ご無沙汰しています(←言いたいだけ)、島鉄です。
『輪るピングドラム』というアニメがあります。
今から12年ほど前に放送され、去年映画も上映されていました。
オウムオッチャーかつペンギン好きそして南極物語ファンおよび幾原邦彦作品に惹かれるかつて宮沢賢治を読んでいた子供たちの一人として、アニメ『輪るピングドラム』をようやく見終えた。
— 島鉄@はにわ会 (@pentaro1129) 2023年4月6日
今更……ではあるけど。愛と罰、善悪二項対立のようなテーマでいてそうではない、面白かった。
↑盛大に誤字&今更視聴したことを報告する島鉄。
『輪るピングドラム』の監督は『少女革命ウテナ』や『ユリ熊嵐』の幾原邦彦氏で少女漫画や舞台演劇をモチーフにした非現実的な戯画的な表現が多くみられます。意味深なモチーフや暗喩、引用される「作品」と「現実に起きた事件」、そしてなにより変身シーン!(どの作品でも大体でてきます)
↑↑こんな感じです。
……やや人を選ぶ作風であることが分かりますね。
あらすじを事細かに説明するのはなかなか大変なのですが、公式サイトから一話のあらすじを引用してみます。
両親のいない高倉家には3人のきょうだいが暮していた。双子の兄の冠葉と弟の晶馬、そして妹の陽毬。陽毬は不治の病に冒されており、担当医の鷲塚医師から余命が長くないと宣告される。数日後、自宅へ帰ってきた陽毬は、兄と一緒に水族館へ行く。数少ない家族の思い出が残るその場所で、陽毬は不思議なペンギンと目が合う……。
何がなんやらこれだとわかりませんね。
前述のとおり、毎度変身シーン(のようなもの)があったり、1995年に起きたとある重大事件(とそれを取り上げた村上春樹氏の作品)や宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』が下敷きとなっていて前提知識が必要だったり、とパッと見てハマるかハマらないかは人によると思います。
が、島鉄はハマりました。
理由は盛大に誤字をかましてるツイートの通りです。わたしのなかで『輪るピングドラム』の話や背景、キャラクターに引っかかるポイントが多かったのですね。
縁、と言うほどでもない些細なキッカケ
さて、そんな島鉄は『輪るピングドラム』の舞台となったある場所・路線に実は縁があるのです。
昔むかしに地下鉄丸ノ内支線の記事を書きましたが、島鉄は学生時代は月に一度地下鉄丸ノ内線に必ず乗っていました(通学ではなく通院のためでしたが)。
そして、この丸ノ内線の駅ナンバリング1番、荻窪駅にはボーイスカウト日本連盟の直営店があるのです!
休日はボーイスカウトで指導者*1として活動している島鉄は、たまーに荻窪に備品を買いに行くことがあるんですね。
地下鉄丸ノ内線には学生時代は通院のお世話になった思い出(今でも丸ノ内線がひょっこり地上にでてくる区間、御茶ノ水の風景は好きです)と
荻窪駅でボーイスカウト用品を今でも買いに行く、そういう縁があるのです。
荻窪へ。久しぶりの丸ノ内線
前置きが長くなりました、島鉄はたまたまボーイスカウトの備品を買いに訪れた荻窪駅でふと気づいたのです。
「アレ……そういえば、ここってピンドラ*2の聖地なのでは……?」
ディスティニー!!
いや、運命的というのはいささか大袈裟にすぎますね。
ただ、今まで素通りしていた(備品を買ったらサヨウナラ)荻窪に何か特別な価値が生まれた気がしたのです。
荻窪に最後に来たのはいつだっけ……?
駅前の昔なじみの喫茶店に入ってお茶した記憶はあるのだけど、それがいつだったかまったく覚えていません。
たしかそのあと古本屋に寄った気が……でも今の荻窪駅南口に古本屋あったっけ*3。
せっかくだし、散策してみよう。
『輪るピングドラム』は2023年現在から12年前の作品だからだいぶ変わっているところもあるかもしれないし。
とはいえ荻窪のすべてのロケ地(?)を周れたわけではないのでご勘弁を。
荻窪駅周辺、街の中心タウンセブン
さーて、まずは駅周辺のパトロールから。
カメラロールをあとから見ると、アホみたいに丸ノ内線の改札前を撮影してました。駅改札は作中にメチャクチャ出てきたわけでもないので、なんとなくテンションがおかしかったのでしょうね。
関東以外の人にも分かるように言うと、前述の地下鉄丸ノ内線*4とJRの駅があり、都心に近い郊外の街、それが荻窪です。
そんな荻窪の人々が休日憩う場所といえば?!
タウンセブン(アニメだとピングセブン)です!
