みなさん、こにゃにゃちは。
島鉄です。遠くへ行けない今だから、近くて小旅行気分の味わえる路面電車の旅に行ってました。
東京には2つの路面電車が走っています。
一つは東京さくらトラムこと、都電荒川線。
そしてもう一つが玉電こと東急世田谷線です。
玉電の愛称通り、もともと世田谷線は玉川線でした。平成10年位まで(!)は非冷房の古い車両が走っていて、全長5kmの短さだから我慢して乗っていたとか……。
しかしながら沿線住民に愛され、地域に根ざした路線故に、路面電車廃止の動きが起きた戦後モータリゼーション革命期を乗り越えて今まで残ってきたのでしょう。
www.setagaya-line.com
昨今では路面電車の良さは見直され、宇都宮でLRTが開通するなど、復権の動きがあります。たしかに地下鉄のほうが早いですし、車からすれば邪魔に思えます。
しかしバリアフリーの観点からすると低床の路面電車は、バスより早くて生活の足となる交通弱者の味方であり、超高齢社会の日本で見直されるのは必然なのかもしれませんね。
こうしてみると、路面電車は西高東低なんですね。中四国と北陸に結構多いイメージ。金沢市内は車で移動しづらいのでLRT的なものができると嬉しいのですが……。
さて、そんな路面電車に思いを馳せていたところ三軒茶屋につきました。
駅を降りるとそこは世田谷。
世田谷区を目的に移動したことってあんまりないのでなんか新鮮です。
駅前のカラオケ屋、BIG ECHOは思い切り閉まってました。緊急事態宣言下ですもんね。
新型コロナウイルスワクチン接種会場も駅前のビルにあります。
そうここは区役所の出張所もあって何でもござれな良きビル、キャロットタワー。しかもなんと展望台まで設置されています。
展望台の存在に一瞬テンション上がりましたが、あいにく休業中。まぁそれもそうか。目的もあてもなくフラフラと歩いてると高いものに登りたくなってしまうのだな〜。
外階段を伝うと一応ビルを見上げることができます。これで我慢しよ。
名前の通りオレンジ色のビタミンカラー、と言われていますがレンガの素材感が強すぎてキャロットっぽさはあんまり感じないような……。唯一無二な命名で面白い名前ですけどね。
世田谷を一望。最高到達地点、キャロットタワー5階(ちなみにこのビルは26階建てです)。
さて、気を取り直していざ世田谷線へ。
どうやら招き猫電車なる特別な電車があるみたいです。
猫の駅長、たま駅長で一世を風靡した和歌山電鐵が想起されます。
まだたま駅長がご存命だった夏、駅舎で拝見しましたが、暑いからか冷房付きの駅舎でもぐったりされたご様子でしたね。
話が逸れちゃいました。私がヨーロッパ風のホーム*2
で電車を待っていたところ、現れたのが……。
ね、猫がホームに?!
やっぱり猫が好き!!*3
たまたま、狙ったわけでなく本当に偶然なのですが来た電車が招き猫電車でした。
これは幸先がいいのかもしれません。
とりあえず通しで乗ろう、と思い下高井戸まで電車に揺られます。荒川線もそうですが、ほとんど専用軌道なので、自動車と並走するような路面電車気分を味わえるのは一部区間のみでした。
終点、下高井戸に到着。
京王線と同じ駅なので路面電車とは思えぬターミナル感。都電荒川線の終点である三ノ輪橋はジョイフル三ノ輪商店街最寄りの下町らしい電停でしたが、京王線と並ぶこちらの下高井戸駅は通勤路路線のイメージです。
お、駅前に素敵な市場があるじゃないですか?!
