的な定め(たとえば働きなさいとか)にしたがわず、しないでおくこと(また、あえて無為なことをすること)にも価値があるよ、遊びやなにもしないことは意外と大事だよという意味で解しました。

 

そう考えるとこのブログにも可能性があるという気がしてきます。

 

豊田市美術館の建築

階段を上がると、見渡しのよい広場が開けています。

こんなに立体的な広がりのある建築だったとは!気持ちが上がります。

 

やわらかい冬の光。美しい色の石の床。

 

アルミの屋根の回廊。端正な印象はその薄さのためでしょうか。

 

影がきれい。張られた水が光り輝く。

 

2Fから1Fを望む。奥の森から挙母城へつながっている。

 

高低差のある丘に美術館が建てられていたことがわかります。

初めに1Fで見た窓から差し込む光はこの高低差のおかげで遮るものがないからだったようです。

 

2Fからは美術館の奥の豊田市博物館(2024年オープン)まで歩いていけるようになっています。これは楽しい!

 

 

豊田市博物館

 

 

 

カフェでコーヒーとサンドイッチをいただきました

 

今回は博物館の外観だけで展示は観ることができませんでしたが、ぜひまた来たいです。

博物館の方から美術館へ帰ってきて、美術館を改めて眺めます。

 

 

美しい。

カクっとした建物と回廊が、水に反射してゆらめく幽玄さ。移ろう光で一瞬ごとに表情が変わるのでいつまでも眺めていられます。

 

さて、それではもうひとつの展覧会を観に行きましょう。

 

「玉山拓郎:FLOOR」

www.museum.toyota.aichi.jp

 

この展覧会では、美術館の空間全体を使った、彫刻とも建築ともつかない巨大な「なにか」を展示(展示といってよい?)しています。2Fから3Fまでの展示室にこれ1つだけ。その潔さ、コンセプトのおもしろさにワクワクします。

 

大きすぎてカメラの画角に収まらない

吹き抜けにも収まらない

 

大きすぎるものっておもしろいです。

圧倒的なものに対して抱く感情。カントが崇高と呼んだらしいもの。名鉄百貨店のナナちゃん。栄に建設中のザ・ランドマーク名古屋栄・・・

 

こういう展示室の使い方、ありなんだ。

 

突き抜けてます

 

小学生のころ使っていたカドケシ、イケアで来客用に買った硬いマットレスを思い出します

 

人も展示物もない、非現実的で、夢のなかのような光景は、リミナルスペースといえるでしょう*1

 

 

詳しい説明はリンクにお任せします。

 

fnmnl.tv

 

 

 

巨大ななにかをくぐったとき、子どもの頃を思い出しました(今日はそういう気分によくなる日です)。

 

くぐること、屋外の芝生とかで寝っ転がってみること。大人になってあまりしなくなるそういった行為ってたまにやってみると楽しいなと思います。

 

街の埋物

そろそろ美術館を後にします。

来たときと光のかんじが違っていてそれもまた味があります。

 

 

 

 

さてあとは名鉄豊田市駅まで帰るわけですが、その道すがら、思わず足が止まりました。

 

 

なんか、ENEOSの建物が美術館の回廊と似てる気がする…!

具体的には薄い屋根と細い柱が。

 

こんなこと書くと谷口吉生の名建築と比べるなんてと怒られるかもしれませんが、ほんとに似てますよね!?

地元の人が美術館の建築からインスパイアされたと想像するとほっこりしませんか?地元から愛されているようで。あ、やめて、製図用シャーペンで刺さないで…!

 

そして、またも足が止まります。

 

 

これ、「玉山拓郎:FLOOR」の「なにか」っぽくありません?

川(水路?)の上に倉庫かなにかでしょうか、不安なバランスで、覆いかぶさるように造られています。

 

なんか観てきた展示を思い起こさせるような街並みです。

美術館に行った後の街歩きって特別な気分に浸れてぼくは好きです。

 

最後にこちら。

VITS豊田タウンという商業施設ですが、目立つところに配管がめぐっていたり、壁のデザインが多様だったりとやたらに目をひきます。

 


調べてみると、1969年オープンとのことでけっこう古い建築のようでした。

あまり情報がありませんが、以下の記事で比較的詳しく紹介されていました。

 

syouwasc.blog.fc2.com

 

美術館で感動したあと、街でも発見があって楽しい日でした。

このブログのコンセプトの「埋物」をちゃんと見つけられて大満足です。

それでは!

