いざいざ奈良。
みなさん、奈良県に今年は何回訪れましたか??
冒頭にある謎の文言「いざいざ奈良」はJR東海が2022年5月より開始した新キャンペーンを指します。
うーん、京都と比べて若干ダサいよーな……。
ちなみに「奈良は、行くからおもしろい」がキャッチコピーです。
そう!奈良は行ってみて初めてその面白さを実感するポテンシャルの高い県なのです!
さて、前回は知る人ぞ知る(?)大和朝倉駅から山の辺の道*1を歩いて、古代の息吹を感じつつ大神神社へ向かっていました。
今回はいよいよ、本殿がなく三輪山を拝む古式ゆかしい大神神社へと詣でます!
大神神社は8年前(2022年現在)に一度訪れているのですが、「こんなに広かったっけ……?」と圧倒されました。大神神社の他にもちょっとしたよきスポットがあったのでご紹介します。
さあ、いざいざいざ……。
変わったもの、変わらないもの~大神神社~
ピカピカの三輪山会館の横をすり抜けると、大神神社の参道へと出ます。
実をいうと、8年前に大神神社へ訪れた島鉄にはこの綺麗な三輪山会館の記憶が全くありません。
それもそのはず、この施設(正確には三輪山会館「直会殿」・「能楽堂」です)は2019年に竣工しました。
記憶にないどころか、存在していなかったなんて……。
しばらく行かないと分からなくなってしまうナア……と思いつつ参道へ出ました。
よかった、ここは8年前訪れたころとあまり変わってなさそうです。
有名観光地なだけあって行き交う人の数は多く、あまり人のいない山の辺の道を歩いていた島鉄は圧倒されました。
まだ大神神社に入ってすらいないのに……。中は広いからいい感じに分散されるかな。
と思いつつ、昔ながらのタバコ屋の横をすり抜けて気づきました。
道が……綺麗になっている??!
それどころか、おもいっきり工事してる!?
前はこんな感じじゃなかった、キミ??
それがいまや、垢ぬけちゃって……。
8年前と変わらないのは、木造の鳥居とその先に広がる大神神社の森、白砂利の道でしょうか。
鳥居をくぐり、森のなかを抜け拝殿へと向かいます。
手水舎には神社でよく見かける”あの女の子”がいました。
ただし、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっているため、ひしゃくを使わず手を清めます。手水のつかいかた教えてくれた女の子、ごめんやで。
神社の水玉のワンピースの女の子は大阪出身 :: デイリーポータルZ
大阪出身だったんですね……。ハイソな住宅街の帝塚山辺りにお住まいなのかもしれません。
手水を終え、拝殿の方へ向かう途中、巨大な境内案内図がお出迎え。
こ、こんなに境内広かったっけ?想像以上に大神神社の境内が広いです。
展望台なんてあったんだ……。
島鉄は8年前、大神神社のほんのわずかな部分しか参拝できてなかったのです。
拝殿はなにかイベントをやっているみたいでした。どうやら、そうめんと並んで有名な三輪のお酒の醸造祈念のようです。
これだけ大きくとも、この大神神社に本殿は存在しません。人がどんなに大きな社殿を建てようと三輪山より大きなモノは作れませんからね。
とゆーわけで、三輪山を登拝(登って磐座や神様を拝むこと)すべく登拝口のある狭井神社へ(境内マップの左上にあります)向かうぞ〜!
……と意気込んだのですが、新型コロナウイルス感染症の影響から登拝は中止しているみたいでした。
な、なんと無情な……。
せっかくなので狭井神社へは向かうことにします。
ってエレベーターがある?!
他にも寄進された車いす用スロープを見かけました。大神神社はバリアフリーに取り組んでいます。
そんな誰にでも優しい大神神社にはちょっとした宝物館まであります。
うーむ、神社界のテーマパークのようですね。
宝物収蔵庫を覗いて、人疲れした(ひっきりなしに多くの方が拝みに来る観光スポットなので)身を休め、いざ狭井神社へ!
ご神水ってなんだ……?間違いなく昔からあるはずなのに、8年前の記憶にないので混乱しました。
そんな混乱状態の島鉄にさらなる未知のスポットがお出迎え。
久すり道です。
これも記憶にありません。なんで??
協力者に塩野義製薬の名前が入っています。
そう言われると関西には歴史のある製薬会社が多いイメージ。
たとえば大阪道修町には薬の神社があり製薬会社が立ち並ぶ光景が見られます。
奈良も漢方で有名なツムラ発祥の地です。
この久すり道は名前の通り、漢方薬の原料となる植物が道の左右に植えられています。
なかなか足を止めてじっくり見る人はいませんが、島鉄はせっかくなのでチラチラ見ていました。なるほどホオノキは胃を良くしてくれる、痰を吐きやすくする効用があるのか、最近もらった薬と同じ効果だなぁ。ひょっとして島鉄のために植えられている……?