小さいながらも賑わっていました。こういう市場も時代の流れから少なくなっていますから、世田谷線と同じように地元の人に愛されて残っているんですかね。
いやー、ここまで乗ったからにはなにか目的があるのではないか、と思われるかもしれませんが完全にノープランです。
どうしようかな、プラプラ歩こう。
歩いているうちにいい案が浮かぶかもしれません。
わっ、蜘蛛の巣みたい。
周囲を警戒している系の家がありました。
こういう家ってだいたい完成されてますけど、過渡期の段階がどうなってるのか見てみたいですよね。
一生懸命、この蜘蛛の巣っぽいバリケードを作る姿を考えると、和みませんか?
この米屋はえらいレトロです。TOKYO2020ののぼりがココだけ1964なのでは?と思ってしまいそう。
この自販機も使われなくなって久しいのか、上からピーポくんやらステッカーが貼られる始末。
この自主米、というのは自主流通米、すなわち政府が流通を管理している米(政府米)に対して、農家が農協など集荷業者を通じて直接卸売業者に流通させた米のことを指すそうです。
……まずい。このままだと何も成すことなく老いさらばえてゆくことになります。いや、それは私の人生なのでいいんですが、さすがにこの日なにもないのは記事として困ります。
オチがつかないと困るんです。
落ち着かないから。
↑↑こーゆーのを地口オチといいます。ためになりましたね。なので許してください。お願いします。
……とりあえず困ったら来た道を帰ればいいじゃない。
世田谷線沿線はどんな感じかも見られるし、一石二鳥!と半ば強引な方向転換をしてみました。
今思えば豪徳寺とか寄ってればよかったと思います。
招き猫いっぱいでインスタ映えもするし、猫動画って世界中でウケてますしね。
代わりに見つけたものは青いいけず石。
車が敷地内に入らぬよう、壁を削らぬよう置かれる石ですね。
しかしまぁ、なんでこんなに青いのか。
ペンキで段差スロープを青く塗った際に余っちゃったんでしょうか、それとも目立つようになのでしょうか、そこそこの大きい石が青く塗られてます。
さらにいけず石の手前に鉢植え置いてます。こんだけ置いたら流石に車も近づかないのでは??
お次はわかめ体操。なんでしょうね、居合と書道はまだ分かるんですけど。
↑こちらは糸魚川市の健康増進運動としてわかめを食べよう、という取り組みのPR動画となっています。
マスコットキャラクターのわかめちゃんの声が警察24時に出てきそうなボイスでいいですね。
ちなみに検索してみると、他には空手の先生考案のストレッチ「ワカメ体操」もヒットしました。おそらく居合教室と並んで書かれているところや下のテナントにデイサービスがあることから察するに、わかめ体操はストレッチなんでしょうね。
にしても、予防のむらもとランドってネーミングはワクワク感が増していいですね。
バーさんのハニーハントとかあるんでしょうか。
まだまだ道中ご紹介。
はってでも帰れる近所のバー。
近所とはいえ這うな。
危ないですからね。何年か前に大学教授が泥酔して路上で寝ていたために、車に轢かれて亡くなる事件がありました。
飲んだら這うな、這うなら飲むな、ですよ!
蛇はその点いいよね(なにが?)
再び世田谷線沿線に出てきました。
お!また会ったね、招き猫電車。
この写真あとから見て思ったのですが、草生えすぎてません?
