埋物の庭

埋物の庭

街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

陰陽の旅~米子・境港編~

明けましておめでとうございます。島鉄です。

2024年、令和も早いもので6年経ちました。

半年前の旅行記事を新年早々にアップロードしてよいのでしょうか?

 

いいんです。

 

よくねーよ、と思った方はザっとスクロール。

いいよ、と思った方はゆっくりスクロールしてください。

本年もブログ「埋物の庭」をどうぞよろしくお願いいたします。

 

陰陽の旅*1山陰編のスタートです。

 

米子城

いつでも誰でも優しく水を分け与えてくれるマシン

私は岡山駅前で山陰は出雲行の高速バス出発まで優雅にコーヒーを飲んでいたのですが、水筒がすっかりカラ*2なことに気がつきました。このままでは干からびて死んでしまいます。

 

そこで駅前に設置されている、「美味しい岡山の水を飲み放題マシン」から水を分けてもらうことにしました。水道水なのに美味しい、晴れの国岡山は最高です。

……人としての尊厳がちょっぴり傷ついたかもしれません。が、向かいのコンビニで買い物をしていたら高速バスが出発していた、なんてゆー悲劇を避けるためにはこの道しかない。

 

これが岡山駅最後の思い出となりました。これから中国山地を分け入って米子に向かいます。

アデュー。岡山から米子までは高速バスで2時間半ほど。近いですね。

途中のサービスエリアにも触れておきましょう。

きれいな青空!

人でごった返していたので、なるべく人のいない写真を……ということで晴天の蒜山高原サービスエリアの図。

ここ蒜山高原ではジャージー牛乳が有名で、ジャージー牛乳使用の濃厚ソフトクリームがとても人気でした。

蒜山高原サービスエリア(下り線) | NEXCO西日本のSA・PA情報サイト

……私はトイレに行きたくて必死だったので食べられませんでした。山陰へ行ったら次こそは食べよう。

あ、ややこしいですが蒜山高原岡山県です。蒜山岡山県真庭市鳥取県倉吉市および日野郡江府町にまたがる火山です。

陰陽のうち「陰」は北「陽」は南をあらわしますから、まさしくこの蒜山を境に、北と南(陰と陽)に地域が分かれるわけですね。

www.hiruraku.com

米子駅前。都会だ(島鉄基準)……!

米子駅前にバスが着くと、蒜山高原の山奥と比較してえらい都会に出てきた気がします。

JRの駅は綺麗な駅舎に工事中だったので、次に米子へ来たときはさらに都会指数が増すことでしょう。

さて、そんな米子から向かうは……。

雑コラ感と同時に地元愛を感じる復元図

もちろん米子城です!

駅前から港へと続くだだっ広い道を歩きます。なんだか愛媛の宇和島駅から宇和島城へ行った時のことを思い出すなあ。とはいえ米子市は人口10万人以上・山陰地方のちょうど真ん中・空港アリと好立地かつ都会ですが。

ホテルの角を曲がって、いよいよ米子城に登ります!

この時点で日光にやられてだいぶヘロヘロでした。海からの風は涼しいのですが。流石日本海(?)。

 

天守は現存していませんが、江戸時代中期に建てられた旧小原家の長屋門は現存(市内からの移築物なので純粋な米子城の現存建築物ではありませんが)しており、往時の米子城下を彷彿とさせます。

 

そして眼前にはテニスコートが!?

長屋門をくぐってテニスコートが見えるなんて、ワケが分からなくなりそうですが市民に愛される米子城とゆーことでいーではありませんか。

ほぼ登山では?

とにかく足元に気をつけて登ります。山城、とまでは言いませんがなかなか難儀ですね。

開けた場所に出ました。二の丸くらいかな?天守跡まで登らなくても米子市内を一望できたしいいかな……などと弱気になりそうでしたが、どこからともなく吹く爽やかな風に励まされ先を急ぎます。このとき炭酸サイダー塩飴を舐めていたのですが、シュワシュワして美味しい(←小学生みたいなレビュー)ので普通の塩飴よりオススメです。

 

絶景かな

天守跡の山頂まで登るといやはや絶景!

