You Tubeでこのミュージックビデオを観た。Lampというバンドの2004年の楽曲らしい。
アルバム『恋人へ』の収録曲「恋人へ」と「ひろがるなみだ」の二本立てになっていて、曲も映像もとてもいい。ぜひ観てほしい。
フィルムのざらざらした質感の映像で、昔の御茶ノ水とかどこかの海岸が映されている。今と街や人の様子が違って2004年ってもう昔なんだなと感じる。
男女のコーラスが耳に心地よくてずっとこの世界観に浸っていたい。「季節の終わりそしてひろがるなみだ」というフレーズが心に残る。
作品のエモさの純度があまりにも高いので酔って昔鎌倉に行ったときのことを思い出す。
恋人と鎌倉をぶらぶらしたあとの夕方、由比ヶ浜の砂浜で遊んでいた。
当時習っていた古典ギリシア語を木の棒で砂に書いていたのを覚えている。するとカメラをもった若い男子学生が近づいてきた。
「写真を撮らせてもらえませんか?課題で撮っているんです」
彼は日大芸術学部で写真を学んでいるらしかった。
ぼくらは写真に撮られるのがふたりとも苦手だったので(しかしふたりとも映画サークルに入っていた)申し訳ないが断った。
もし写真を撮ってもらって作品になっていたらどうなっていたんだろう。あの瞬間が形になっていて今でも見ることができたとしたら。
映像を観てそんな可能性に思いをはせた。