*1:これまで使ったことのない言葉を使ってみました(初めて「憂鬱」という字を書いた使った中学生の頃のように)。

新年初歩き~都電に乗ってブラブラと~

今更ながら、新年初歩きとゆータイトルの記事が2つあるのは矛盾している気がしてきた島鉄です。

大田区で結果的に文学散歩(という名の文人オリエンテーリング)をしたわけですが、目的を決めずに歩くと発見があっていいですね。ぶらぶら歩くのが性に合っているのです。

都電でぶらぶら町屋まで

とゆーわけで、愛媛県松山市路面電車に乗ったことだし(ほぼ毎年乗るけど)、都電に乗ってぶらぶら散歩しようと思いました。

やはり都民たるもの、年に一度は都電に乗らなければ。

www.kotsu.metro.tokyo.jp

早稲田電停

むかし早稲田から終点の三ノ輪橋まで乗ったっけ。降りたことのないところへ向かおう。風の向くまま、気の向くまま。

 

チンチン電車に揺られて着きましたるは町屋電停。

……すみません、降りたことないけどそれなりに大きい街にしました。

勇気を出して東尾久三丁目とかで降りてもよかったのですが、ご飯が食べたかったので。

正月でも開いている店が存在しそうな大きい街に降りたのです。目的地を決めずに、とかいいつつ空腹には勝てないのでした。にんげんだもの

 

町屋はこんな感じ。降りてすぐドデカビル。昔懐かしい雰囲気のショッピングセンター、サンポップマチヤでご飯を食べました。複合ビルで住居もあるみたいです。

 

大通りから裏手に入ると、京成本線が走っています。便利ですね。

こんな間近で京成スカイライナーを見たのは去年ぶり。

この通りは名前からして、もともと川だったのかな。調べてみると詳しく散歩されている方のサイトがヒットしたのでご紹介。

kaeru.moe-nifty.com

今も暗渠として地下に川が流れているみたいです。

なるほど、水害を防ぐための排水路だったのですね。

 

気に入ったお店。居酒屋25時とでこ助。

家へ帰ったら何もないぞ!! とへろへろなフォントで書いているのがグー。

 

さて大通りに戻ります。お、このお店もいいなあ。

旨い・安い・早いイコール幸せ!!

の図式に納得しました。少し考えてみると、旨くなければ安い・早いイコール幸せにならないので、旨いが重要なファクターですね。

何の考察をしているんだ。

 

最強の一年にしたいね

新年の抱負みたいでいいですね。さあ始めようか、史上最強の私を。

……どゆこと?

喫茶を求めて放浪記

ざんねん

行きたかった喫茶店が閉まっていました。まあ、そんな正月早々店を開けてないよね。
パリジャンカフェなのに毛筆で「お知らせ」が書かれていて笑いました。

ギャップ萌えですねこれは。

下町情緒あふれる町屋ですが、ここも再開発の波が来ています。しばらくしたら大きなマンションが建ちならぶよーになるのかな。

 

駅前に次いで懐かしい雰囲気のショッピングモール発見!

行かねば。

教会の看板をよく見ると十字架がテープであとづけされてました。DIYいい……。

めちゃある

アホほど店があります。さすがにお正月やっている店はなかなかないですが。

洋食屋……?

洋食屋さんの本日のおすすめ品、和食がだいぶ混じっていてすき。

美味しければ何でもいいのだ!

 

すぐそばにいたおじさんに「トイレなら地下だよ!」と声をかけられたので、地下に潜ります。そんなトイレに行きたそうな顔してたのかな……?

 

地下のわりに植物が生い茂っている。明るくて吹き抜けのこーゆーつくりすきです。

トイレを済ませたのち、前述の洋食屋さんがやっていないことを確認して地上へ上がることにしました。

毎回聞かれるのかな

インドカレーベンガル料理の店、「ナンありません」と貼り紙してました。

いつまでもあると思うな親とナン。

 

ヨガがゲシュタルト崩壊しそうなポスターも採取できたので満足。

トコトコ歩いて喫茶店を探します。とりあえず町屋周辺の個人店はどこもお休みでした。

気に入ったポスターたち。小学校長、義務教育修了後は遊ばせない強い意思表示をしています。広く校庭開放はしていないとゆーことなのかな。

印鑑を何とかして使わせようとしているポスターもすき。カッコイ印じゃん、って韻を踏んでほしかったなあ(←韻というよりダジャレですねこれは)。

 

ウルトララッキーウィーク(2024年だけど)な通りを行きます。

中華喫茶川ばた、はお休み。中華に喫茶ってなかなか見ない組み合わせですね。

 

あっ! 電柱にcafeの看板が!!