これは登ってきた甲斐があります。米子市内がより遠くまで見えるのはもちろんのこと、鳥取と島根を隔てる中海*3も眺められます。

遠くに見えるのは日本海なのか。ふむふむ。中国地方最高峰の大山も見えます。

年2回ダイヤモンド大山が見られるとか……!

www.yonagocastle.com米子市内からほど近いですし、ちょっとした運動にもなりますし米子城跡はマスト立ち寄りスポットですね。

 

米子商店街をゆく

さて米子城から人里に降りると、アーケード商店街*4を発見しました。最高!

私はアーケード商店街大好きなので(とくに雨の日と陽差しの強い日はより一層すき)米子市に対するスキポイントが上がります。

陽射し防げてない

いや屋根スカスカやんけ!

アーケードが暗いと気分も落ち込みますからね。街の活性化です。

……暑いよ。

 

安心してください。ちゃんと涼しいゾーンもあります。お店もシャッターだらけではなく活気があります。どこぞにいいランチの食べられるお店はないかな~。

地元民(老若男女関係なし)の憩いのレストラン

自家製牛すじカレー、ほろほろで美味しゅうございました。ジュースも乾いたノドを潤してくれます。オムライスがオススメらしいですが、多分何を選んでも美味しいハズ。

tottorimagazine.com

米子に泊まる予定でなかったため夜に立ち寄れないのが惜しいところですね。

すぐ近隣にはレトロな米子市役所旧館を再利用した山陰歴史館があるのでセットで訪れるのもいいと思います。

ちなみに悲しいお知らせがあります。米子本通り商店街のアーケードは撤去されるようです。あああ……。

yonagohondoori.localinfo.jpこれからの本通り商店街に期待ですね!

 

境港へ

はい。照りつける陽射しを浴びながら高島屋を通り過ぎ、向かうは水木しげるロード*5のある境港。

ここからJR境線へ乗ります

ホントにこの駅であっているのか?!

不安になりながらも先客のジモティーがいたので一安心。片側一面のローカル駅。

もしかして化かされているのでは……。『ゲゲゲの鬼太郎』で真夜中に多磨霊園行の電車に乗ってしまった話があったよーな。真昼だから大丈夫かな。

 

そんな不安な気持ちもこなきじじい列車の姿を見て払拭されました。

これは水木しげるロードに行くこと間違いなし!

しかしKONAKI JIJII TRAINって意味が外国人観光客に伝わるのか謎だな……。

 

境港駅だーっ!

住宅地、鄙びた農村から米子空港、漁村へと目まぐるしく車窓風景が変わるなか終点へ45分ほどで到着。ゲゲゲ一色。

駅前には水木センセイの像もあります。

しかし、水木しげるワールドに入る前に境❝港❞というだけあるので、港町の風情を伝えるフェリーターミナル(隠岐諸島へのフェリーが出ています)へまずは足を運びます。

……ぶっちゃけ暑かったので冷房の効いた施設に入りたかったのもありますが。

なお境港には国際旅客ターミナルもあり、コロナ禍で耳目を集めたダイヤモンドプリンセス号も寄港しています。

 

旅気分が味わえます

海外から境港を訪れた人用に電波についての注意書きが各国語で書かれており、ここは小さいながらも世界へ開かれた玄関口なのだなあ、と思わされます。

 

水木しげるロード

さて、涼しさを堪能したところで水木しげるロードへ向かい、いっちょ妖怪ウォッチと洒落こみましょう。

……10分前まで涼んでいたはずなのですが、いやはや暑いですね。この記事をアップロードした2024年1月現在はさっぱり伝わらないかもしれませんが、真夏日に日陰ゼロのアスファルトの道を歩くのって妖怪でもしない所業ですよ。なにがしかの地獄の責め苦に違いないです。

 

なにこれ

ギラギラ太陽の下をフラフラ歩いていると涼しそうなエリアを発見!

