埋物の庭

埋物の庭

街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

ダイエーへ行こう! ※緑地あり

松本に住んでいた頃はなるだけ地場スーパーのデリシアを使っていました。

www.delicia-web.co.jp地場スーパーを残したい島鉄です。

 

かつてダイエーという名の流通革命を起こした一大スーパーマーケットがありました。

いまやイオングループの一員となり、ダイエーの名前も一時期に比べて見なくなった気がします。

そんな時代の流れのなか、また一つダイエーの灯火が消える(←おおげさ)ニュースが……。

www.kn-est.com

togetter.com

こ、こんな昭和遺産級のダイエーがもうすぐ見られなくなるなんて……!

行かねば。

そもそも曽根に行ったことないな

そう思い島鉄は、大阪は豊中市にあるダイエー曽根店に行ってみることにしました。

 

 

ダイエー帝国の落日

……すみません、ダイエー帝国って言いたいだけです。

冒頭触れたとおり、ダイエーは巨大流通企業として一世を風靡します。

しかしその前身は大阪市旭区の千林商店街に店を構えた小さなドラッグストアでした。

prouve.exblog.jpここから高度経済成長期に庶民のニーズ(安くモノを手に入れたい)をくみ取り、個人店舗から大資本のスーパーマーケットへと成長を遂げた……のがダイエーです。

 

しかしながら、多角化経営の失敗で赤字を生み、強気な出店姿勢(駅前店舗)・都市部の大流通網というダイエーの「強み」とされた部分が、バブル崩壊後は経営悪化の原因となりました。

球団売却(ダイエーホークス)や不採算店舗の整理を行うも時すでに遅し。

2015年、ダイエーイオングループの完全子会社となりました。

「ダイエー」の消滅と産業再生機構 |國民會館

www.itmedia.co.jp

なので、ダイエーと聞くと島鉄は「流通業界の巨人、ダイエーの栄光と転落の歴史」を思い返して、少し寂しい気分になるのです。

 

まあイオン買収後も名前は残っているんですけどね、ダイエー

イオンの方針として以前は屋号をダイエーから変更すると言われていましたが、現在は残す方向のようです。

「ダイエー」の屋号がなくなる _流通・小売業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】

「ダイエー」屋号で出店継続 フードスタイルと使い分け - 日本食糧新聞電子版

 

とはいえ、ダイエー曽根店が建て替えになれば、あの昭和の雰囲気を残すダイエーは失われてしまうわけでして……。

やはり行かねばならぬ、のです。

 

曽根へ至る道

さて、ダイエー曽根店はそもそもどこにあるのか?

といいますと、大阪府豊中市――大阪北部のベッドタウン――にあります。

阪急沿線ですね。ハイソなのかな??
地図情報提供:© OpenStreetMap contributors

阪急大阪梅田駅から15分しないくらいで曽根に着きます。意外と近い。

 

今回は、当ブログでも何度か取り上げた同人誌『埋物の庭』を販売していただいている「犬と街灯」さんに寄る都合で、曽根駅の二駅前の庄内駅で降りました。

NEWS - 犬と街灯

アーケード商店街。うれしい

なんと、庄内にもダイエーがあるではないですか!

ダイエーが2店舗も見られるなんて、今日はラッキーだなぁ。

楽しくて、庄内*1のキャッチコピーもいいですね。

 

曽根店とは違ってピカピカなダイエー

ちなみに、ダイエーグルメシティ庄内店は大量に駐輪された自転車、シンプルかつキレイな内装でした。

ダイエー曽根店と比較してみるのも楽しそう。

 

その後「犬と街灯」さんにて、いそのくんがウクレレを弾いたり、この前歩いた沖縄の同人誌を置いたり……としばし和やかな時間を過ごしました。

 

 

「犬と街灯」さんの画像、これしかない……。激安ゲームソフトではなく、左側のお店です

 

さて庄内から二駅で曽根、なので歩いてダイエー曽根店へ向かうことにしました。

距離はだいたい3kmくらい。歩いて沖縄縦断と比べれば楽勝ですね。

 

