埋物の庭

埋物の庭

街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

東京本土唯一の村~檜原再訪~

みなさんGWは何をしていましたか?

 

普段はインドア派な島鉄ですが、ふりかえってみると夏キャンプの下見や野球観戦など意外と外に出ていました。これであと1ヵ月は外に出なくても大丈夫ですね。

 

特に思い出深いのが、昨年も訪れた東京の奥座敷……檜原村への旅行です!

 

www.youtube.com

ジョーブログ【CRAZY CHALLENGER】「動画名【陸の孤島】東京唯一の村「檜原村」に行ったらガチの秘境だった。」2023.2.12 アップロードのもの

https://www.youtube.com/watch?v=DpIzl16_zvw

 

 

上記動画を見て檜原村へと足を運ぶ人もいたようです。

今回再訪した檜原村数馬分校記念館*1の黒板にもジョーブログの文字があったなあ。

 

↓↓昨年(2023)島鉄が訪ねたときの記事はこちら↓↓

東京にも村はある~滝・新緑編~ - 埋物の庭

東京にも村はある~岩・峡谷編~ - 埋物の庭

東京にも村はある~山の学校編~ - 埋物の庭

 

さて、東京都の西端にある西多摩郡檜原村には鉄道は通っておりません。

そのためまずはJR五日市線の終着駅である武蔵五日市駅まで向かいます。

ja.wikipedia.org

通勤用車両が緑の山間を進む姿はなんだかシュール。

武蔵五日市駅

武蔵五日市駅前にはいくつか喫茶店やレストランがあるのですが、昨年訪れた際に入れなかった「kitchen CANVAS」にお邪魔しました。

 

このお店、コーヒー豆から食材までこだわっていらっしゃるのですが……。

なかでも、島鉄が心惹かれたのは「鮎ちょび」です!

鮎ちょびってなんだ?!

 

地元でとれた鮎をふんだんに使ったアンチョビ*2の鮎バージョンだそう。ほろ苦いそうなんですが、気になります。

 

kitchen-canvas.net

とゆーわけで鮎ちょびパスタを注文しました。dokidoki……。

 

鮎ちょびは右端の小皿に載っています

きしめんのよーな幅広麺とボリューミーな舞茸、少しだけほろ苦さを感じる鮎ちょびがアクセントとなって……めちゃくちゃ美味しいです。おなかが減っていたからか、よりおいしく感じます。

恥ずかしながら、若干二日酔いでげんなりしていたのですが、胃もたれすることもなくぺろりといただけました。

 

オリーブオイルに鮎の香りを移した鮎オイル、鮎ふりかけ、ケニア産のフェアトレード豆を使ったコーヒー、そして鮎ちょび……。

これらを販売しているのも嬉しいポイントです。


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島鉄は自宅用にケニアコーヒー豆(SL28 深煎-マサイAA)を購入。すっきりした苦味で気に入ってます。

 

さて、英気を養ったところでいざ! 檜原村へ!

医者殿-古民家cafe-へ

ここ、東京都です

深緑が目に優しい山間の集落に到着しました。

ここは西川橋。武蔵五日市駅から西東京バスで45分ほど揺られると到着します。

このすぐ近くに貴重な古民家があるというのですが……。

 

なんと、古民家cafeになってます

立派な建物を発見しました。登録有形文化財、旧高橋家住宅です。

ここはかつてこの地域(人里地区)に住んでいた農家・養蚕家であった高橋家の住宅です。

ただの農家ではなく、漢方医でもあったことから、この住宅は別名『医者殿』と呼ばれています。

 

旧高橋家住宅は養蚕に必要な採光・換気のために、妻側の屋根が特徴的な形状(兜のように見える)をしている兜造りの古民家です。檜原村には兜屋旅館という宿があり、兜造りの建屋に泊まる体験もできます。

残念ながら、ここには泊まれませんが、2022年より古民家カフェとして改装されているので中に入ってみましょう。

kyutakahashike.tokyo

ちなみに、軒先には漢方医として山を越えての往診をしていた証左である駕籠が置いてありました。

なるほど、これに乗って山深い地域を……

おおー。立派な内装です。入口は土間になっており、靴を脱いで上がる形式。
この日はGW真っただ中ということもあり、たくさんのお客さんがいました。

写真の通り席は離れており、窮屈感なく、くつろげます。

 

さらに、レジにて雑貨・工芸品・食品も販売しているので喫茶・古民家見学・地場の土産購入あらゆるアクティビティ(←言い過ぎ)を楽しめますね。

申し遅れましたが、この古民家カフェは「晴ノ舎」という店名です。

harenoya.com

立派な囲炉裏

この囲炉裏もカウンター席のように使えます。囲炉裏を囲む体験いいですねえ。

 

島鉄はコーヒーを武蔵五日市駅前の「kitchen CANVAS」で飲んだため、ハーブティーを注文。

味変としてゆずジンジャーが小鉢に入っています。旧高橋家住宅のある人里地区の標高は500m。肌寒い日にうってつけの一品です。実際、日中は寒くなかったのですが陽が落ちると急に冷えるので……。さすが山里。

