皆さんは大島をご存知だろうか。
東京の南120kmの洋上に浮かぶ伊豆諸島最大の島である。
先日、外出自粛に至っていなかったころ、思いついて島に行った。
また島に遊びに行けたらいいなと願いをこめて、そのときのことを記事にする。
熱海から大島へ
温泉旅行をしたくなったぼくは伊豆半島の伊東に来ていた。
本当は熱海のようなにぎやかな温泉街に行きたかったのだが、知らない街を訪れたい気持ちもあり、伊東にした。
しかしあたりまえだが伊東と熱海は違う。
伊東は昔の文学者の好みそうな落ち着いた温泉街だ。
当然ながら伊東で熱海欲は満たせなかった。
知らない街には知らない文学者がいがち
教訓:熱海に行きたくなったら熱海に行くべし
汎用性のなさそうな教訓を得た。
JR伊東線で熱海駅に戻ったぼくは、ホームである広告を見かけた。
「熱海から大島まで片道45分!」
これだ、と思った。
ぼくは島が好きだ。チャンスがあればいつでも島に行きたいと思っている。
伊豆諸島はもっと遠いと思っていたので45分というのはいいぞ。
熱海欲?ぼくは移り気だった。
熱海で一泊するのではなく大島で一泊をすることにしよう。大島欲を満たすには大島へ行くべし。
高速船セブンアイランドに乗って南東へ。
船の中で、港の待合所で売っていた台湾飯なるものを食べる。本格的に辛い味付けでご飯がすすむ。
かなりひさびさにホットスナック自販機を見かけた
高速船は時速80kmも出るジェットフォイル(ジェントエンジンで海水を吹き出し、海上を浮いて走行する仕組み)。
速いのはありがたいのだが、ときおり飛行機みたいな揺れがあってぼくはあまり得意じゃない。
高速船が苦手な人は大型客船、飛行機という選択肢もある。
それにしても飛行機の25分には驚くばかりだ。値段はそこそこだがいつか乗りたい。
町案内
大島の中心部は元町というエリアだ。
元町港という港もあるし、てっきりここに着くのかと思いきや船は岡田港という北側の港に到着した。波のある日はだいたい岡田港を発着するらしい。訪れる人は要注意だ。
上陸するとちょうど宿の方から電話があり、迎えに来てくれるとのこと。ありがたい。車で岡田から元町まで送ってくださる道中で大島の歴史や地理、観光情報を教えてくれた。
戦後、大島は首都圏のカップルのハネムーン先として人気だったらしい。飛行機に乗れる人が限られていた当時、船で来ることのできる"南国"として島はおおいに賑わっていたそうだ。
しかし時は流れ昨今は島を訪れる人も少なくなり、活気が失われつつある。お店の数も減っているらしい。もったいないことだ。
いま島にはなにが必要なのだろうか?ブランディング?
都庁を訪れると、たまに東京の島特集をしているときがある。あれで私は高校生くらいから東京の島々に憧れを持っていた。特に式根島の響きの美しさが気に入った。
これだけアクセスがいいのだから、思い立ったらすぐ来ようと思う。そんなことを考えて本日の宿に到着した。
大島の中心部 元町の交差点
もう日が落ちかけているので、散策はほどほどに入浴と買い出しをすることにした。
公営の元町浜の湯に入ってみたかったが臨時休業していたので、近くの赤門ホテルのなかにある温泉に入った。次はこの宿に泊まるのもありだ。
食事の買い出しは坂の上にある「べにや」で事足りた。魚が種類豊富で、聴いたことのない恋愛ソングがずっと流れていた。
この日はこれでおしまい。
夜になると雨風が強くなりとても外出できなくなった。ぼくは屋久島で台風のときに外に出て眼鏡を飛ばされた経験がある。眼鏡を守るための行動を取りましょう。
大島一周道路
大島には大島一周道路というわかりやすい名前の道路がある。
島があれば一周する。高い所があれば登る。ぼくは単純な行動原理で動いている。
今回は宿で原付バイクのベスパを借りることができた。ベスパには強い思い入れがあるので乗ることができて本当に嬉しい。
ぼくは高1のとき原付免許を取得した。
当時ハマっていたGAINAXのフリクリという作品のなかで、ハルコがベスパに乗る姿がめっちゃかっこよくて影響を受けた。あと苺ましまろの伸恵お姉ちゃんの影響もあるな。
しかし。頑張って免許を取ったがその後原付きにはなかなか乗れなかった。
親に隠れて取ったのが災いして免許を没収されてしまったのだ。切ない。
まあそれにしたって何年か越しでも夢が叶ってよかった。ちなみにベスパはイタリアのピアッジオという会社が作っていて、買おうとするとけっこうな金額だ。
宿の人からベスパは「重くて小回りが効かないけど、走ると安定するよ」と言われたが、まったくそのとおりだった。朝の大島を快走するベスパ。気分は最高にハイだ。
一周道路は全長約46.6km。
大島公園のある島の右側は山がちになっていて、集落がぜんぜんなかった。途中裏砂漠という日本の中でも稀有な本物の砂漠があったので少し立ち寄った。
まだ入り口だったけど、一人で来るにはなかなか勇気のいるところだ。
後で調べてみると、島の中心の三原山にある大島温泉ホテルから歩いて向かうルートがおすすめされていた。次回やってみたい。
ひと気の少ないエリアを抜けると海が見えて開放的になった。太陽がまぶしい。
この日は風が強かった。海は白波が立っていてときおり道路にも海水が降ってきて驚いた。宿の方曰く冬は風が強いので、ベストな時期は春と秋らしい。
遠くに見える三角は富士山ではなく利島
本物の富士山も見える
地層断面とベスパ
旅行中、記事を書いているいま、高校生のころの自分をよく思い出した。
ぼくは当時の延長線上を生きている。憧れや大切にしていることはそのままに、日々経験を積み重ねているのだ。
地層断面の写真を見て思いついた。
まだ訪れたことのない島々にぼくはいつか行くだろう。
(いその)