町屋斎場でした。cafeは通り過ぎてるのかな、この表記的に。

うーむどうしようか。

行く当てがないときは川へ向かうと相場が決まっています!!

まっすぐ歩けば隅田川に着くそーな。まあ、なんとなくこーなることは予想していたのだけれど。

川から終着駅へ

仕方ないので住宅街をテクテク歩きます。お店は斎場を過ぎるとほぼありません。

いちおー喫茶店に入ることはまだあきらめていません。

京成線の高架のすぐ近くに家を建てている方々は音とか振動大丈夫なのかな?

なんて余計なお世話な心配をしつつ、歩くこと10分。

 

川だー! 川の向こうは足立区です。ニョキニョキ向こうもマンションが建ってますなあ。

……ところで、この緑色の構造物は何なのだろーか。

ベルコンみたいです。……ベルコンってナニ??

ベルトコンベアのことですね。なるほど川にどしゃーと土砂を落とすわけですね。

 

はい、オチが着いたところで帰りましょう。

と思ったのですが川とゆーものは昔は交通に使われていたわけですが、現在は自動車や鉄道にとってかわり、つまりは隅田川周辺には駅がないんですね。

 

帰りたい、けれど帰るにはさらに歩かなければならない。

来た道を引き返すのはつまらないので、このまま三ノ輪橋電停を目指します。

せっかく都電で来たのだし、帰りも都電に乗ってしまえの精神です。

 

ちなみに隅田川にはスーパー堤防によって川を危険な場所から水に親しめる場所として散歩などに活用してください、なんて看板が建っていました。

川沿いに住んでいないとピンと来ないのですが、昔は台風が来るたびに氾濫したり大変な歴史があったわけですね。冒頭の藍染川通りとかもそうですし。

 

なんかスーパーLIFEには似つかわしくないレンガの壁があるな、と思ってよく見てみると被服工場跡だとか。

軍服の国産化のために建てられた千住製絨所の歴史を今に伝える煉瓦塀なのですね。

千住製絨所|アジ歴グロッサリー

 

思わぬ歴史探訪をしたのち、途中エレガントなマンションも見つけながら歩くこと10分。

ついに三ノ輪橋のアーケード商店街、ジョイフル三の輪にたどり着きました。

あんまり変わってない気がする。そこがよい。

ジョイフル音頭は聞いたことがないので、新しいヤツかも。変わっていないようでかわっている。それが商店街というもの。

arakawa102.com東京下町といった風情の曲でした、すき。

 

すっかり辺りも暗くなってきたところでおいとまします。

2025年もいい一年になりますように。

新年初歩き~大田区で文学散歩~

明けましておめでとうございます。

ことしは月2回くらいはブログ記事を書きたいな、と考えている島鉄です。

 

書きたいけどあとでいいかな~。

と思ってるうちに記事書くタイミングを見失ってしまうので。

書く・即・ッターン*1

で2025年は行きたいと思います。

 

では街歩きブログらしく(?)新年歩いてみたところを記事にしてみますかね。

 

 

大田区を歩こう

新年そうそう行くところが大田区って……。

そう思ったそこのアナタ!

 

大田区は広いんですよ! 高級住宅街の田園調布、羽田空港、下町情緒あふれる蒲田……。色々な顔をもつ街がひとつになっているのです。

 

なにせ大田区とゆー名前も大森区蒲田区の合併でつけられた名前ですしね。

時代をさかのぼること70年前、1949年の大田区は大いに揺れていた。

大田区は1947年に大森区蒲田区が統合して誕生。新たな区名は、それぞれから“大”と“田”を一文字ずつとって大田区とした。

(中略)

今般、大田区は町工場の街、羽田空港門前町といったイメージで語られることが多い。それは平成の30年間で強くなったイメージであり、昭和50年代までの大田区はものづくり産業だけではなく、商業地域としてもにぎわい、海苔の養殖なども盛んだった。なにより、高級住宅街が広がる住民自治意識の高いエリアでもあった。

最近では羽田空港による恩恵もあって、区の中心的な役割はJRの蒲田駅京急蒲田駅一帯に移りつつある。しかし、昭和50年代までの大田区で、街のにぎわいを牽引したのは大森駅周辺だった。大森駅一帯には、ダイシン百貨店(現・MEGAドン・キホーテ大森山王店)や2019年5月に営業を終了したばかりの高級スーパー・カドヤ食品が軒を連ねていた。そうした高級店が並んでいたことからも、往時の一端を窺える。

