シカクにZINEを納品した。
シカクはZINEなどインディーズの出版物を置いている大阪の書店。
ぼくはこのブログを一緒に書いている島鉄くんたちと数人で、ZINEをつくっている。その名も『埋物の庭』。このブログと同じ名前である。毎年発刊していて、いまではvol.6まで出している。
自分たちでつくったものが書店の棚に並ぶというのはうれしいものだ。文学フリマなどの即売会でお客さんに直接売るのとはまた違ったかんじがする。自分の制作物が自分の手を離れたところで売買されている不思議。オンラインショップのページもできていてありがたい。
シカクから最寄り駅の阪神千鳥橋駅まで歩いてもいいのだが、散歩をすることにした。
シカクは此花区梅香にある。この花。梅の香り。美しい町名。
東に進むとすぐに六軒家川が現れる。正面の高いビルは弁天町の大阪ベイタワー。

海が近い。川のまわりは工場が多くて、どこか物悲しいかんじがする。
大阪には湾岸の開発がうまくいかなった歴史があるわけだが、それはともかく、海の近くというのは本来的に物悲しいものかもしれない。たとえきらきらとした港町や、人々でにぎわう砂浜であっても、茫漠とした海に臨んでいるとどうしても人間の存在の取るに足りなさを意識してしまう。
しかしそういった物悲しさのことがぼくは意外と好きなのだ。気持ちが暗くなるなかでちょっとしたことにでも淡い光を感じられるから。たまに味わうのも悪くないと思う。
橋を上がると、奥のほうにうっすらとハルカスが見える。
小学校のグラウンドには大きな水たまりがあるが、サッカークラブの子どもたちは元気に活動している。

此花区の隣の大正区を舞台にした『エヴリシング・フロウズ』という津村記久子の小説がある。小説のなかで主人公のヒロシたちは自転車に乗って友だちとイケアまで行ったり、自分の進路について考えて、成長していた。
きっとぼくの感傷とは関係なく世界は動いていくんだろう。そのことにさみしくもあるが安心もするのであった。
JRゆめ咲線と大阪環状線の高架を過ぎるとまたすぐ川が現れる。安治川だ。
今度ばかりはすぐ川を越える橋が見当たらずどうしようかとあたりを眺めていると、なにやら人が集まっているスポットが。
安治川トンネルである。これで川の向こうへ行ける。入口の写真は撮り忘れた。

Into the darkness
トンネルは安治川の河底を通っているので、けっこう階段を下る。
最深部は長い一本道。
日常見ない光景でゲーム『8番出口』のようなリミナルスペースの感があるのだが、けっこう歩行者と自転車を押した人が歩いている。

「涼しいなあ」「クーラー入ってるやろ」というおばさま方の会話に、警備員さんが「自然のん」と答えていて、「ええー川ってすごいんやな」と驚いていた。ぼくも一緒に驚いた。

関門トンネル(同じように山口県と福岡県を結ぶ海底の人道トンネル)を思い出した

出口側
地上に出てしばらく進むと大阪メトロ中央線九条駅の高架が現れる。

そして大阪ドームが見えてきて無事に大阪メトロドーム前千代崎駅に到着。

UFOのような大阪ドームの屋根

夏の暑さは危険なので街歩きがなかなか厳しい。涼しいところに行きたいものです。