アニメに出てきたときと細かいところは変わっていますが、荻窪の中心であり駅直結でベンチがあるところはそのまま変わっていません。
ちなみに、タウンセブンは同じ中央線沿線の阿佐ヶ谷駅のパール商店街や梅田の大阪駅前ビルなんかと同じく、戦後のゴタゴタ闇市を集約した背景を持っています。
うーん、いい物件!(←この背景をどう捉えるかは人によりますが、タウンセブンはリニューアルされたからか綺麗で活気がありました)
タウンセブンの屋上(劇中で不思議なオブジェが置かれていてナニここ?!となった場所)に行きたい……と思い階段を登ってみるも……。
ワクチン接種会場になってました。しかも閉鎖中。
ショック!!
作品内では1995年が一つの契機として表現され、放送時の2011年は奇しくも東日本大震災の年でした。時代の象徴です。
そして、今回の聖地巡り序盤ではこれまた時代の象徴、3年間苦しめられてきたコロナ禍をハッキリ見せつけられました。いやはや、まさか序盤に。残念です。
とはいえ、調べてみると完全閉鎖というわけではなく時間帯によって開放しているようです。よかった。
(↑作中出てきてそうで出てきてない、幾原邦彦作品っぽい男女トイレの表記)
帰りの丸ノ内線電車内がなぜか『銀河鉄道の父』特別ラッピングだったのは、いい意味で運命を感じました。
丸ノ内線で銀河鉄道……ほぼ『輪るピングドラム』と言ってよいでしょう。
また出直そう。何度だって、やり直せるさ。
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気を取り直して翌日。もはや買うものもないのに荻窪に来ている謎な人状態ですが、東京メトロは24時間券という便利なものを発売しているので無問題。夕方に購入した24時間券は翌日の夕方まで有効なのです。
各種一日乗車券 | PASMO・定期・乗車券 | 東京メトロ
一日乗車券はよく考えてみると、朝10時から夜22時くらいまでが利用時間帯なので単純計算だと12時間ほど。
それが24時間券だと……わっ、12時間得した気分……否、オトクです!!
昨日は閉鎖されていた屋上は無事に解放されていました。
残念ながら劇中で出てきた不思議なオブジェはなくなり、子育て世代の憩いの場となっていましたが……。
まぁ、駅近くでのびのび遊べる環境があるのはいいことです。
屋上あるある?神社も祀られています。
そういえば、五反田のTOCビルにも神社があったっけ。あそこも建て替えちゃうんですよね。
どこまでも広がるベッドタウンの光景と線路に商店街が望めます。
あと、はしゃぐ子どもたちが楽しそうでホッコリするスポットですね。
よし、タウンセブンをおりて、少し散策してみよーっと。
駅前の商店街と抜けた先にあるモノ
商店街の看板が見えます。どうやらこの看板や街灯なんかも放映当時(2011年)とモデルチェンジしているようです。なかなか気づかないですよね。
都市の記憶は案外もろい。
さらに、アニメでは主人公たちの自宅の後ろのビルとして登場していた「荻窪画材(ぎぼ材)」もなくなっていました。
どうやらアニメ放送中に既に取り壊されていたのだとか。全然わからない……。
面影も残ってなさそうですが、一応パシャリ。
商店街を歩いて、作中に出てきた中華料理店と図書館へと向かいます。
途中、西武信金とタリーズコーヒーが同居しているのを見て驚きました。そんなことあるんだ。
作中に出てくる地元に愛される中華料理店は変わらず営業中のようです。
コロナ禍を乗り切っている姿に安心しました。『ピンドラ』放送当時と変わってしまってるところが多いので……。
作中に出てきた通学路にある旅館(西郊)の看板も発見できました。
聖地巡礼関係なしに、旅館がなかなか素敵な建築……。泊まれるのかしらん。
旅館西郊|[旅館ホテル検索] やど日本 | 旅のお宿を検索&予約
(東京遺産になっておりました。登録有形文化財です)
さて、最後に作中では地下にあるそらの孔分室として出てきた図書館の元ネタ、杉並区立中央図書館へ行ってきました。
流石に地下にはありません(とーぜん)。
が、緑に囲まれた公園の中にありカフェテラスも整備されている、とっても素敵な図書館で聖地巡礼そっちのけで本を借りてしまいました。
図書館利用カードまで作る始末。
図書館横のマハトマ・ガンジー像のすぐそばに劇中に出てくる「7つの大罪」についての銘板がありました。
公的なところは10年そこらでなくなったりしないので、聖地巡礼的には安心ですね(?)
【総括】杉並区っていい街かも
子育て世代にも単身世帯にもピンポイントな場所のあふれた荻窪駅周辺……高円寺や阿佐ヶ谷エリアも考えるとなかなか住みやすそうじゃないですか!
島鉄のなかで杉並区の株が急上昇しています。漫画『ぼくらのよあけ』を読んで阿佐ヶ谷住宅の現状*5を見に行った時以来の興奮です(誰にも伝わらない興奮……)。
阿佐ヶ谷、荻窪、高井戸……杉並あるきをまたするかもしれません。
ではまた。