埋物の庭

埋物の庭

街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

渋谷・新宿・アナーキー

最近暑いですね。

6月は適度に雨が降り、日中は暑くなりすぎず、朝夜は風が涼しい理想的な梅雨でした。

 

6月の後半はしばらく東京に滞在していました。友人や家族と会ったりして地元で落ち着いた時間を過ごすことができました。そのときのことを書きます。

 

 

ワールドカップの日本 vs チュニジア戦の日、私は渋谷にいました。ちょうど昼に試合に勝ったばかりだったからか、スクランブル交差点はすごい人の数でした。規制線を張る警官、青いユニフォームを着たサポーター(騒いでいる人&静かな人)、観光客、勤め人、近所の人、たまたま用事があって来た人(私を含む)、よくわからない人…

 

写真を撮り、バス停へと歩く道で、ふとこの異様な状況を楽しんでいる自分に気づきました。職場がこのあたりだったら大変でしょうが、あまり来ないので、レアなお祭りに参加できたとポジティブな評価になっています。街はタイミングや人によって違う見え方がするものですね。

 

夕方、用事が終わり渋谷に帰ってきました。この状況を共有しようと島鉄くん(ブログの共同執筆者)を召喚します。

 

Ado(平面)

 

Ado(立体)

 

MIYASHITA PARKで近況を話したりして、ぶらぶら夜ご飯の店を探すことに。

 

具体的すぎて詩的な味わいもある警告

 

島鉄くんが探し求めていた、以前一度入って名前も場所を忘れてしまった居酒屋を見つけることに成功しました。ミキプルーンのあたりでしたが、あの特徴的なビルは解体されて大きな更地になっていました。

 

 

圧倒的なメニュー数

 

六代目百合を飲みながら鯨料理を食べ、2026年春クールのアニメは『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』がよかったという話をしました。

 

場所を変えて、センター街のバー「八月の鯨」でしっとりとカクテルをいただきました。ここは映画のタイトル名のカクテルを出してくれるバーで、『吉原炎上』とか『グラスホッパー』とか注文ができて楽しいです。

 

吉原炎上。炎上にちなんでアルコールを燃やす粋な演出も。

 

前に書いた感想↓

 

ビルから地上に降りるとき、クマリフトのエレベーターだったのが珍しかったです。荷物用のイメージがありますね。これまで乗った記憶があまりない。

 

 

調べてみると、クマリフトは大阪の会社なんですね。

 

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別の日、私は新宿にいました。

西武新宿線沿いの友人のマンションをあとにして、カプセルホテルに泊まるためです。ずっと実家の団地にいてもよかったのですが、気分転換がしたくなったのでした。

 

時刻は夜23時。宿は歌舞伎町のど真ん中で、渋谷とはまた違ったカオスが広がっています。トー横界隈、ホスト街、バッティングセンター、大久保病院。ホストと女性、観光客、騒いでいる若者、巨大なネズミとそれに驚く人…

 

私は飲みたい気分だったので、ゴールデン街に行きました。友人とは何度か入ったことがありますが、ひとりでは初めてでした。

外から見てなんとなく居心地がよさそうな店に入ってみると、ほんとうに居心地がよくて、気がついたら午前3時になっていました。

 

ゴールデン街、いいですね

 

なにか塩気のあるものが食べたくなって検索すると、なんと営業中のラーメン屋が何店舗もヒット。この時間にこれだけのバリエーションのラーメンが食べられる街、歌舞伎町。すごい。

 

「貝出汁中華そば くらむ 歌舞伎町」に決めます。あさりの入った貝出汁のラーメンで、たいへん美味しかったです。

 

 

帰りは行きにも増してカオスになっている歌舞伎町。この時間ここにいる人たちはなにをされているんでしょう。そう思う私自身も含まれているわけですが…

 

夜は眠るべき、ゴミは持ち帰るべき、お酒はほどほどにすべき。こうあるべきという社会の規範から自由であること。いますごい自由だと感じて楽しい一方で、写真を撮ったらだれかに絡まれそうと感じて撮れない不自由さ。

 

最近、『リバタリアンが社会実験してみた町の話』という本を読みました。リバタリアンは自由至上主義者のことで、政府のあらゆる規制に反対して、自らの権利の最大化を目指す立場の人々です。

 

 

この本では、アメリカのある町にリバタリアンたちが移住してきて、町がどのように変わっていったのかが描かれています。彼らは銃を持ち歩き、課税を拒否し、消防署への支出を減らし、やがてゴミが回収されなくなり、クマが町に現れます。

 

深夜の歌舞伎町はリバタリアンというよりはアナーキー(無支配また無政府)でしたが、私は以前からそういった「自由」へ憧れを持ってきました。去年豊田市美術館の展示を観て以来、関連する本も読んだり考えることが多くなりました。

 

 

支配に従いたくない。権威なんか嘘だ。自律して自由に生きていきたい。ただやはりあまりにも行き過ぎた自由(の行使)はそこで生きる人々を幸福にはしないとも思ってもいます。

 

自由と秩序のどちらにも惹かれながら、まだ夜の明けない道を歩いてカプセルホテルに帰るのでした。

福井県に行ってきた話

皆さんこんにちは。いそのです。

 

いま緊急でブログ記事書いてます。

ユーチューバーみたいな言い方ですが、実際緊急なんです。

画像をご覧ください。

 

 

これはこのブログ埋物の庭の記事件数です。

グラフにするとこんなかんじ。

 

2022年がピークの山の形をしてますね…

埋物の庭はこのまま終わってしまうのでしょうか…?