小さな踏切。阪急宝塚本線に沿って進みます

テクテクと沿線を歩いていくと、住宅と団地それから個人店舗がチラホラ見えます。

サボテン屋さん。最終的にそうなったらしい

一駅分歩くと、そこには天神様を祀る神社がありました。

足の神様を祀っているのだそう。せっかくなので参拝します。

hattoritenjingu.or.jp

立派な鳥居の横に「奉納空港ニュージャパン」と彫られた石柱。

そういえばここは伊丹空港大阪国際空港)の近くでした。

足の神様の由緒……。踏み石もあります

秦氏(はたうじ)が移り住んできたので服部という地名がつけられ、その後平安の世に菅原道真が服部で足がむくんで動けなくなった。その時、服部の人々が祀っていた少彦名*2を祈るよう勧めた……という逸話が足の神様の由来のようです。

 

その逸話から天神様(菅原道真)も祀っています。

元々祀られていた医薬神の少彦名と、菅原道真を合祀する異色のコラボ(?)。

お金をお足と呼ぶことから恵比寿神を祀ったり、足の病気平癒のお礼に奉納された草履を集めた草履堂もあるなど、境内はそこまで広くありませんが見どころ満点でした。

 

すぐ横にうどん屋さんがあるので昼食をとります。

teuchishikokuudon.foodre.jp

四国うどんさんです。四国=讃岐うどんのイメージが全国的にひろまっていますが、ここは宇和島うどん(愛媛)を出しているそうです。

コシのある讃岐うどんとは違い、宇和島うどんを継いだ看板メニューの四国うどんは柔らかい麺が特徴。

おでんにビールまでたのんじゃいました

黒々としたワカメと天かすが美味しい!

甘い出汁もホッとする~。なんだか懐かしい味です。

よくよく考えてみると宇和島うどんは、年末の愛媛帰省時に食べているうどんと同じなので懐かしい味なのかもしれません。

大阪で四国の味を思い出したい人はぜひ行ってみてはいかがでしょーか。

 

さて腹ごしらえを済ませて、いよいよ曽根駅近くまで来ました。

阪急電車が高架を走る姿が見えます。

着いた……いや何だあれは?!

ヴァイキングビルだ!!

 

ビルの壁面にヴァイキングが描かれたド迫力のビル。

曽根初めての島鉄はただただ圧倒されるばかり……。

しかも、このビル近づいてみるともっと驚くことがあります!

 

ひび割れている。

そんなに驚くことでもないですかね。

しかしこのひび割れのせいで、ヴァイキングビルは危機に瀕しているのです。

耐震構造でないため建て替えが必要、一部では解体されるという声も……。

ボウリング場もやっていません

たしかにテナントは怒涛の閉店ラッシュ……なのでありました。

ド迫力・怒涛・どうもフィットネスクラブとテニス場しかやっていない

三拍子そろった曽根の名物ビル、ヴァイキングビルは外観とテナントの二つの意味で衝撃的でした。

幼いころボウリングに連れられてきた……そんな存在しない記憶が蘇ります。

さらばヴァイキングビル。阪急電車から見えるこっちの壁画も目立つなあ

 

 

ダイエー曽根店

まだまだ現役のご様子

ヴァイキングビルのすぐ近く、ダイエー曽根店にいよいよ入店!

各フロアの案内図、ボロボロですが元気に営業中のようです。

5Fのパソコン教室、ハロー!パソコンと6Fの喫茶店がドリアンとリリアンでほぼ被っているのが個人的にツボです。

 

ガーッとエスカレーターで最上階へ。

いい眺めの最上階、6F

空の向こうに伊丹空港を飛び立つ飛行機が見えます。

歩き疲れたのでドリアンかリリアン、喫茶店に入りたいなあ。

野良キャラがかわいい

こ、これは血管年齢が測れるマシーン?!

ちなみに用紙出口から感熱紙が出てくる構造なのですが、補充されなくなって久しいのか何も出てきません。

画面を撮っておけばよかった……。

 

さらに嬉しいのが時間が止まったかのようなゲームコーナー。

ぶら下がる手製のPOPがいとおしい

ここのメダルゲームコーナーにちびっこたちが殺到!!

……しているわけもなく、休日の昼間とは思えないほど空いていました。

一応流行りのちいかわ、おぱんちゅうさぎ、スパイファミリーのアーニャなどのキャラクターをUFOキャッチャーに入れてるのになあ。

おさジョ(=おさるのジョージ)は流行っているのか……?!

子供がいない代わりに静かなのでオススメです。

せっかくなので普段見かけないゲームにチャレンジしてみます。

野球もといパチンコ

わんにゃんスタジアムです!!