これは河童の泉だそうです。

鬼太郎はもちろんのこと、水木センセイの描いた他作品の悪魔くん河童の三平もいます。泉で泳いでいる(溺れてる?)のはねずみ男

この河童の泉の資金源は宝くじだというから驚きです。こういう使われ方なら年末ジャンボが当たらなかった人もニッコリですね(←徒然なるままに適当なことを綴っています)。

 

主人公

若干怖いな鬼太郎。

こんな風に水木しげるロードには大小さまざまな妖怪や神様、水木しげる作品のキャラクター(眼鏡に出っ歯のサラリーマンなど)のブロンズ像が建てられています。

私は何を考えたか炎天下のなかほとんどすべての妖怪を写真に収めました。

 

……だってどの妖怪を記事で使うか分からないじゃないですか。ところが水木しげるロードは左右どちらの歩道にも妖怪像が立っているのでなかなか骨が折れました。

賢い皆様におかれましては真夏や真冬など厳しい季節・天候は避け、なるべく撮りたい妖怪を決めて巡ることをオススメします。

お気に入り妖怪、手の目。出オチ感があるので

この日はホントーに暑くて、歩き疲れて座っている観光客にバスガイドさんが日陰に入るよう勧めていました。陽射しを遮るものがなかなかないので、せっかく来たからには建ち並ぶ土産物屋さん等に入って休憩するのが楽しい観光の秘訣ですね。

……え? 私ですか? 私は水をがぶ飲みしながら妖怪を激写してました。

世が世なら妖怪に分類されていたかもしれません。

 

ただですね、水木しげるロードの魅力は妖怪たちだけではなくてですね……。

テンションあがる

こーゆーレトロな雰囲気の建物がちょこちょこあるところなのですよ。

あとかき氷やら鬼太郎グッズ店だけでなく占いのお店もあります。スピリチュアルなスポットでもあるのです。たぶん。

 

妖怪……じゃない!

水木しげる夫妻の像もあります。街を流れる川と橋の風景も素敵ですし、結構写真を撮る方が多くいらっしゃいました。

でも、私的にはそんな水木しげるセンセイの人気と比べて注目を浴びていない可哀想な妖怪がいます。

誰か気づいてあげて

ねずみ男(着ぐるみ)です。

暑いからなのか、はたまたあまり注目を浴びなかったからなのか、しばらくすると引っ込んでしまいました。

「ほらねずみ男だよ!」と呼びかける大人と「ふーん」と冷静な子供。

そしてその様子を激写する私。

 

妖怪お休み処砂かけ屋というこのお店では妖怪が出没し、記念撮影ができるのだとか。

妖怪も暑さ寒さには弱いのかもしれませんね。

賢い皆様におかれましては真夏や真冬など(以下略)。

妖怪お休み処 砂かけ屋(鳥取県) – ナショナル・スタジアム・ツアーズ

 

これから妖怪に代わっていつの季節でも見られる(とかいって気がついたらなくなっているかもしれない)島鉄セレクションの建物を3つご紹介します。

CD・おみやげ・プロパンガス・家電とゆーイマイチ統一性のないラインナップの柏木商会さん!

Hi-Fiビデオ*6以外は現役に違いない。

 

ニッパーくんのマトリョーシカかわいい

蓄音機に耳を傾ける仕草でおなじみの白い犬、ニッパーがショーウィンドウにいる松本ラジオ店さん!

www.victor.jp

大小さまざまなニッパーくんの姿は初めて見ました。

他にも現役の駄菓子・土産物店の森永ミルクチョコレートの看板がレトロでイカす辰巳屋商店さんなどもあるのですが、なによりインパクトがあったので最後にご紹介する3つ目のお店がコチラ……!

な、なんか今までと雰囲気が違うよーな?!

店名がチベット亡命政府の旗を背景に書いてあるとゆー異色の輸入雑貨店、KARMA BAZAROさんです!