 

そして今年2026年の月間内訳はというとこんなかんじ。

 

毎月更新できればと思ってましたが、3月に痛恨の更新漏れ。

そしていまこの記事は5月31日の夜に書いています。

これ、どういうことかお分かりですよね…

なんとか今日中に一本記事をアップして更新を死守したいのです!

 

というわけで短い時間でがんばって福井県に行ったときのことを書いてみます。

皆さん着いてきてください…!

 

 

なぜ福井県に行ったか

ZINEフェス福井が4月25日(土)にあり出店したからです。

 

 

場所は福井駅前のハピリン。

 

丸い形が目立つハピリン

 

3Fホールが会場でした。

 

われわれのブース(右)

 

横はお酒を飲みながら本を読んで感想を書く方。おセンチさんという名前で活動されていて、ご本人は「センチメンタル」と書かれたシャツを着てました。仲良くなっていろいろお話できてよかったです。本も出されてるようです。

 

 

イベントは、私の書いたZINEがどちらも福井県が舞台になっていることもあり好評でした。ここの幼稚園に通っていたとか、この駅の近く住んでるとかローカルな話ができてうれしかったです。電子版のリンクを貼っておきます。

 

→おなじみ『埋物の庭』の7号。

私は福井から京都までサイコロを振って進む旅をしました。

 

 

→大好評歩いて縦断企画。

福井の敦賀から三重の桑名まで本州(のいちばん細いところ)を歩きました。

 

福井県のよかったところ 恐竜

街全体から恐竜でやっていくぞという覚悟が感じられてよかったです。

駅前に降り立つとこんなかんじ。

 

カニをくわえた恐竜

 

動くのもいる

 

トリケラトプスの飛び出し坊やも

 

恐竜のお医者さんがいるクリニックもある

 

恐竜のカヲリがするコーヒー「Paleo Brew Cafe」さんもある

 

内装も味もよかった。氷が化石みたいなカッティングできれい。

 

福井県立恐竜博物館は前回行ったので今回は行かず。建物も展示もすごいのでおすすめです。

 

福井県のよかったところ 建物

福井城跡に登りました。

 

石垣と堀

 

なんかおもしろい形の建物が見える

 

行ってみると裁判所でした。立派なつくりです。シンメトリーで迫力あります。

 

福井地方裁判所

 

えちぜん鉄道と東尋坊

えちぜん鉄道に乗りました。

福井大学をぶらぶら歩いたので、福大前西福井駅から乗りました。

 

商業施設CULSAのなかに駅がある

 

CULSAのなかの、「まほろば 福大前西福井店」のトマトラーメン美味しかったです!

 

福大前西福井駅

 

行先は東尋坊。三国港駅からバスに乗っていきます。

 

バス停

 

着くと、美しい岩の柱状節理が一面に広がっていました。

 

 

 

 

もっとこう地の果ての暗いイメージがあったのですが、思ったよりも観光地で、意外でした。

 

 

お店が並んでいて江の島感があります

 

えちぜん鉄道の車両

 

帰りは福井まで戻って、えちぜん鉄道とはまた別の「福井鉄道」に乗りました。終点のたけふ新駅まで行き、そこからハピラインふくいで敦賀駅、JRの特急で大阪へと帰りました。福井は路面電車がいろいろあっておもしろいですね。

 

福井鉄道の車両

 

ところでハピリンといい、ハピラインといい、福井ではハピ(=ハッピー)のネーミングが多い気がします。幸福度と関係あるんでしょうか。知ってる方教えてください。

 

 

追伸

一緒にブログを書いている島鉄くんから「福」井だからではないかと言われました。かなり本当っぽい気がします。

道明寺とサブカルチャーと埋物の庭

皆さんこんにちは。いそのです。

 

桜、散ってますね(※大阪では)。

お住まいの地域ではいかがでしょうか。

 

桜前線は今青森に到達しているらしいです。

たとえ自分のまわりでは葉桜になっても、日本のどこかではまだ咲いているという事実にちょっとだけ勇気をもらえますね。

あ、葉桜も好きです。

 

葉桜

 

さて、桜の咲く前の、そのさらに前の梅も咲いていない頃に、知らない街に行ってきたので記事を書きます。

訪れたのは藤井寺市。

 

 

なぜ行こうと思ったかというと、藤井寺市の道明寺がどんなところか以前から気になっていたからです。

和菓子の桜餅には、関東風(長命寺)と関西風(道明寺)がありますね。

 

長命寺桜餅 https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=38376165による

 

関西風桜餅の発祥の寺はいったいどんなところなのか。それを知りたいのです。

貼れと言われた気がするので有名な増田の記事を貼っておきます。

 

 

私自身はこの増田さんほど桜餅に思い入れはありません。なんなら関東に住んでましたが、関東風桜餅を食べたことがあるかどうかすら記憶がおぼろげです。私は草餅を好んで食べます。桜餅についてはとくにコメントを持ち合わせておりません。

 

そんな私ですが、これを機に道明寺で道明寺を食べれたらおもしろいなと。というわけで行ってきました。

 

大阪阿部野橋駅から近鉄南大阪線に乗り、藤井寺駅で降ります。

 

藤井寺駅

 

藤井寺駅の南口は住宅街

 

歩いていると神社に突き当たりました。

辛國神社です。

 

辛國神社

 

辛い国の神社とは?と不思議ですが、漢字がそうなっているだけで、由来は物部韓国氏にあるそう。お隣の韓国で功績を上げて姓をもらったとのこと。なるほど。

 

 

賑やかな境内だと思っていたら、市が開催されていました。

緑で囲まれた参道に沿って店が並んでいます。

 

辛國神社の市

 

お手製のポスターもありました。

このポスターいいですね。道順もわかりやすくてイラストもあって…

 

お手製のポスター

 

…ってこれはAI製な気がします!