引用:東洋経済オンライン2019/07/07 小川 裕夫『かつて大田区の中心は蒲田でなく「大森」だった』https://toyokeizai.net/articles/-/290604(2025年1月5日参照)

 

大田区の記事を書くのは神代行列の記事書いた時以来かもしれないなあ。

 

my-butsu.hatenablog.com

とゆーわけで、大田区に行きました。あてもなく馬込まで。

なぜ馬込かとゆーと、いままで行ったことがないからです。

馬込に詳しくない方に分かりやすく説明しますと、都営地下鉄浅草線の終着駅周辺です。

押上はスカイツリーで全国的に知られましたね

 

文人の街、馬込

思い立ったのが午後なので明るい写真は一枚もありません。思い立ったが吉日です。

さて急に住宅街の一角を撮影した写真を見せられて、読者諸賢におかれましては当惑されているかもしれません。

島鉄Googleマップで”ここ“を見つけたときは当惑しました。

 

なんとここ……! あの……!!

ほんとに……?

三島由紀夫先生*2の邸宅があります。

 

三島由紀夫記念館は山中湖にあるし、同姓同名……いやそんなわけはない。

調べてみると本当に三島由紀夫の邸宅でした。

 

三島由紀夫の家

この写真集のまんまです。明るいうちに行けばよかったな。

ちなみに一般公開されているわけではない(住んでいる方がいます)ので、あまりジロジロと眺めることはできません。

ふーむ、大田区文人が多く住んでいるのかな?

 

地元小学校にて

おお! 小学校の金網にも文化人についてまとめられたシートが!

宇野千代のクイズ、「何人の男の人とけ結こんしてりこんしたでしょう」なのちょっと面白いですね。島鉄も、宇野千代氏の奔放な生涯を知って驚いた記憶があります。

 

こんな感じで大田区界隈を歩いていると色んな文人の紹介をする碑が建っているので、その気がなくとも文学散歩できます。いやはや、知らなかったなあ。

 

公園に神社!? 

なんと、公園に神社が!

いや、神社の境内を公園にしているのかな?

池の外が公園、池を渡ると神社。

伊勢神宮もそうですが、水によって神域と俗世界を分けるとゆーことなのかな。

https://www.tripadvisor.jp/LocationPhotoDirectLink-g1066454-d11808108-i457063879-Sanno_Hanashimizu_Park-Ota_Tokyo_Tokyo_Prefecture_Kanto.html

調べてみると山王厳島神社、だそうで弁天池なんですね。

なるほど、上野の弁天様も不忍池に囲まれていますし、広島厳島神社の弁天様も小さな池に囲まれてました*3

 

さらにテクテク歩いて大森駅まで行ってみましょう。

大森駅まで

大森は文学フリマの帰りに寄った時以来でしょうか。

下町情緒あふれるステキな街だったと記憶しています。

面白いかたちの建物を発見!

文人の邸宅……ではありませんが、興味を惹かれますね。

http://www.nissokanzai.com/paotube.htm

調べたところ、デザイナーズマンションでなんとホンモノの水道土管を用いているそーな。住んでみたいですが、空きはなさそう。

 

こんなところに……

大森駅にそろそろ着くかな、と歩いていたら駐車場の一角に「和辻哲郎」の石碑が!

ここに住んでいたのですねえ。

 

和辻哲郎といえば、日本の古建築・古美術を記した『古寺巡礼』や、地域によって異なる自然環境が文明の発達・そこに暮らす人間像に影響を与えるという説を投げかけた『風土』などで知られる戦前を代表する哲学者です。

UTokyo BiblioPlaza - 和辻哲郎の人文学

そんな人の石碑が駐車場にあるなんて……。旧居、記念館か駐車場になりがち。

 

ちなみに和辻哲郎の生まれた家の石碑は姫路市の山中、播但線の近くにあります。

とゆーことは兵庫縦断をしたいそのくんは訪れているかもしれませんね。

 

 

inumachi.stores.jp

露骨なオノレの同人誌紹介をしてしまいました。

『埋物の庭』はAmazonだとまとめ買いもできるんだなあ(←知らなかった)。

 

閑話休題

大森駅に着いた~!!

