埋物の庭

埋物の庭

街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

はにわ通信 第27号「穏やかな日々とオンラインゲーム」

用事があって東京に行ってきた。

 

金曜日の夜から明け方まで友だちと飲んで久しぶりにひどい二日酔いになった。土曜日は一日ぐったりしていて日曜日の昼になってようやく落ち着いてきたので、吉祥寺でカフェに入った。2階でひとりぼーとしていると、近くでチベットに行ってきたという大学生がその様子を熱く語っていた。吉祥寺的な会話でよかった。

 

リュモンコーヒースタンド。カフェラテ美味しかった。

 

総武線に乗って御茶ノ水に行く。中央線でもよかったがゆったりと外濠を眺めたかった。市ヶ谷の釣り堀や飯田橋のカナルカフェで人々がくつろいでいる。水と街が親しい関係にある。外濠は皇居よりも市民との距離が近い。

 

神田明神のすぐ近くに本屋ができていた。旅の本を多く扱っていておもしろかった。本を眺めているだけでも旅をしている気分になってくる。気になった俳句の本を買った。

 

再燈社書店。マンガや写真集もある。

 

神田明神の門前のお店で冷やし甘酒を飲んだ。これまで横目に通り過ぎていたけど、初めて飲んでみたらとても美味しかった。ほどよく甘くて米の粒が残っていて香りがよい。夏の暑い日にやったら最高だろうな。

 

坂を下って秋葉原へ。歩いているとやはり東京は坂の街だと思う。日曜日の昼下がりのアキバは賑わっていた。歩行者天国で道路のまんなかに立っているとふわふわと現実感がない。巨大な看板とたくさんの店。人々の消費の欲望がこの街を形作っている。

 

アキバの街の写真を見ると看板ですぐ年代が特定できるからおもしろい

 

新幹線で大阪に帰る。淀川を渡ると大阪に帰ってきた感がある。

旅の疲れを癒しに梅田から歩いて大東洋に行く。サウナのなかで考えごとにふける。

 

大東洋行くの初めてだったけど梅田に近くてよい

 

最近ぼくはGW明けからオンラインゲームのフォートナイトをやっていた。平日は夕方帰宅してから夜眠るまで、土日もずっとプレイし続けるというハマりっぷりだった。

 

フォートナイトは、バトルロイヤルの対戦シューティングゲームだ。ルールはシンプルで、島に上空からランダムでマッチングした100人が降り立ち、最後のひとりになるまで戦うというもの。最初は全員同じ装備なしの状態から始まり、島に落ちている銃やアイテムを拾いながら他のプレイヤーを倒していく。展開が毎回予測がつかないなかで、続けているうちに自分のプレイがうまくなっていくので、気がついたら夢中になっているのだ。

 

あまりにもハマってしまいほかのことがおろそかになり、さすがにこれはよくないと思い始めた。一日の自分の時間の大部分をゲームに費やしている。これは望んでいないことだ。しかしそう思ってもまだ続けてしまうのだ。

 

絵本作家のヨシタケシンスケさんがエッセイ『欲が出ました』のなかで

 

 

引力の強すぎるものには近づかないようにしています。

離れられなくなっちゃうから。

p.34

 

と書いていてわかるなあと思ったことがある。

 

そう、オンラインゲームは引力が強すぎた。

楽しいからやっていたはずなのに引力に飲み込まれていつのまにか楽しいとかそういう次元ではないところにいっていた。

 

今回久しぶりに東京をぶらぶら歩いて楽しかった。時間の流れが穏やかで心地よかった。ぼくはもっとゲーム以外のこういうことをしたい。家に帰ったら名残惜しいけれどゲームをアンインストールすることに決めて、サウナ室をあとにした。