埋物の庭

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街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

はにわ通信 第12号「放送大学 初めての学期を終えて」

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学生証うp、やってみたかった

こんにちはいそのです。

今までブログに書いていなかったことを告白します。

 

・・・実は私は2021年10月から放送大学で学生をしております。はい。

18歳のときに入学した大学を4年で卒業して、それから就職して、また働きながら大学生を始めたわけです。

 

一度目の大学のときは哲学専攻・宗教学コースでした。今回は「人間と文化コース」で主に文学を学んでいます。え?ほとんど変わらない?バカヤロー、文学が学びたくなったんだ!(←同人誌のだいなもくんの口調を真似したかった)

 

2021年度第2学期に履修した科目は2つでした。

 

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世界文学への招待('16)

「世界文学への招待('16)」はシラバスを読んで知らない国や言葉の文学(現代アラブ文学、クレオール語の文学etc)、興味深い切り口(アメリカ文学と戦争・都市と文学etc)に惹かれて受講しました。

 

これが大当たりで実におもしろかった。

世界文学を読むことは時間と空間を超えた旅で、気軽に海外旅行のできない今こそ読んでいきたいと思いました。

また文学作品は他者への共感を可能にする有効な手段というのも納得で、たとえばアメリカ文学を読んで戦争について考えたり、パレスチナ文学を読んで難民の人の気持ちを知ることができるわけです。

悲しいことに今週24日ロシアがウクライナに侵攻してしまいましたが、もしプーチン氏が世界文学を読んでいれば、少なくとも隣国ウクライナ文学を読んでいればこのようなことは起こらなかったのではないかと思ってしまいます。

 

ヨーロッパ文学の読み方ー近代篇('19)

「ヨーロッパ文学の読み方ー近代篇('19)」は野崎歓教授(フランス文学)が主任講師ということでぜひ受講したいと思いました。

東京大学教養学部が出している『教養のためのブックガイド』という読書案内の本があり、野崎先生はそこで「読む快楽と技術」という文章を書いています。私はこれを読んでもっと知りたいな文学のこと、読みたいな文学作品という気持ちになったのでした。

 

 

全15回の講義はスペイン・イギリス・ドイツ・フランス・ロシア・アメリカを代表する文学作品を取り上げる授業で、大変聴き応えがありました。

 

オーソドックスな文学講義なんて退屈そうと思われる方もいるかもしれませんが、大橋洋一教授(英文学)の熱い語り口、沼野充義教授(ロシア・ポーランド文学)の自由な読み方は知的好奇心を大いに刺激します。

 

単位認定試験ではロシア文学チェーホフの戯曲『かもめ』を読んで、「『かもめ』は悲劇か喜劇か」というテーマでレポートを書きました。私としてはニーナの喜劇ととらえることができると思っています。

 

ドストエフスキートルストイはこれまで読んできたのですが、チェーホフは読んだことがなく、授業で興味を持ちました。実際読み始めるとはちゃめちゃにおもしろく、気がついたら明け方になっていてその日は仕事を休みました。登場人物の語りの魅力、予想のできない展開、多くの謎とすべて語られていない物語。魅力がありすぎる。

 

戯曲3部作はどれも1冊で手が出しやすいです。

 

 

『ワーニャ伯父さん』は映画『ドライブ・マイ・カー』の作中劇ですね。

 

 

 

短編集も素晴らしく、それもそのはずチェーホフは生涯で1000編もの短編を書いている短編の名手なのです。読書体験の原点が星新一ショートショートにある私としてはこのうえない喜びです。

 

表題作「馬のような名字」は電車のなかで読んではいけない

 

というわけで初めての学期を終えました。

単位も無事認定されておりました。

 

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来期の授業、今後の読書が楽しみです。