思った以上に薬の原料となる植物の種類が多くて驚きました。
そして、道の左右を照らす灯籠には製薬会社の名前が。
後で調べたところ狭井神社は病気平癒の神様を祀ることから、このような久すり道が整備されたそうです。
そして、病気平癒に効くというのが、前掲の看板で書かれていたご神水なのだとか。
これは何としてもご神水をゲットしたいですね。
しかしながら、朝から歩いてきた島鉄のお腹はそろそろ限界に近づいてきました。
水じゃお腹はふくれません。薬も食後に飲むもの(偏見)。
腹ごしらえに懐かしい雰囲気をたたえる茶屋で三輪名物のそうめんをいただくことにしました。
店内からは外の池も見られます。しばし休憩……。古い畳にふすま、壁に貼られたメニュー短冊。実家のような安心感に包まれながら
温かいにゅうめんを食べ、エネルギーチャージします。
個人的に、麦茶のはいった小さなやかんが可愛くて気に入りました。
さて、店を出て少し歩けば狭井神社の鳥居が現れます。
よっしゃ!待ってろご神水!
こ、これがご神水……?
コロナ禍前はここの奥からご神水が飲みホーダイだったようです。
が、現在は感染予防のため禁止。
手前にある竹で作られた「清浄の音」こと水琴窟で、ご神水の落ちる風流な音を聞き、狭井神社で病気平癒とコロナ禍が落ち着くことを祈ります。
しかし、ここで島鉄に朗報が。
なんと、ご神水が特設コーナーにて汲みホーダイだというのです。
太っ腹〜。行ってみましょう。あ、あれは?!
な、なんとメチャメチャ庶民的かつ簡素な作りでした!ご神水≒御神水。
拝戴所という堅苦しい名前がついてますが、どことなく給水所っぽさがあります。
お持ち帰り用のペットボトルを洗える場所まで設けている始末。なんて気の利く御神水拝戴所なんでしょう……。
蛇口をひねり紙コップでいただく御神水は若干ありがたみが薄いよーな(そもそも狭井神社の社務所でペットボトルで売られていましたが)。
ただし、水は美味しいです。さすが日本酒の名所!
これで島鉄のよわよわな胃腸も少しはマシになることでしょう。
三輪山に登拝できなかったのは残念でしたが、コロナ禍が落ち着いたらチャレンジしたいな。
秋景色の池のほとりを歩きながら、そう思いました。
記事文中では紹介しきれていませんが、拝殿や狭井神社へ至る道の途中にたくさんの摂社末社が祀られていました。
賽銭がほぼなかったのでスルーしてしまった末社もあります。大神神社にはまた行かないといけませんね。
平等寺を忘れない
大神神社の広い境内をぐるりと周り、ふと気になったことが。そういえば、冒頭に載せた境内図の中にお寺があったよーな……。
そう、大神神社の広大な境内地のうち一部は平等寺の境内でもあるのです。
でした。
そのため境内も広かったのですが、明治時代の神仏分離令により、大きな影響を受けて今では小さなお寺になっています。
三輪山平等寺(桜井市 三輪) - 一般社団法人 桜井市観光協会公式ホームページ
小さな道を歩いていくと、そこに現れたのは……。
美味しい珈琲の店でした。
なんだか、一大観光スポットからいきなり普通の住宅の並ぶ丘陵地帯にワープしたみたいで混乱してきます。
しかし駐車場申し込処があるあたり、この一帯はやはり観光スポットであることが分かります。
……駐車場申し込処???
どうもここに申し込まないと駐車場は利用できないみたいですね。一大観光スポットにおける駐車場問題は深刻です。
にしても、ここに入るのちょっと勇気がいりそう……。
美味しい珈琲の店で心を落ち着ける必要がありそう。
そんなとりとめのないことを考えていたら着きました。
最盛期と比べれば小ぢんまりとしているのでしょうが、木立のなかにある落ち着いた古刹、といった雰囲気で島鉄は好きです。
そして、往時の隆盛を失ってから平等寺復興のため幾度となく行った托鉢や、心ある多くの方々の寄附のお陰で現在の平等寺がある、と山門のすぐ近くの石碑に刻まれていました。
つい最近(とゆーかさっき)知ったばかりの島鉄でもここまで寺院を立て直すのに苦労したのだろうなぁ……と感慨深い思いに包まれます。
その象徴とも言えるのが、この赤門!
なんか、この門だけショボいな(失礼極まる)と思った島鉄でしたが、それもそのはず。
この門は現住職が手作りで建てた門なのです!
DIY山門……!