「道」の字の目の部分が日になっています。通常のフォントではなかなかこうならないはず。

 

こういう地域の手作りポスターにAIの手が入ってきたのは2024年頃からでしょうか。盆踊りやフリーマーケットのポスターが、あの妙に黄色い色調で、昔の英語の教科書みたいなキャラクターがいるテイストになってきました。

それまではいらすとやが覇権を握る時代が続いていたので、大きな変革です。

 

いらすとや 神社のイラスト

 

皆さんどう思われるかわかりませんが、私はAIの手の入ったポスターってけっこうおもしろいと思ってます。

個性がなくなって画一化してしまうみたいな論調はあまりピンときません。

このポスターみたいに使い方次第で個性は出ますし、きっと謎の黄色みもいずれはなくなるでしょうから(たぶん)、いまの時代を表しているとも思います。

 

いらすとや AIと仲良くなる人間のイラスト

 

さて、ポスターでもでっかく描いてあるとおり、ここ藤井寺にはとても目立つ建物があります。その名も「アイセルシュラホール」。

 

実は今回のお出かけのもうひとつの狙いはそれを見に来ることだったのでした。

行ってみましょう。

 

アイセルシュラホール

それは大きな船のようでした。地球から旅立つために古代人が造ったと聞いたら「なるほど、そういうやつね」と納得するでしょう。

 

アイセルシュラホール 横

 

アイセルシュラホールという不思議な名前は愛称で、正式名は「藤井寺市立にぎわい・まなび交流館」だそうです。地域交流と歴史文化の発信の場なんですね。

 

入ると1階は地域の人の集めたクワガタが展示されていたり…

 

元木氏のクワガタコレクション

 

お化け屋敷かな?と思ったら大谷翔平のWBSユニフォームが展示されてました。

こういうごちゃごちゃしたかんじ、Goodです。

 

大谷翔平のWBSユニフォームと「侍」の文字

 

解説を読むと、侍JAPANのタオルの文字は、藤井寺市在住の書道家「晃鳳」さんが書いているんだそうです。藤井寺市がWBSと関わりがあるとは。意外な出会いでした。

 

「大谷翔平」タオル

 

WBC負けてしまいましたね…

 

2階は博物館になっていました。

 

ここ藤井寺市は、古市古墳群のある地です。

実は堺の百舌鳥古墳群とともに世界遺産に登録されているのですが、ご存知なかった方もいるのでは。

 

 

堺の大仙陵古墳は日本最大だし、最近は気球も飛ばしていたりと注目を集めていますが、こっちも日本第2位の誉田御廟山古墳があります。富士山に対する北岳(日本第2位)のポジションです。応援してきたいですね。

 

 

展示は、古墳のミニチュアがあったり、古墳に置かれていた埴輪があったりと充実しています。

 

ミニチュア古墳

 

埴輪はいろいろな種類があり眺めていて楽しかったです。

私はとくに水鳥の埴輪が気に入りました。

 

水鳥くん

 

水鳥くんは重要文化財

 

実物大の存在感。優雅な曲線。いいですね~

古代の人々が水鳥を見て、「これ埴輪にしたらめっちゃいいじゃん!」とか話していたことを想像するとほっこりします。

 

また近くには船の埴輪もあり、これはアイセルシュラホールの形のモチーフになっているとのこと。

 

船形埴輪

 

またポスター展示で、「修羅」の説明がありました。知らない単語です。

古墳を造るときに重い石材を運搬するための木製の大型のそりのことらしいです。

これがアイセルシュラホールの「シュラ」の名前の由来だそう。

 

修羅

 

では「アイセル」は?

案内を見ると「アイセル」は以下の頭文字と説明があります。…なるほど?

A:ACTIVITY(活動)

I:INFORMATION(情報)

C:CONSULTATION(相談)

E:EXCHANGE(交流)

L:LEARNING(学習)

 

博物館を見たあと、1階で古墳の描かれた小皿が売られており一目惚れしてGETしました。かわいい!

 

古墳小皿

 

アイセルシュラホールを後にして、住宅街を歩きます。

お腹が減ってきました。

国道170号線沿いにマクドナルドが見えたので入って小腹を満たします。

 

国道170号線

 

マクドナルド 外環藤井寺店

 

エグチ、アップルパイ、コーヒー

 

誉田御廟山古墳もぜひ見たい!ということで、向かいます。

宮内庁が管理している拝所がありました。被葬者が応神天皇陵と解釈されているためです。

 

宮内庁の札

 

こんもりした緑に覆われた山を背にして、水の張られた堀の際に鳥居がぽつんとあります。

 

応神天皇惠我藻伏崗陵 拝所

 

侘びですね。どんな神さまか知らないですが、かたじけないかんじがします(西行リスペクト)。

 

日が暮れてきました。道明寺へ向かいます。

立派な山門から境内に入り、本殿にお参り。

 

立派な山門

 

道明寺本殿

 

ん、本殿になんかいる?