いいですねえ、下町かつアーケードあり。

駅前には文人の街であることをアピールする銘板もありました。

蒲田とはまた違った趣が大森にはあります。

 

なぜこんなに馬込・大森周辺に文化人が集まったのかとゆーと、関東大震災後に移り住んだからなんですね。散歩して大森駅へたどり着き、解が分かる……粋ですねえ(グーゼン)。

www.magome-bunshimura.jp

でかい

あと巨大団地もあったので島鉄的にすきポイントが高い街です。

懐かしい雰囲気のある駅ビル、RaRaには「いそ野」とゆー店がありました。

島鉄はありませんでした。残念。

3Fのテナント、絶対音感・総合音楽教室が個人的に気になります。

なんかやたらサロンやらマッサージ屋さんが集まっているフロアもあるし。

 

大森の団地を見て2023年に行った韓国ソウルのアパートメント群を思い出した島鉄でした。

次はどこを歩こうかな。

*1:Enterキーをカッコよく押した音

*2:実際の事件を元に書いた小説『金閣寺』や舞台・ドラマ化された『豊饒の海』などで知られる。市谷駐屯地で自衛隊にクーデターを呼びかけたのち割腹死を遂げたことでも有名

*3:広島の厳島神社は宮島なのでそもそも海に囲まれていますが

山と海へ 芦屋川を歩く

10月から12月。文学フリマにむけて同人誌をつくった。
本は無事完成してそこそこ買ってもらえたし、本文のカラー化やメンバー追加など新しいこともできて満足している。

 

しかしイベントが終わって、力尽きてしまった。
しばらくなにもできなくなった。
電子化や委託販売もしたいのだけどいまだにできていない。

 

寒さや季節も影響しているかもしれない。寒いと外に出る気にならないし、日の光が足りないから気持ちが沈んでいるのかも。

 

ただ寝て食べるだけの週末をいくつか過ごして、どこかへ行きたくなった。
以前大阪から神戸まで歩いたときに見た芦屋川の風景を思い出した。山と海が美しかった。
行ってみよう。

 

 

JR芦屋駅で降りる。

阪神間は3路線が山と海の間の限られた土地を東西に走っている。

芦屋では南北に駅が連なっていて、芦屋川に沿って北から阪急芦屋川駅、JR芦屋駅阪神芦屋駅がある。

 

JR芦屋駅だけ芦屋川からやや離れているけれど1kmもない。川へと歩く。

 

海側

 

六甲の山のほうから下ってくる地形に川が流れている。

 

山側

 

ボーっとする。

ハトがいるのでしばらく眺めた。

 

ハト

 

川の横が歩道になっているので下りて歩く。

ゆっくり歩く。一歩ずつ地面の感触を確かめながら、身体が進んでいるのを感じながら。

 

国道2号線阪神高速3号神戸線の下を通る。

 

くぐる

 

やがて海が見えてくる。

大きな橋梁は阪神高速5号湾岸線だ。

 

海を目指す

 

冬の雲の壮大さは好きだ。

冬にもいいところがいくつかある。なにごともなるべくいいところを見るようにしたい。

 

橋と雲と海

 

地上に上がる。コーヒーを飲みたいので調べる。

ここは芦屋だ。たくさんあった。せっかくならコーヒー豆も買いたいので、近くの焙煎所に行ってみることに。

 

NOBLE TREEさん。エチオピアのシダマG1のウォッシュドを中深煎りでいただく。

注文後にその場で焙煎していただく方式らしい。手間がかかっていて美味しさへのこだわりがうかがえる。

 

コーヒー

 

待ってる間コーヒーを飲みながら、実はよくわかっていなかったコーヒー豆の精製方法について教えていただいた。

 

豆を乾燥させるときに果肉を取って洗うのがウォッシュドで、果肉を取らないのがナチュラル、その中間で果肉を適度に残すのがハニー。ウォッシュドがすっきりした風味になるのに対して、ナチュラルは果実由来の風味になるらしい。

 

何度か自分で調べたことがあったけどあまり覚えていなかったので、人に教えてもらうと理解が深まって定着するなと思った。

 

日が落ちてくる。フェンス越しに電車と空と山を眺める。

六甲山、登りたいな。

 

フェンス越し

 

JR芦屋駅に隣接して、ラポルテのなかにジュンク堂書店があるので入ってみた。

中型の店舗。こういう本屋が近くにあるとうれしい。

 

ジュンク堂は関東では池袋の巨大な店舗が有名だけど、発祥は三宮だったと知る。西宮や住吉にもあるらしい。そちらも行ってみたい。

 

ジュンク堂書店 芦屋店

 

買った本

 

書店にいるときは意識していなかったけど、家に帰って買った本を見ると、山の本と海の本だった。

 

自分のやりたいことが少しわかったような気がした。次は六甲山に登ろう。