廃仏毀釈により、ほぼすべての伽藍*3が壊された平等寺を復興するにあたって、まずは自分で門を建ててみる。
その逞しさ、自分の代でこの歴史ある寺を復活させたい、という熱い思いが伝わってきますね。
ちなみに平等寺に来て初めてくぐった山門が唯一当初より残っている建築物だとか。
さらに調べてみると、前回紹介した金屋の石仏もここ平等寺で安置されていたもの。
ううむ、それだけ歴史のある寺院なら復興を望む声があがるのも分かります。
今では境内こそ広くないですが、立派な伽藍が並んでいます。
さらに……。
かわいい猫もいます。人馴れしてるのかまっったく動じません。その代わり愛嬌を振りまく素振りはなく、ずーっとペロペロ全身を舐めてました。でもかわいい。
大きな本堂では、イベントもときには行われるようです。
このときは一年に一度の奈良の秋の風物詩、「みん芸*4」の一環でクリスタルボウルの演奏をやっていました。
大神神社と比べて影に隠れがちな、かつて神宮寺だった平等寺ですが、復興への困難な道を乗り越えた歴史と文化イベント、木立を抜けて現れる伽藍。
スルーしてしまうのは勿体ない、そんな穴場スポットでした。
大神神社をまわるだけでもヘトヘトになりますが、三輪なら一度行ったことあるなぁ……くらいの方は平等寺も是非訪れてほしいです。
なお、ひっそりと万葉歌碑が安置されています。
秋らしい1首を目にし、島鉄は謎の満足感を得て平等寺をあとにしました。
奈良駅の手前は素敵な駅でした
昔はこの時の止まったかのような乾アロエ本舗にビックリしたのですが、参道工事と同じくこの辺も観光客向けにアップデートされていました。
あ、アロエ本舗自体はあります。お暇な人はこの8年前の写真からどれくらい変化したか見てみてくださいね!
さて平等寺から大神神社の大鳥居を眺めながら、島鉄は最寄りのJR三輪駅へと着きました。
ところでみなさん、奈良観光の際にJRは使いますか??
法隆寺に行くとき、くらいしか島鉄は使ったことがないのですが奈良県民ですら近鉄ばかり使っている(偏見)のではないでしょーか。
しかし、ここ大神神社の鉄道最寄り駅は三輪駅。
れっきとしたJR桜井線(愛称は万葉まほろば線だとか。素敵な響きですね)沿線なのです。
このままJR奈良駅……へ向かってもいいのですが、それだと大阪難波まで帰るのが面倒くさい。かといって近鉄奈良駅までJR奈良駅から歩くのもなぁ……。
悩む島鉄の頭に天啓が降りてきました。
「奈良の手前、京終駅に行くのです……!」
……それは冗談として、実際JR奈良駅は何度も利用しているのでその一駅前にある「京終」という雅な名を冠した駅には興味がありました。
京終──都の果て、には何があるのでしょーか?!
京終駅の名も然ることながら、一駅前の帯解(おびとけ)駅もなかなか気になる駅名ですね。
古刹である帯解寺に由来するようなのですが……やっぱり奈良は面白い!
なんだか駅舎がきれいになってる?!
そう気づいた方は中々の奈良マニア。
明治時代の開業当時をイメージしてリニューアルしていたのですね。
このレトロなイメージとマッチしているかは分かりませんが、地元のオッチャン三人組が駅前ベンチで一時間以上ダベってました。
狙い通り(?)街のコミュニティとして機能してます。
島鉄的になにより嬉しいのは駅構内に喫茶店兼雑貨屋さんがあること!
旧駅務室の空間を再利用したお洒落な喫茶店は若干入るのに緊張しましたが、中に入ると居心地がよく1時間ほど休憩していました。
ここでのんびり、コーヒーを飲んで読書して、いい頃合いに電車に乗る。
最高の休日が過ごせますね。
西日が眩しいな、と思っていたら店員さんが窓のロールアップカーテンを下げてくれました。
細やかな配慮がありがたいですね。助かります。
ちなみにロールアップカーテンを上げると、京終駅とJR桜井線を走る鉄道車両を見られるので鉄道好きにもオススメなスポットです。
鉄分補給(?)もできたところで、島鉄は京終駅からならまちを歩いて近鉄奈良駅へと向かいます。
ならまち名物黄色い壁。
この辺を散策するだけでも結構楽しいのですよ。人がそれほどいないのも、京都や鎌倉とは違って落ち着いて好きです。
単に人気(にんき)がない、とかそういうわけではありません。興福寺のお膝元、猿沢の池のスタバが激混みなことを見れば人気がない、とは決めつけられないはずです。
なんなら県庁近くのバスターミナルに入ってるスタバも混雑してますしね(←スタバしか基準がないのか?)。
さらにトコトコ歩くと奈良の古刹に出会えます。
新薬師寺は「十二神将像」がカッコイイのでおススメです。あなたの推し神将(言いにくい)がきっと見つかるはず……。
この他にもたくさんの町家風の素敵なお店や、学園祭の雰囲気に包まれた奈良教育大学など惹かれるスポットがありました。
記事の都合上、紹介できませんが東大寺だけ見て終わり……という方には是非その南にあるならまちへ足を運んでみてほしいですね。
それでは行基さんの手前、ならまちと近鉄奈良駅を結ぶ一大商店街の「奈良もちいどのセンター街」にてお別れです。
名に恥じぬ(?)餅屋の繁盛っぷりに驚きました。
奈良、なんだかんだ観光客もジモティーもいて最高!!
来年は奈良のどこに行こーかなー。