 

キリン

 

キリンだ…

首が長いのはいつものことだけど、なんか足もめちゃくちゃ長い…

ジャコメッティの彫刻みたいです。

そして智慧のある眼差しをしています。徳が高そうです。

 

智慧あるキリン

 

道明寺に隣接して道明寺天満宮があるのでこちらもお参りします。

もともと一つのお寺だったのが、明治時代に神仏分離したようですね。

 

本殿 正面

 

本殿は立派な権現造り。

屋根は檜皮葺。圧巻です。

 

本殿 斜め

 

桧皮葺き

 

次の屋根の葺き替えのための寄付を募集していました。

寄付金を提供すると、檜皮に自分の名前を書いてお渡しできるとのことで、やってみました。

 

檜皮と石の重し

 

マイネーム入り桧皮葺き

 

自分の名前の入った檜皮が屋根の一部になると思うとうれしいですね。

境内には先ほどアイセルシュラホールで説明を見た修羅の復元がありました。

 

修羅(復元)

 

巨大です。実物は南河内の大阪府立近つ飛鳥博物館にあるそうです。そちらもぜひ行ってみたいですね。

 

そろそろ帰ることにして道明寺駅へ。残念ながら今回狙っていた道明寺桜餅は発見できませんでした。家の近所の和菓子店で買うことにしましょう。

 

駅前では、昔ながらの商店街の一角の店舗がバインミーのお店になっていました。

 

道明寺の商店街

 

元のお店の青いシートを活かしてその上からバインミーと書かれています。ベトナム系の飲食店ですね。隣が寿司店で新旧店舗が対照的です。

 

今回は近鉄の藤井寺駅~土師ノ里駅~道明寺駅の区間を歩いたわけですが、「土師」はまさしく埴輪や古墳を造っていた技術者の土師氏の名前に由来しています。1600年前の人の名前が駅名に残っていると考えるとすごいですね。

 

 

大陸から渡来してきた土師氏。土師氏が古墳を造った藤井寺市。

日本の文化は日本に住んだいろいろな人の手によって形作られてきたと考えると、これから日本にバインミーがどう定着していくかはぜひ注目していきたいですね。

 

文化には、だれかが始めた/持ち込んだサブカルチャーがやがてメインカルチャーとなっていく流れがあるようです。日本文化でいうと、ラーメン、仏教、歌舞伎、カステラ…

 

そういえば私たち「埋物の庭」は次のようなコンセプトで街歩きブログをやっているわけですが、

 

街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

 

サークル名が「はにわ会」(※8月28日にブログ開設を思いついたから)なのも合わさって、文学フリマなどのイベントではほぼ毎回「埴輪を研究してたりする考古学のサークルですか?」と尋ねられますが、全然違うので申し訳なくなります。ちなみに「埋物」は一緒にブログで記事を書いている島鉄くん発案の造語で、みうらじゅん氏の「マイブーム」からの連想であるようです。

 

それはさておき、カルチャーの語源が「土地の耕作」で、サブが「下」「副」であることを考えると、「埋物の庭」は実にサブカルチャー的なものを志向する名前のように思えます。ネーミングしたときはそんなことは考えていませんでしたが、それらしい後付けができてうれしいです。

 

これからも私たちの埋物を見つけて、自分の家の庭に飾るように集めていきます。そしてときどきこうして公開したいものですね、埋物の庭を(タイトル回収)。

 

そんなことを考えながら近鉄に乗って夕日に照らされた家並みを見ながら帰路につくのでした。

 

近所の和菓子店で買った道明寺、美味しかったです。いい香りでした。

 

 

『東方鬼形獣』の楽曲を聴きながら

理想的な蒲田

東京に用事があり週末滞在することになった。

金曜日を休みにして、木曜日の夜に関西から新幹線でやってきた。

今回泊まる宿は、蒲田にある「東横INN蒲田1」だ。

 

東横INN蒲田1

 

東横INNにはしばしば泊まっている。

自分は旅行でどんなところに泊まっているかあらためて考えてみると、

 

ビジネスホテル = ゲストハウス >>> 旅館 >>> 民泊 > リゾート/高級ホテル ……

 

くらいの内訳だと思う。

 

ゲストハウスは、大きな都市や観光地に多い。オーナーごとに特色があったり宿泊者同士で交流できることがあり楽しい。それと比較的安価だ。

ビジネスホテルは、ひとりでゆっくりしたいときに選ぶ。あとは観光地でない地方では選択肢が駅前のビジホ一択なこともある。チェーンとしては、東横INN、ドーミーイン、アパホテルをよく使っている。

 

さてそんな東横INNだが、今回泊まった東横INN蒲田1こそがその始まりの地であり、1号店なのだ。「東横INN」の名前の由来にもなっているらしい。

 

1986年、東京・蒲田(大田区)に1号店「東横INN蒲田1」は誕生しました。東京と横浜のちょうど中間点にあるから「東横」。東横INNというホテル名はこのようにして生まれました。

沿革/東横INNグループ|株式会社東横イン 公式企業サイト

 

実際にその場に来てまず思ったのが、建物がいつもの東横INNと違うということだ。

 

朝の東横INN蒲田1

 

比較として東横INN梅田中津1

 

東横INNといえば、夜に青く輝く看板だ。

蒲田1では、「HOTEL TOYOKO INN」というほかではあまり見たことがない表記で、しかも建物には電話番号が書かれている。これは昔からそのままのデザインだろう。

 

内部の写真は撮らなかったが、だいたい想像のつくとおり。今年で40年目だがきれいに修理維持されていた。一点、部屋の暖かさに比べて浴室がほとんど外みたいな寒さだったのでやっぱり昔の建物なんだと感じた。それでもこうして残っているだけでうれしいので、末永く建っていてほしい。

 

翌日朝、東横INNの朝食は取らず、ヤクルトだけ飲んで発つ。

朝ごはんはどうしようかとJR蒲田駅に歩いていると、

 

駅への道

 

駅の建物の屋上になにかある…?

目をこらすと…

 

駅への道(拡大)

 

観覧車だ!