誰も刈ってないのかな。背丈の高い草花はいわゆる鉄道草と言われるヒメムカシヨモギやセイタカアワダチソウでしょうか。
このゆるーい感じが沿線の雰囲気を伝えてくれて暮らしやすそうに思えます。
住宅街をひたすら歩いていると急に開けた土地が。
これは街なかに残された畑、生産緑地でしょうか。
何を育てているのかな?奥を見ると果樹も育てているみたいです。
……情報量0でした。何が植わっていてなにが収穫されるか誰も知らないとしたら面白いですよね。
なんの芽も出ず花も咲かず、たまに掘り返していた……、とかだと埋まっていたのは実は死体じゃないか……みたいなミステリーホラー風で面白く、はないですね住民的には。地価が下がりますし。
きっとプライバシー保護のためにそういう情報は載せてないのだ、と自分を納得させます。
こういう住宅だけでなく自然も程よく残っている部分が世田谷の魅力ですね。
住宅街→線路→商店街→住宅街……延々このループなのですが、各電停に必ずある商店街の存在も含めて世田谷区の住みやすさが伝わってきます。よい。
世田谷区はアメリカ合衆国のホストタウンだったのか……。日本のオモテナシというフレーズでオリンピックを誘致したのに何もできずじまいというのはうーん、悲しいですね。
オリンピック前の練習がてら2019のラグビーW杯でオモテナシをしていましたが、あれが最初で最後になってしまいました。
www.sthjapan.comあまり報じられていませんが、2019年ラグビーW杯はスポーツホスピタリティという概念が日本に上陸した大会でもありました。いまやこんなことできないですね。
さて、こうして歩いているうちに「そういえば世田谷線には世田谷って電停があったような……」と思い出しました。
世田谷区役所が惜しまれつつも工事になってしまうという記事も見た気がする……と冴えわたる頭脳。
あ、世田谷といえば国士舘大学もあるじゃないか……脳みそフル回転です。
ようやく目的地を見つけて無為に歩いている疲労も回復した気がします。
人間は目的を見つけると安心する生き物なんですね。安心したからいいのかどうかはまた別なのですけど。
お!あの妙におっきな建物は、国士舘大学ではないでしょーか!
キャンパスは閉鎖されてました。当たり前ですね。にしてもゆるい閉鎖の仕方です。
ヒョイッと跨いで入れそう。
キャンパス内を散策できないのは少し残念ですが入口前で写真を撮って満足することにしましょう。
国士舘大学は建物がピカピカでさすが私立大学と思いました。特に中央図書館の対面にあるメイプルセンチュリーホールはピカピカのポストモダン建築です。
さてそんな国士舘大学世田谷キャンパスの対面にはくすんだ灰色のコンクリート建築が建っています。
そう、これこそが世田谷区役所庁舎!
国士舘大学とのギャップにくらくらします。
オリンピックにちなんでか、走り高跳び、棒高跳びの記録が一目で分かようになっています。
この世田谷区役所庁舎は前川國男デザインの貴重な近代建築です。
垂直に聳える権威的な庁舎(私は戦前のいかめしい庁舎も好きですけど)でなく、水平に広がり市民が憩う空間のある庁舎としてつくられたのは画期的だったのではないでしょうか。
空が紺色に染まり僅かな最後の光が、灰色の塊のような庁舎を照らしていたのは、この建物と空間があと少しで無くなってしまうことを想起させて物悲しい気分にさせてくれます。
しかし、これは私が昼の15時くらいからようやく世田谷線に乗ったからで、昼時から三軒茶屋にいれば、こんな感傷的にならずに済んだでしょうね。
さようなら、世田谷。
……としんみりしていましたが、しばらく歩くとメチャクチャ狭い広場があったので、「いやこれ広場じゃくて狭場だー!」と一人でウケてました。
たしかに狭すぎるけども。
あと謎のクリーチャーのいる公園もありました。ウケる。
結局世田谷線を歩いて戻ってくるかたちとなり、三軒茶屋まで帰ってきました。
気づいたこと:三軒茶屋に上京関西人がわりと住んでいると噂で聞いてはいたけど、たこ焼き屋にこの看板で分かりました。関西っぽさ、あり。
個人的には路面電車があってひときわ目立つビルが建ってて高速道路も近いので、街のイメージとしてはアベノっぽいと思います。
芸人、芸術家が多く住んでるのも共通点。知らんけど(でも、アベノはそれ以上に上野と似てるからダメかな)。
小旅行気分が格安で味わえる東急の穴場、世田谷線。
遠くへ行けない御時世ですし、一度乗ってみてはいかがでしょうか。
いやしかし、BIG ECHO真っ暗なのこわ〜。
【オマケ】
(島鉄)