 

高い天井に、医学書

古民家を満喫したところで、宿に向かいます。

バスで向かってもいいのですが、時刻表によると1時間後だったので歩いていくことにしました。4㎞しか離れていないので意外と歩けます*3

 

こーゆー昔ながらの酒屋さんいいなあ。

と思いつつ出発します。ここ人里地区、へんぼりと読ませる難読地名なのですが、朝鮮語由来説もあってなかなか面白い。

「人里」の地名の由来

車にビビりながらずんずん歩いていくと、檜原村の宿をまとめて紹介してくれるありがたい看板に遭遇しました。

島鉄は上から2番目の「かんづくり荘」に泊まる予定です。

 

目を凝らすと川向こうにめちゃくちゃ日光を浴びているお墓がありました。

ご先祖様も明るい土地に埋葬されてさぞ喜んでいることでしょう。

昨今の殺人的な暑さの夏に墓参りするのは難儀な気もしますが、新暦盆(7月)に参れば問題ないハズ。たぶん。

 

民宿かんづくり荘へ

着いた~!

巨大なこけしがお出迎え。かんづくりってなんだ……?

と思いながら17時チェックイン。陽が落ちる前についてよかった、よかった。

 

かんづくり荘は、日中そば屋さんとして営業もされており地場の料理がふるまわれるとか。美味しいそばに山菜、川魚がいただける……しかもWi-Fi完備!

いい宿ですね。間違いない。

 

めちゃデカいテレビ完備

広々としたお部屋で、みんな大好き旅館の窓際にある謎空間(広縁)もあります。

窓の向こうは川が流れており、雨降ってる?

なんて思わされるほど音が響いており山奥の宿に来た感を盛り上げてくれます。

 

18時からお食事、ということで食堂へ。

このあと山菜天ぷら、ヤマメの姿焼きに蕎麦も来ました。うれしい。

夕食は山の幸盛沢山!

山菜に刺身こんにゃく(とても柔らかくて驚きました)、檜原じゃがいも、鴨鍋……。

美味しかったです。川魚があんなにほろほろと柔らかく美味しいことに初めて気がつきました。締めの蕎麦(暖かいものとざるそばどちらか選べます)も体を温めてくれました。

 

神棚もすてき

ちなみに食堂には立派な額に屋号の由来が書かれており、梶作りの生業としていたことから「かんづくり」という屋号になったそうです。

山に生きる人々の姿がなんとなく想像できますね。

 

 

かんづくり荘には、内風呂はない代わりに大浴場があります。

5月初旬は夜になると肌寒いのでゆっくり浸かって体の芯まで温まりました。

訪れる際は、1枚羽織れるモノ(軽いダウンジャケットやフリースなど)があるといいかもしれません。


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翌朝、気持ちの良い晴れ。昨年は雨でけぶっていたので(それはそれで趣がありましたが)、初めて2日連続で初夏の檜原村に射す木漏れ日を眺めることができました。

朝食はこんな感じです。

健康的な朝食を久しぶりにとっている……!

子供の頃、山菜は苦手でしたが、この2日間

新鮮な山の幸としてパクパク食べてしまいました。

 

山の素朴な宿、「かんづくり荘」に別れを告げ、いよいよ1年ぶりに山の学校「数馬分校記念館」へと向かうことにしましょう。

 

おっと。そうそう、かんづくり荘の近くに名勝「龍神の滝」があるのでした。

名前のわりに大したことない(意訳)とゆーウワサもありましたが、行ってみましょう。

観光名所が民宿のすぐ近くにある、いい距離感

 

川の清さと緑のコントラスト。いい意味で裏切られました

結構な急斜面を階段沿いに下ります。川の水はひんやりしています。木陰に入ると標高500m以上なだけあって、涼しいです。

 

こ、これが……!

龍神の滝……!!

 

たしかに大瀑布ではないのですが、大自然の迫力はともかく(?)、木漏れ日の射す滝壷、ザーザーと流れる川の音が耳に心地よい空間を形作っています。

人もいないので余計に好きになりました。知る人ぞ知る名所、みたいですし。

 

さて、川から道路まで登ってきました。

急斜面に石垣を積んでつくられた集落の風景を横目に山の分校へ進みます。

 

小さな花(カタクリかな?)が咲いていました。酒屋兼雑貨屋といった風情の、この集落に欠かせない店の傍らを通り過ぎ1㎞ほど歩きます。

 

数馬地区大満喫

着きました!