屋上遊園地があるらしい。今では珍しい。蒲田にもあるとは知らなかった。

昨年、高槻の松坂屋「屋上遊園 スカイランド」を訪れてよかったので、またほかの屋上遊園地に行ってみたいと思っていた。

 

スカイランド アンパンマンやドラえもんの遊具がある

 

スカイランド 奥には北摂山系が見える

 

というわけで、いても立ってもいられなくなり、朝ごはんよりも先に屋上遊園地を目指すことに。

駅に近づくと、東急プラザがあって、その屋上に「かまたえん」があった。

10時から営業していて助かる。

 

かまたえんの案内

 

屋上に出ると、生搾りオレンジジュースの「IJOOZ」の自販機が。一杯350円だ。

ちなみに自分の家の近くのは最近250円になった。まだ飲んだことがないのでいつか飲んでみたいと思っている。

 

IJOOZの自販機

 

そしてなんか黄色いポップなタワレコみたいな色の看板あるなと思ったら、「カマタしようぜ!」と書かれている。

 

来れば来るほど、住めば住むほどハマってしまう街、蒲田。

 

かまたえんが地元の人から愛されていることがわかる。いいポスターだ。

 

カマタしようぜ!

 

奥のほうに観覧車があった。

小ぶりな木みたいフレームに、実みたいな乗り場があってかわいい。

 

「幸せの観覧車」という名前

 

平日朝なのでぼく以外に人はいない。

係の人にチケットを渡してさっそく乗り込む。

 

観覧車内部

 

ぐんぐん高くなっていくと、視界が開けた。

とても眺めがよい。

あ、さっき歩いてた道だ。

奥のほうに見えるのは富士山だろう。山頂が白い。

 

いい眺め

楽しい時間だった。もうすっかり蒲田にハマってしまった。

 

お腹がすいてきたので、駅前で朝ごはんを食べよう。

広場で探していると、正面の白いビルが気になる。

 

和蘭豆ビル

 

ビル壁面と、オレンジ色ののぼりに「和蘭豆」と書いてある。

喫茶店の持ちビルということだろうか。それってすごい。

 

和蘭豆ビル 拡大

 

和蘭豆ビルのテナントを見ると、2階と6階が和蘭豆だった。喫煙と禁煙で分けているみたいだ。

 

和蘭豆ビルのテナント

 

朝ごはんには、サラダとパンとコーヒーをいただいた。

このごろ野菜をたくさん食べられるサラダにハマっている。健康にいいのは気分がいいし、山盛りを食べられて楽しい。ドレッシングにも種類がいろいろあって、探求しがいがある。

 

朝ごはん

 

お腹を満たしたので、散歩をしよう。

蒲田は、JRと東急の駅が接してあって、800mほど離れたところに京急の駅がある。

駅前にはたくさんの飲食店があり、今回は行けてないが商店街もあった。

 

西口から南口に向かう通路

 

南口から歩いていると、大きなユザワヤがあった。それも何店舗も。

新宿にヨドバシカメラがたくさんあるみたいなノリである。

 

ユザワヤ⑦ 羊の時計がかわいい

 

手芸用品のユザワヤはここ蒲田が発祥らしい。知らなかった。東横INNといい、蒲田にはなにかがあるらしい。蒲田から日本全国へ。

 

ユザワヤは、ぼくの場合は、文学フリマなどのイベントに出店するときにブース設営で机に敷く布を買うのでお世話になっている。

 

環八を越えて京浜東北線沿いに南へ歩いていると、大きなビルが現れた。

富士通ソリューションスクエアだ。

広いなあと見ていると、ちょうど12時になって中からたくさんの人が出てきて、蒲田駅方向に歩いていった。

 

富士通ソリューションスクエア

 

さらに歩いているとこんな看板が。

 

タイヤ公園の案内看板

 

タイヤ公園まであと400m。

そう、実はぼくはただ歩いているわけではなくて、タイヤ公園を目指している。

どこかで写真を見て以来ずっと行きたいと思っていて、今回がそのときなのだ。

 

まっすぐな道

 

京浜東北線の青い電車を何本か見ながら歩いていると、それは突然現れた。

 

 

公園のなかは別世界だった。

目につくすべてにタイヤがついている。

 

 

公園の横は団地なのだが、日常⇔非日常の対比がすごい。

 

 

この公園はぼくの知らない独自のルールで構築されている。

そんな印象からシュヴァルの理想宮を連想した。

フランスにある、郵便配達員が作った独自の建築群である。

 

ja.wikipedia.org

 

あるいは『呪術廻戦』の領域展開にも近いかもしれない。

とにかく、だれかが構築した特別な世界に足を踏み入れた感覚だ。

 

そう思ってしばらく公園をぶらぶらしていたのだが、15分ほどすると不思議と馴染んできた。タイヤは奇抜であるが、ブランコや滑り台は一般的な公園と同じようにあるので、公園としての機能はほかと変わらない。

 

それに、地元のご両親に連れられた子どもが遊んでいる様子を見ると、この子たちにとっては通いなれた日常の公園なのだなと思った。

 

 

人は、ふだん見たことのないものを特別に感じる。

しかしそれは別のだれかにとっては特別でもないわけで。

 

旅や街歩きの醍醐味はそういった特別さに意識を向けることなのだなと、ベンチに座りながら思った。

 

時刻は昼。朝は軽めだったのでお腹がすいた。昼ごはんを食べよう。

京浜東北線の線路を渡ったところに、イタリア料理店の「メルヘン」がありそこでパスタをいただいた。具だくさんで美味しかった!