中国製品は一切使っていないそうです。

マクドナルド批判ドナルド人形*7ダライ・ラマ猊下のTシャツ、壺買ってちょーだい*8Tシャツなどなど単なる土産物屋さんにはおいていないであろうキワモノ商品(と簡単に言ってよいのか躊躇われますが)が多数存在しています。

 

何と新春も1月2日から営業なさっているそう。私的に興味をひかれてしまいました。

水木しげるロードがそろそろ終わるなー、とぼんやり考えていた頃合いに見えるこのお店、なかなかパンチが効いています。

 

妖怪ではない

あと水木しげるロードの楽しみ方として、妖怪スタンプラリーがあるのですが水木しげる氏の自伝的作品の『のんのんばあとオレ』よりオレが登場していました。中国語でも俺です。不覚にも笑ってしまいました。

のんのんばあは若干妖怪っぽいかも。中国語表記が鬼婆婆だし

ここまで歩いてきて最後に水木しげる記念館があるのですが……残念ながら2024年4月まで工事中でした。この記事を書いたのが2024年1月なのであと少し待てば見られます。

元日にはプレイベントとして妖怪記念撮影をやっていたそうですね。

ちなみに水木しげるロードが終わると商店街も終わる、かと思いきや続いて「おさかなロード」がはじまります。

境港のロードは終わらねえ! THE虎舞竜みたいですね

私は力尽きました。ゴメンね、おさかなさんたち。私には反対側の妖怪たちを写真に収めるという使命があるんだ(←一度始めたらやめられなくなる典型)。

 

このあと来た道を引き返すわけですが、いかに境港が妖怪であふれているかを語る写真を共有します。あれだけ激写した妖怪は一匹も出てきません。なんだったんですかね、あの時間は。

これ人間にも教えちゃダメですからね

証明写真機……ではない

アメリカ資本のコカ・コーラに屈服した一反木綿。コーラが色あせてます

どうでしょう、みなさま。日本はもう妖怪の国と言ってもいいのではないでしょーか。

いや……! 世界にも妖怪はいます。その証拠が境港駅前にあるこの像たちです!

 

世界妖怪会議の図

デン! 

世界妖怪会議の様子を表した像です。南米と西アジアに全然妖怪がおらず、少し気になりましたがアジアに欧州、太平洋の島々*9まで様々な妖怪が集合しています。

そのすぐ近くに悪魔くんの一コマが建っています。

国際会議はカネで買える……アンチ・グローバリズム(アンチ先進地域優先政治)ってことですかねこれは。

やはり一反木綿がコカ・コーラの缶を持っていたのはそーゆーことなのか(なわけない)。

 

いやあ、妖怪にレトロなお店に商店街を楽しめる港町、境港はなかなか面白いスポットでした!

妖怪土産はいろいろあって目移りしてしまうほどです。

 

最後に個人的にツボに入ったモノを紹介してひとまず陰陽の旅~米子・境港編~を終わりにしましょう。

 

鬼太郎のゲタ。妖怪枠なんだ

カランコロンと動くさまを表現した鬼太郎のゲタ。単独でまさかのブロンズ像。

 

目玉おやじに監視されている

妖菓堂、とゆー名前の看板も秀逸ながら目玉おやじにばっちり監視されているのもステキです。万引きは犯罪じゃ(by目玉おやじ 野沢雅子さんの声で再生してください)。

 

かわいい野良キャラ

わんちゃん入店可のペットフレンドリーな店です。おしっこうんちしないでね!

とは切実なお店の思いなのですが、同時に生物として結構厳しい要求をされている感*10がありそのギャップにやられました。イラストがかわいい。

 

まだ現役なのか!?

三菱の乾電池が売っています。妖怪よりもこっちの方が気になる。買う人いるんでしょーか。まずお金を入れてもいいのか……。

 

それでは、みなさま進撃のだるまに圧倒されながらサヨナラです。

こわい

だるまって歯生えてるんですね。

 

島鉄

*1:山陰山陽旅行、大げさに言ってますが岡山と鳥取島根の旅です

*2:2023年7月当時、水分がないことは死を意味します

*3:日本で5番目に大きい湖。元は海で湾が砂州によって塞がった潟湖。汽水湖のなかではサロマ湖に次いで2番目に大きいです

*4:米子本通り商店街

*5:ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画家の水木しげる氏の故郷の妖怪ブロンズ像が沢山ある商店街

*6:音声の質の優れたビデオテープレコーダーのこと

*7:多国籍企業への批判、アンチ・グローバリズムの象徴的なものですね

*8:なんで壺なのかは個人の自由な想像におまかせします

*9:これは水木しげる先生の太平洋地域への従軍経験も影響しているのでしょう

*10:もちろん店内で排泄しないでね、ということなんでしょうけど