皆さんお久しぶりです。いそのです。
3ヶ月以上更新が空いてしまいましたが元気です。
このブログを一緒に書いている島鉄くんが大阪に来てくれたので、阿波座にある喫茶水鯨に行こうということになりました。
水鯨はまわりの喫茶店好きがよく語っていたので気になっていました。お店についてはのちほど紹介します。
津波・高潮ステーションへ
Osaka Metro中央線の阿波座駅から出て歩いているとなにやら施設が見えます。
大阪府の運営する「津波・高潮ステーション」。開館中なので入ってみます。
大阪では将来起きることが確実視されている南海トラフ地震の際には、津波の到達が予想されています。この施設では地震や津波発生時の対応を学ぶことができました。
展示パネルだけではなく、実際に地震が発生したときの様子を体験できるイマーシブコンテンツや、浸水する家を実寸で再現している展示など見せ方に工夫がありました。
東日本大震災当時の新聞記事もあり、読みながらしばらく呆然と立ちすくんでしまいました。
大阪市は大阪城のある上町台地を除いて平地が広がっています。梅田も海抜1mしかないですし、私の自宅も浸水が予想される地域にあります。地震が起きたときのために、家の最寄りの津波避難ビルを確認しました。備えをつねにしておきたいです。
喫茶水鯨へ
施設を出て木津川を渡ると、喫茶水鯨が見えます。
このあたりは旧川口居留地といって、明治時代に外国人居留地だったようです。
神戸や横浜の居留地は有名ですが、大阪にもあったのです。たしかに安政五カ国条約を調べると大阪も入っています。しかし外国船は入港しやすい神戸に行ってしまったので貿易港としてはあまり盛り上がらず、後年はキリスト教の宣教師の活動のほうが盛んになったようでした。水鯨の近くには大正時代の1920年に建てられた日本聖公会川口基督教会がありました。
さて、水鯨も古い建物のなかにあります。
ここは「川口アパート」と通称されており、他にもいくつかテナントが入っています。
公式の情報はヒットせず、昭和初期頃建築らしいという噂だけがあるようです。
たしかに洋風な外観に正面のモルタルの仕上げやメダリオンは看板建築のように見えます。関東大震災後、昭和初期頃に建ったというのは妥当な推測だと思いました。
喫茶水鯨でくつろぐ
人気のお店なのでしばらく並んでからテーブルに案内されます。
ステンドグラスや調度品が古風で美しく、ゆっくりくつろいでいられる空間です。
珈琲の水鯨ブレンドは豊かな香りで美味しかったです。コーヒーカップも綺麗。
水鯨はできた経緯が珍しい喫茶店です。
閉店の決まっていた金沢の名喫茶「禁煙室」の内装を移築して2021年に大阪で開店したのです。そのため内装は「禁煙室」からのもの。
令和になってレトロな川口アパートに、レトロな「禁煙室」の内装で新しい喫茶店が生まれたわけです。この稀有な組み合わせは、熱意をもってお店をつくられた店主の山口さん夫妻の尽力によるもの。
閉店前だったので直接お話を伺うことができました。全国で同様に歴史を閉じようとしている喫茶店の内装を新たな喫茶店へ移す活動をされているそうです。メディアでインタビューを受けている記事もありましたので貼っておきます。
帰り道
店を出ると日が沈もうとしています。
湊橋からは、土佐堀川に架かる阪神高速のランプ、奥にはシルエットで住友倉庫が見えます。こちらも1929年竣工のレトロな建築。
まだまだ大阪には知らない場所があるんだというワクワク感、そして街を歩くことの楽しさを噛み締めながら、帰路につくのでした。