 

メルヘンのパスタ

 

そして黒湯で有名な蒲田温泉でのんびりした。

 

お湯がタールのような黒さで、浴槽や蛇口がすべて黒く染まっていて不思議だった。ちょっとタイヤ公園に似ているかもしれない。

 

蒲田温泉

 

蒲田を後にして、電車に乗っていると、やっぱり「カマタしようぜ!」に書いてあったことはほんとうだと思った。

 

誰もがヤミツキになるこの街

 

理想的な街、蒲田。また来たい。

2026年 新年の目標とネガティブケイパビリティ

須磨浦公園からの眺め。日の出ではなく日の入。2026年でなく2025年撮影。

新年明けましておめでとうございます。

正月休みもそろそろ終わってしまいますね。皆さんいかがお過ごしでしたでしょうか。

 

私は年明けになって近くの神社に初詣に行ったくらいです。あとはとにかく家で寝たりだらだらしていました。お正月はこういうかんじでいいと思っています。
無為な時間を過ごすことにも意味があるような気がしています。

 

年末に友人と「toi books」に行ってきました。もともと大阪の本町にあったお店ですが、2025年に移転して、駒川商店街の脇にできました。敷地には以前「本のお店スタントン」というお店があったようです。

 

toi books。右奥が駒川商店街。

 

mailtotoibooks.wixsite.com

 

選書がぼくの好みにハマっていて、素晴らしい本屋さんでした。3冊買って年末年始に読んでいます。その1冊が『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』でした。

 

「ネガティブケイパビリティ」は(この記事内では中点を取って表記することとします)、不確実で解決できない事態を受け入れる能力のことです。本のなかでは以下のように説明されています。

 

 私たちは「能力」と言えば、才能や才覚、物事の処理能力を想像します。学校教育や職業教育が不断に追求し、目的としているのもこの能力です。問題が生じれば、的確かつ迅速に対処する能力が要請されます。

 ネガティブ・ケイパビリティは、その裏返しの能力です。論理を離れた、どのようにも決められない、宙ぶらりんの状態を回避せず、耐え抜く能力です。

帚木蓬生『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』朝日新聞出版、2017年、9ページ

 

ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)

 

なるほどなと思ったのは、生きていて経験する事態のうちですぐに問題解決のできる領域は想像以上に少ないという認識でした。これは30年ほど生きてきて実感があることです。正解の決まっている問題を解くことをポジティブケイパビリティとするならば、そういった方策が有効ではないことはすべてネガティブケイパビリティの範疇です。

 

本を読んでいて、「なんとかやっていくしかないな……」と踏ん張ってきたこれまでの日々を振り返りました。あの日々、あの姿勢は私の身につけた生きる術だったのだなと救われた気になりました。そしてそれをこれからも続けていくのだな、と思います。

 

さて、こうネガティブケイパビリティについて書いてきて、新年の目標を語るのは主張がブレるように感じられますがそうではありません。能力としてはポジティブとネガティブの両輪が必要だと思っています。また、目標を言葉にするのは必ずしも「問題解決」を意味するとは限りません。

 

どういうことか。文章を書くという営みは、自分でもよくわからない自分の頭のなかの思考を言葉に変換して、自分自身で納得する作業だからです。これは事態に対してポジティブ/ネガティブな態度を取る前段階の、そもそもの事態の認識です。言葉にしたうえで、解決できそうなことだったら対処をし、そうでなかったらひたすら待つのです。事態が自分の権能の及ぶものかどうかを見極めるための術と言ってもよいでしょう。だからいまの自分と向き合って、今年じっくり向き合いたいことを言葉にすることには意味があると思うのです。

 

そんな思索を年末年始していました。新年は普段考えないような壮大なことを考えがちですね。というわけで私の今年の目標は、住んでいるこの場所を楽しむことです。

 

この場所というのは大阪のことであり、そこから気軽に旅に行ける関西一円のことでもあります。東京から大阪に引っ越してきて3年半。いろんなところに行ってきましたが、まだまだ足を延ばせていないところもあります。

 

いつまでこの地に住むか決めていません。最近になって別の場所へ引っ越したい気持ちも出てきました。幼少期から引っ越しが多かったので、だいたい3年くらい経つと住む場所を変えてみたくなるのです。もし大阪に住んでいる時間に期限があるならば、それまでを存分に楽しみたいと思い、この目標にしました。これまでだったらたぶん答えを急いですぐに引っ越していました。いまはそうではなくて、ただこの時間を大切にしたいと思うのです。

 

最後にちょうど聴いていた曲から歌詞を引用します。「音楽」について歌っているのですが、Itを「時間の流れ」として解釈すると別の味わいがあります。

 


www.youtube.com

 

It will take us through the night

And where I'll go

Can't explain I'll never know

But it's beautiful

It Run's Through Me

Tom Misch『It Runs Through Me』、2018年

 

いい年にしたいですね。皆さんもよい日々、よい旅を。

 

読書感想文 堀江敏幸『雪沼とその周辺』

最近寒くなってきたので暖かくしてゆっくり小説を読んでいる。

小説を読むことは旅をすることと似ている。見たことのない風景を見て知らなかったことを知る。旅をする前とは世界の見え方が変わる。

 

Twitterの友人のしゆさんからアドベントカレンダーで読書感想文を書かないかと誘っていただき、初めて参加してみた。機会を与えていただきありがたい。

 

ということで街歩きブログで読書感想文を書いてみよう。

 

adventar.org

 

『雪沼とその周辺』(以下『雪沼』)は全7編から成る連作小説だ。

 

雪沼とその周辺 (新潮文庫)


タイトルどおり雪沼とその周辺で暮らす人々を描いている。ある話で登場した人物や店がほかの話でも出てきて、読み進めると作品世界の広がりを感じられる。

 

気に入った描写を一つ引用したい。

 

