埋物の庭

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街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

はにわ通信 第25号「マリオカートと運動の思い出」

任天堂Switchでマリオカート8をやっている。

 

You Tubeでこの動画を見て、タイムアタックモードをやりたくなったのだ。

 



企画者のshu3は、子供の頃に憧れたタイムを大人になった今なら更新できるはずと目指す。

 

子供の頃に挫折してしまった壁とキノコの間を抜けるテクニックにチャレンジして何度もトライアンドエラーを繰り返す。そして挑戦のすえに…という熱い内容だ。ぜひ見てほしい。

 

というわけで感化されて自分もタイムアタックをやっている。

タイムアタックは、決まったコースを走り、他のプレイヤーの妨害がない。なので純粋に自分のマシン操作の巧拙だけがタイムに影響をする。ストイックなチャレンジなのだ。

 

コーナーでドリフトターボをいかに成功させられるか、ショートカットにもなるダッシュキノコはどこで使うのがよいか、マシンスピードが上がるコインを1週目でどれだけ拾えるか。それらいくつかの要素を最適化していくとどんどんタイムは縮まっていく。

 

過去の自分の最も速かった走りがゴーストとなって並走するので、それを確認しながら今の走りの優劣を判断する。回を重ねるごとに自分のベストな走りのさらに先へ超えなければならないので一つのミスが命取りになる。このゲームは自分と向き合い続ける精神力が求められる。

 

 

そんなマリオカートには大学時代の思い出がある。

大学の友人のアパートでWiiマリオカートをよくしていたのだ。

 

夜20時くらいに集合して近所のラーメン屋で夕食を食べる。そしてドラッグストアで食糧を買い込み、アパートでアニメを観る。適当な頃合いでぼくが「運動するか」と言いだして(←この言い回しが自分でも気に入っていた)、マリオカートが始まる。夏はウイスキーの角瓶をジンジャーエールで割って氷を入れて飲むのが常だった。

 

正直ぼくはゲームがうまくなかった。またうまくなろうとする向上心もなかった。9位以下で拾えるチャンス挽回系アイテムを使ってばかりだった。しかし、それでも楽しかった。頭の2割くらいしか使ってないような薄い会話をしながら電子の世界を駆け巡っているのは特別に楽しかった。

 

月日が流れて初めて自分でマリオカートを買った。

件の大学の友人がぼくの家に遊びにくるからだった。友人は結婚して子どもを持った。お嫁さんと赤ちゃんが実家に帰省するのでつかの間の休みということだった。

 

大学以来のマリオカートは楽しかった。ぼくはあいかわらずぜんぜん勝てなかったけれど、久々に「運動するか」が言えて嬉しかった。


友人が去ったあともぼくはひとりマリオカートタイムアタックを続けている。

大学の頃よりドリフトが格段にうまくなった。コースの内側を走るとこんなに速いのか。毎日発見がある。初めてこのゲームと正面から向き合っている気がする。この調子だと、次に運動するときは勝ってしまうかもしれない。