埋物の庭

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街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

はにわ通信 第28号「『ゾンビ特急"地獄"行き』はゾンビ映画でチェンソーマンで寄生獣」

怪作。

『ゾンビ特急"地獄"行き』ってタイトル発音したくなる。

 

 

ゾンビ映画・パニック映画として観始めたら重力を振り切って予想外の方向に飛んでいった。

 

科学者のサクストン教授が満州で猿人の死体を見つけて鉄道で北京に運んできたところから物語が始まる。
猿人の死体?といちいち訝しんではいけない。この映画はツッコミどころがたくさんあるが、勢いに身を任せると楽しめる。

 

北京(上海という表記もあったが)からシベリア鉄道はモスクワを目指す。猿人は貨物鉄道に載せられる。
貨物を詰めるどさくさに紛れて盗人がケースを開けようとするが、なぜか目を白くして死んでしまう。不穏である。

 

列車が走り出す。
死体だったはずの猿人はなぜか復活して、ケースから手を出して自分で鍵を開ける。長い眠りから目覚めて最初にすることが器用すぎる。

 

貨物係がケースの中身を調べようとしていると、ケースから出てきた猿人とエンカウントする。貨物係は猿人の赤い目を見て、目を白くして死ぬ。
猿人の目を見ると人は死ぬらしい。猿人、パワー系かと思っていたらサイコ系だった。

 

猿人は列車内を移動して次々と人の目を白くして死なせていく。目を見るだけで殺せるのは強すぎる。

 

乗車している医者のウェルズ先生やサクストン教授が、死体を解剖して原因を探る。
すると脳みその皺がきれいになくなっているではないか。これは記憶がいっさいなくなってしまったことを意味する(←?)。
目から採取した液体を顕微鏡で覗くと、その目が最後に見たものが浮かびあがる(←?)。これらの証拠を元に犯人探しが始まる。

 

教授や警官などが総出で猿人をどうにか葬る。これで一件落着か?猿人の目を調べると、なんと恐竜や、果ては宇宙から見た地球の姿が見える。これはいったい?

 

列車内でまた人が死に始める。猿人は死んだと思われたが、警官に乗り移っていたのだ。なんでもできるな猿人。

 

列車には神父も乗っていたのだが、意味ありげなことをつぶやいていたのち、猿人を崇拝しだす。謎の闇落ちである。
神父は警官に乗り移った猿人の後を追い行動を共にし始める。

 

列車は異様に寂れた駅に停車する。この駅の終わりっぷりには笑ってしまう。駅舎には列車からの電報を読んでいるコサックみたいな人たちがいる。彼らのなかになぜか猿人の正体について知っているような男もいる。なぜなんだ。酒を飲む仕草や強そうな気配が、チェンソーマンの岸辺っぽい。デビルハンターなのかもしれない。

 

https://chainsawman.dog/assets/img/chara/chara_9_stand.png

チェンソーマン公式サイトより

 

岸辺とコサックたちが「農民ども」と言いながら列車に乗り込んでくる。
警官(猿人)と神父がなにやら怪しい。岸辺が迫ると、戦闘が始まる。猿人はコサックたちの目を次々に白くしていく。
岸辺も奮闘するがとうとうやられてしまう。強キャラっぽいのが勝てないと展開がいよいよ読めない。

 

列車内はパニックになる。
ウェルズ先生とサクストン教授は猿人の正体を地球外生命体と推理する。正解だ。物分りがよすぎる。

 

猿人もといエイリアンは、別の銀河系から200万年前から地球に降り立った。生物の脳を乗っ取って生きることができ、赤い目で生物を見るとその記憶と能力を奪うことができるのだ。だから脳みそから皺がなくなっていたわけ。序盤でケースの鍵を開けることができたのは、盗人のスキルを手に入れたからだったと伏線が回収される。寄生獣みたいだ。

 

猿人は神父に乗り移る。神父(猿人とばれていない)が教授に「地球を無重力にするにはどうしたらよいか」と尋ねるシーンは予想外の会話すぎておもしろかった。

 

教授たちは、猿人のいる車両を切り離すことにする。
モスクワの鉄道事務所(デビルハンターの本部かもしれない)に連絡が入り、軌道のポイントを変えることが速やかに決まる。
ポイントが変わったら列車は崖にまっすぐ進むことになる。列車落下用のポイントがあるの笑ってしまう。

 

猿人はこれまで目を白くした人たちに司令のようなのを送り、ゾンビとして復活される。ラストでゾンビ映画になるのすごいな。忘れてた。

しかし最終的に列車の切り離しは成功し、猿人は車両とともに爆発して燃えて物語は終焉を迎える。

 

展開の読めなさと謎の勢いがおもしろかった。あと主要人物は教授たち含めておっさんばかりなのもよかった。
ツッコミどころ満載なので人と話しながら観るとより楽しめるんじゃないかな。