山の分校、数馬分校記念館です。

hinohara-kankou.jp残念ながら、前年案内してくれたおじい様は体調不良により今回はいらっしゃいませんでした……。そもそも輪番制のようです。いつでも会えると思うなかれ。

代わりに元卒業生(?)らしきお姉さまと会話に花を咲かせていました。

 

去年とあまり変わらない教室

かつての分校の生徒たちが作ったモノや、昭和2年新調の蚕の繭から絹糸をとる装置も健在です。

昨年と違うのは晴天のため、窓が開け放たれていたことくらいでしょうか。

教室に一つはあるだるまストーブが、ここが山深い分校であることを思わせます。

 

音楽室のオルガンや鉄琴・木琴は触り放題なので、見学客もいないことから合唱祭の練習みたいなことを1時間ほどやっていたことはナイショです。

この時間のお陰で島鉄は鉄琴で『證誠寺の狸囃子』を弾けるようになりました*4。えっへん。

 

本日の管理人のお姉さまと田舎の学校の先生あるあるトーク*5を交わしながら、雪の降る冬はソリ遊び、夏の運動会は地区全体のお祭り騒ぎ……といった思い出話を聞いて大満足の島鉄でした。

 

このあとどこに行こうか……そういえば廊下にお祭りの写真が飾られていたな。

とゆーわけで、祭の集合写真に載っていた九頭竜神社へ向かうことにしました。

 

昭和30年代の写真ということは、ハッピをきた若い衆もいまやいい歳……そんな時の流れに思いを馳せつつ数馬分校記念館からさらに山梨県方面へ歩くこと10分ほど。

 

ここが九頭竜神社です!

小さいながらも駐車場あり、ひっきりなしに参拝する方が停めていました。

九頭龍神社公式 東京檜原村

なるほどパワースポットのようです。

 

たしかに立派な社殿です。社殿の背後に迫る山林も含めて圧倒されます。

世界にまるで不用の物なし……埋物精神(?)を感じる標語に感銘を受けつつ参拝しました。

左横には各情報がまとめられています。山の掲示板ですね。

 

なんと、不便な立地ゆえにか社務所は神社より下の集落(数馬分校記念館からすぐ)にあるようです。

山村の神社だと、そもそも同集落に社務所がないパターンもあるので実はこれでも近い方なのですが……。

 

(たしかに言われてみると、来るまでの道にのぼりが立っていたよーな……)

旅の安全を祈念します。

さ、お参りできたところでご飯を食べに行きましょう!

 

写真は全然関係ない、新自由クラブの看板。令和も生き残る保守派傍流の血脈……とゆー感じでつい撮ってしまいました。下記リンクサイトを見るに探せばまだまだあるかも?!

san-tatsu.jp

 

そんな興奮冷めやらぬなか(?)、「檜原温泉センター数馬の湯」に歩いて到着しました。

 

檜原名物をふんだんに使ったレストランから檜原いやしの湯、お土産各種を売店で販売……と一大観光スポットのようです。

バスからゾロゾロ降りてくる人を尻目にそそくさと建物内に入ります。

kazumanoyu.net島鉄個人的には、毎年年末に帰る祖母の家への帰路にある温浴施設と色々要素が被っていて(温泉、なんでもありなお土産コーナー、地場のものを使ったレストラン)、親近感が湧きました。

檜原名物なのか分かりませんがホルモン定食を注文。

すごくボリュームがあって大満足!

檜原村産の大きな舞茸天ぷら(写真右手側)もプリプリしていて美味しかったです。

次のバスまでの時間を過ごせる(1時間ほど)ちょうどいい施設といえます。

時間の都合上、温泉に入れなかったので、次はぜひとも入ってみたいですね。

 

さて、数馬の湯から武蔵五日市駅までバスに揺られて1時間ほど。

帰りの電車の時間調整も含めて、駅前のカフェに立ち寄ります。

武蔵五日市駅カフェ|Do-mo factory blan.co(ブランコ)

1日目に寄った「kitchen CANVAS」の姉妹店です。

汗冷えした体にホットコーヒーが染み渡ります。

鈍色のカップがいいですね。


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コーヒー豆も購入しました。檜原土産がケニアのコーヒー豆、なんてチグハグな気がしますけど、それでいーのだ。

 

わずか1泊2日の短い間でしたが、山の古民家・宿・学校と大満足の2日間を満喫できました。

山村あるあるかもしれませんが、檜原村は南北秋川が流れ、山によって北と南の集落が分断されています。

今までは南側(数馬地区、人里地区)を中心に巡っていましたが、来年は北側も行ってみよ―かなー。

北にも元分校のカフェがあるみたいですし。

 

小さな村と侮るなかれ。同じ場所に何度も行くなんて……と思う方もいるでしょうが、意外やいがい大体の街は一度足を運んだくらいでは全体を把握することはできません*6

 

また来年ものんびりこの東京の奥座敷を訪れたいな、と思った島鉄でした。

大阪の人は千早赤阪村に行くことをおススメします



*1:1999(平成11)年3月に閉校、現在は一般に広く公開されている

*2:イワシを塩漬け・オリーブオイルにつけて発酵させたイタリアの調味料

*3:ただし歩道が狭いうえに一本道をツーリングのバイクや大きなバスが通るので要注意!

*4:だからどーした、って言われそーですが、童心にかえって『猫ふんじゃった』なんて弾けるのは楽しいですよ!

*5:島鉄の祖母が田舎の学校教師のため、盛り上がりました

*6:とーぜんのことを書いている感