ついさっきまではただの透明な一枚の板にすぎなかったガラス窓に室内灯が照り返って、視線を外に逃がしてくれない。相席している他の三人と通路のむこうのボックスの乗客の顔が、白い映像になって固いスクリーンに浮かんでいる。さっきなにかが飛んで行ったように見えたのは、反射光のいたずらだったのだろうか。いや、そんなはずはない。外はまだなんとか明るさを保っていたし、光にしては物の質感がありすぎた。おまけにあれは白ではなく、たしかに青っぽかった。慣れない老眼鏡の掛け替えをしているせいで眼に疲れがたまっているとはいえ、あれが見まちがいだったとはどうしても思えない。左の親指と人差し指で、香月さんは眉間のあたりをつよく押してみた。経理の洞口さんが教えてくれた眼のツボだ。

堀江敏幸『雪沼とその周辺』、新潮社、2007年、172ページ

 

外が暗くなって窓ガラスに室内灯が反射して視線が外に出られない、ここではそんな日常で目にするけれど意識して焦点を当てたことがなかった出来事が表現されている。小説を読んでいて楽しいのは、こういう描写にふれて世界の見え方が豊かになった瞬間だ。

 

この描写から本作の語りについて述べたい。香月さんは「緩斜面」の中心的な登場人物なのだが、『雪沼』ではこのように一貫して登場人物は「~さん」と呼ばれる。作者は物語世界の外から、人々の行動や思考を三人称で語っている。これにより文章を読んでいると雪沼とその周辺の日常を一歩引いたところから、カメラのレンズを通した映像を見ているような気分になる。

 

またここでは視線、明るさ、眼というように視覚の描写が細かくされているわけだが、『雪沼』ではこのように五感の描写が細かい。そして物語の主題と関わりながら描かれるのが特徴的で巧いと感じた。例えば聴覚については、「スタンス・ドット」でハイオクさんがボーリングを投げてピンをはじく音、「レンガを積む」で蓮音さんのレコード店の家具調ステレオから流れるレコードの音。味覚については、「イラクサの庭」の小留知先生のつくったイラクサのスープの味、「ピラニア」の安田さんの冷めても食べられる中華料理の味といったように。一つ一つの描写が登場人物の心情に深く根ざしていて作品に調和していた。

 

さて、連作を続けて読んでいて、その終わり方が予想できたものとそうでないものがあった。読んでからのお楽しみなのでどの作品かは書かないが、意外な後味のものがあったりして、何本か読むまで慣れなかった。振り返ってみると本作の多くは明るい話ではない。登場人物たちは年齢を重ねてなにかしら人生の課題を抱えている。天気でいうと曇り、音楽で言うとマイナーな響きといったところだろうか。しかし半分くらい読んでからはそうした味わいもいいのではないかと感じられるようになった。ビールのIPAを飲んでホップの苦みの余韻を美味しいと思えるように。

 

雪沼という印象に残る名前の沼が出てくるかはこれも書かないが(夏の雪沼が気になる)、風景の描写も、先ほど述べた感覚の描写と同じように丁寧だった。雪沼のゲレンデ、尾名川とそのまわりの河岸段丘、権現山の南の商店街。冒頭で書いた作品世界の広がりはそういった描写の積み重ねによるところも大きい。

 

というわけで読書感想文でした。

皆さんも本を読んで読書の旅に出かけてみましょう。

さんぽ神のお告げにしたがって

ようやく夏が終わり心地よく散歩のできる季節が訪れた。

 

けれども暑さで出不精になり、そのうえ10月中旬までひたすら資格試験の勉強をしていたぼくは、すっかり散歩から足が遠ざかっていたのであった。

 

散歩ってどうやったらいいんだっけ。一歩目の踏み出し方を忘れていた。

 

そこで困ったぼくは神頼みをすることにした。
具体的にいうとヨドバシドットコムで「さんぽ神」を注文した。

 

 

さんぽ神は小さい本で、前半のページには「どこで」が、後半のページには「なにをする」が書いてある。ページをめくり神のお告げにしたがえば、楽しく散歩ができるってわけ。

 

さんぽ神。想像以上に小さい。

 

お告げを授かる

さっそくお告げを授かろう。

 

どこで

カタカナの入ってる地名のところで

 

なにをする

かわいいものを探そう

 

というわけで、カタカナの入ってる地名のところでかわいいものを探そう。

 

お告げの地へ

ひとまず駅に向かう。

カタカナの入ってる地名でまず思い浮かぶのは、滋賀県高島市マキノ町だ。

 

 

まだ訪れたことはないのだが、地図でカタカナの地名は目立つのでずっと気になっていた。しかしいまは午後3時。大阪市内の自宅からこれから向かうと日が暮れてしまう。マキノはまたの機会にしよう。

 

次に思い浮かんだのは、ポートアイランド六甲アイランドなどの湾岸エリア。新しく開発された場所ならきっとカタカナ地名してるはず。

 

 

というわけでJRに乗って西を目指していたのだが、ぼーとしてると電車はなぜか北に進んでいた。ポーアイ、西なのだが……。

 

どうやら神戸線に乗ったつもりが福知山線に乗っていたらしい。
こういうことってあるよなと思う。そして大事なのはこうなっちゃってからなのだ。

 

地図を見る。懸命にカタカナを探す。

厳しいかと思っていたが、なんと近くにカタカナ地名は…あった!