スマートボール・パチンコ系ゲームなのですが、10点取らないとゲームクリアーにならない野球にしては点とりすぎじゃないか、と思わされる難しさでした。

クリアーしたら景品がもらえるそうなのですが、そもそも景品用意しているのかな。

騒がしいパチンコ屋に疲れた人は静かなダイエー曽根店に行きましょう*3

 

アロエ喫茶とゆー概念を初めて教えてくれた店

足の疲労と喉の渇きが限界を迎えたのでアロエ喫茶リリアンへ突撃します。

アロエ喫茶ってなんなんだろ。

レトロな店内。すき

座った席の斜め後ろにアロエが生えていました。

なるほど、アロエがお店のマスコット的なヤツなのかな?

メニューを見るとアロエジュースの文字があります。

アロエ喫茶と名乗るくらいですから、看板メニューに違いありません。注文してみることにしました。

泡立つアロエジュース。ミックスジュースみたいなやつかな

このアロエジュース、好みがわかれると思うのですがメッチャ苦いです。

アロエヨーグルトなどで見慣れたアロエとは違い、全く別人な味。

それもそのはず、このアロエジュースは前掲の店内の新鮮なアロエを使用しているのです。

 

あのアロエ鑑賞用じゃないんだ……。ヴァイキングビルのテナントスカスカ事件以来の驚きです。

調べてみるとアロエの葉は元来苦みが強く、市販の商品は透明な葉肉のみを使用しているのだとか。昼より夜採れたものが苦くない、という謎情報も知りました。

https://www.ntv.co.jp/megaten/archive/library/date/00/02/0220.html

(↑所さんの目がテン!ライブラリーより。まだURLが残っていることに目がテン!)

アロエ喫茶、涼を求めてお客さんがわりといたので、ダイエー曽根店がなくなったらどうなるのだろうか……と考えてしまう島鉄でした。

レジにあるビーズの“リリアン”がかわいい

さらばリリアン

そしてさようなら、ダイエー曽根店……。

素敵な、空間

昭和~平成初期の雰囲気を残すダイエー曽根店をあとにします。

デカイぞ服部緑地

ダイエー曽根店を出てそのまま阪急で帰るのはなんだかもったいない。

せっかくなのでもうひと歩き。

曽根から東に約2km。暑いけどがんばるぞ。

 

……前言撤回。暑い日は服部緑地まで歩いていくのはやめたほうがいいです。

道中は住宅街なので日陰もそれほどありません。だいたい服部緑地自体が大きな公園ですから、歩きたいなら服部緑地を歩いたほうが健康に良さそうですし。

横断歩道を渡って地蔵様に健脚を祈りつつ先へと進みます。

古墳が住宅街にある……

地蔵だけでなく古墳もあります。服部緑地周辺は何でもあると言っても過言ではないでしょう。お墓も売ってます。

広い、広すぎる

歩くこと約30分。服部緑地に着きました!

サッカー少年やテニスを楽しむ方々が集う健康的な一大緑地です。

さらに、文化系の人も集まっている一大ゾーンがありました。

岡村ちゃんも来る(←だからどーした)

夏の曲と言えばTUBEと双璧をなす(?)THE BOOMのボーカル・宮沢和史さんがライブをやっていました。

ここは服部緑地野外音楽堂。広くはないですが、緑地のなかで音楽を聴くのもなかなかオツなもの。

hattori-ryokuchi.com星空ファミリーコンサートが個人的に気になりますね。

 

府内最大級の126ヘクタールの広さを誇る服部緑地

端っこからはしっこまで歩いてクタクタになった島鉄はそのまま北大阪急行の緑地公園駅から帰路へと着きました。

緑地公園駅側の入り口はオブジェが印象的

広かったなあ……。

 

まとめ

昭和の名残、ダイエー曽根店を訪れる……だけのはずが思いがけない大冒険になりました。

普段行かない私鉄沿線、降りてみると商店街に意外なお店や大きな公園、時間の止まったような施設、を見つけられるかもしれません。

公園はともかく、商店街の隠れたお店や昔ながらの施設は気がついたら無くなっていることもしばしばあります。

 

フラリと立ち寄った時の出会い、を大切にしたいものですね。

ほぼドン・キホーテ(驚安の殿堂の方)な名前のお寺とか

さよーなら。

 

 

 

 

*1:楽しくてしかたない?

*2:医薬の神としても知られる小さな神様

*3:景品もらえないかもですけど