 

その名は大阪府池田市ダイハツ町

 


大阪に本社のあるダイハツ工業のお膝元である。

 


企業名が市区町村名の由来になっているケースはけっこうある。
愛知県には豊田市トヨタ町があり、群馬県にはスバル町があるといった具合に。

 

ダイハツ町へは北伊丹駅から歩いて行けそうだ。さあ散歩を始めよう。

 

北伊丹駅

北伊丹駅は線路の東側にユニ・チャームの大きな工場、西側には西猪名公園があるのが特徴だ。駅前に商業施設は見当たらない。

 

都市計画法では用途地域というものが定められている。都市計画区域内の土地は、住宅地、商業地、工業地などいくつかの種類に分けられている。調べてみると北伊丹駅周辺は「準工業地域」に該当していた。

 

 

準工業地域」とはどんな地域か?名前からだいたい想像つくがこんなかんじ。

 

道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です*1

 

さて北伊丹駅にはいかにも初めて降りた風に書いているけども、実は前に一度降りたことがある。そのときはヒロコーヒー伊丹いながわ店を訪れて、そこから猪名川沿いに伊丹駅まで歩いたのだった。

 

今回もちょうどコーヒーが飲みたくなったのでまずはヒロコーヒーに向かった。一回行ってよかったところはまた行きたいものだ。

 

道中。高架は国道171号線

 

ざっくり「京都」

 

オートバックス。自動車関連施設。

 

ヒロコーヒー 伊丹いながわ店。かわいらしい建物。

 

ヒロコーヒーは、大阪駅エキマルシェ大阪で飲んで美味しかったので店舗に来た経緯がある。ほかにも豊中や西宮にも店舗があるみたいなので、ぜひ行ってみたい。

 

 

ブラジル。美味しい。

 

店内には『四季の珈琲』という雑誌が置いてあって読んだ。

 

『四季の珈琲』

 

日本のコーヒー栽培、コーヒーカップの歴史、喫茶店のエッセイなど、コーヒーってこんなに多角的に語れるんだと驚いた。

 

 

ヒロコーヒーを出るとすぐ猪名川がある。

 

猪名川の土手

 

猪名川の看板。国土交通省かつ建設省

橋の上からは猪名川大阪市内を望むことができる。

 

大阪市内のビル群を望む

 

するとこちらに向かって飛行機が飛んできた。

 

迫力がすごい

 

大きな音、大きな機体。伊丹空港から飛び立った飛行機だ。

 

飛行機はどこを目指すのだろう

橋は軍行橋という物々しい名前で、調べてみると明治時代に陸軍の演習が行われたことに由来するそう。

 

 

橋を渡った少し北がダイハツ町だ。

 

ダイハツ町 遠景

 

奥におなじみの赤いDのロゴが見える。

 

ダイハツ町 拡大

 

またまた用途地域を確認すると、ダイハツ町は手前の一部が準工業地域で、ダイハツ工業があるほとんどの範囲は工業地域となっていた。果たしてかわいいものは見つかるのだろうか…?

 

不安を覚えながら進んでいると、川のにおいが強くなってきているように感じる。目の前には池田市下水処理場が現れた。

 

池田市下水処理場

下水処理場はあまりかわいいとは言えなそうである。カタカナ地名に行きさえすればかわいいものはすぐに見つかると思っていたがなかなか難しい。

 

皇大神社があるのでかわいいものがあるように祈る。

 

皇大神社

 

いよいよ地図上でダイハツ町に入ったのを確認する。ダイハツ工業の巨大な敷地が広がっている。壁と用水路に挟まれた道を歩く。

 

道をまたぐ配管は機能美を感じる

かわいいってなんだろう。思考をめぐらせる。

そして気がつくと空港や下水処理場と生活との関係について思考は推移していた。

 

飛行機で遠くに行けること、上下水道を利用できることで、生活は便利になる。

その反面で、空港のまわりでは大きな音がするし、下水処理場の近くではにおいがする。

便利なシステムはある程度環境に負荷をかけて成立している。便利さの裏には不便さがある。

 

雲間から差す光は美しい

 

セイタカアワダチソウはすこしかわいい

 

ダイハツ町の端に近づく。

かわいいものはどこにでもあるわけではないんだなと思っていたら、目の前にこんなものが。

 

かわいさ

 

あ、かわいい。

丸みを帯びたフォルム、たよりなさげな脚で、なんか浮いている。

 

これはどう見てもかわいいでしょう。

この建物はダイハツヒューモビリティワールド。ダイハツ工業の企業ミュージアムだ。

 

 

地図アプリを確認したらすでに行きたいとこリストに入っていた。こんな形をしていたのか。残念ながら今日はやっていなかったが、また来たいと思う。

 

ダイハツ町ダイハツヒューモビリティワールド

 

ダイハツ町ダイハツ工業株式会社本社

 

ダイハツ町にはかわいいものがあった。

というわけで、カタカナの入ってる地名のところでかわいいものを見つけることができたのであった。

 

帰り

帰りがけにもついかわいいものを探してしまう。

 

全国地域安全運動のポスターはおたふく顔でかわいかった。

 

おたふく顔でかわいい

 

箕面川に沿って東に進むと阪急の石橋阪大前駅だ。

歩いてお腹が空いたので店を探していると、どデカく中華そばの文字が。ここにしよう。

 

ファミーユ

 

中華そば 表があれば裏もある

 

店名がびっくりするくらい今日考えていたことだったので驚いた。

そうなんだよな。表があれば裏もある。表だけ見ていてはわからないこともある。

 

というわけで、(裏)特製中華そばをいただいた。

 

お品書き 裏

 

(裏)特製中華そば

 

煮干しがきいて大層美味しかった。(裏)は澄んだスープの(表)よりも魚介が濃くパンチがあるらしい。これが裏の魅力なのだ。

 

さんぽ神のお告げにしたがって散歩をしたら、表と裏について少しだけ理解が深まった気がする。小さな満足感を覚えて、帰路につくのであった。

 

阪急石橋阪大前駅