埋物の庭

埋物の庭

街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

羽田空港手前!穴守稲荷駅から天空橋駅まで歩く

皆さんは羽田空港にはどのルートで向かうだろうか。

 

東京モノレール京急空港線、バス、タクシー。もろもろあるけれど、ぼくはもっぱらモノレールだ。

高い位置からビルや看板を眺めるのはそれだけでいつもと違った風景でおもしろい。それに朝早く乗ると日の出と海を一緒に味わえる。旅の始まりが感じられるあの瞬間が好きだ。

 

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東京モノレールオリジナルのモノレールSuica、かわいい

 

そんな東京モノレールユーザーのぼくだが、今回は飛行機の時刻までゆとりがあったのではじめて京急を利用して羽田に向かった。途中下車して羽田空港第3ターミナルのひとつ手前の天空橋駅を訪れるためだ。

 

天空橋駅京急とモノレールの両方が通っているのでいつも通過しているけれどこれまで一度も降りたことがなかった。名前がかっこいいのでどんなところかずっと気になっていたのだ。レックウザがいそう。

 

京急空港線の路線図を見ていると、天空橋駅の隣に穴守稲荷駅というのを見つけた。稲荷というからにはきっと神社があるはず。羽田空港の近くに神社があるとは知らなかった。これもぜひ行ってみたい。

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ということで途中下車をして歩いてみた。

・品川駅→穴守稲荷駅 (京急線

穴守稲荷駅天空橋駅 (徒歩)

天空橋羽田空港第3ターミナル駅 (京急線

 

穴守稲荷駅

穴守稲荷駅に降り立つ。隣に大鳥居駅というのがあるが、もともと穴守稲荷の大きな鳥居があったかららしい。物は現存してないのに名前だけが残っている。都立大学駅都立大学がないみたいな話だ。調べるとこういった事例は他にも多いみたい。

 

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駅舎は神社に寄せた外観 

 

改札すぐのところにコンちゃんというかわいらしい狐の石像が鎮座していた。

 

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写真を撮っていると、駅から出てきた男性がコンちゃんの足元の賽銭をまるでティッシュを街で受け取るような自然さで回収し、ポケットに納め去っていった。

賽銭を投げる人は見たことあるけど、回収する人は見たことがないのでしばらく起こったことがよくわからなかった。人に見えたけど実は神的存在だったのかもしれない。

 

穴守稲荷神社

駅を出てまっすぐ歩くとすぐに神社に到着した。

 

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境内入ってすぐにシェアサイクルのポートがあった。寺社で見かけたのははじめてだ。

 

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拝殿でこれからの交通安全をお祈りする。

由緒を読んでいると、江戸時代以降大変賑わっていたそうだ。以下は引用。

 

羽田空港建設以前、羽田一帯は漁師町だった。穴守稲荷神社は、19世紀初頭に洪水から近隣一帯を守るために建立され、以来、五穀豊穣・商売繁盛の神として、日本全国から参拝者が後を絶たない人気神社として勇名を馳せた。

羽田-品川間を結ぶ京浜急行電鉄は、この神社の参拝用電車として誕生したほどだから、その隆盛ぶりが伺える。羽田一帯は、もともと穴守稲荷神社門前町でもあった。戦前は今の羽田空港内の位置に鎮座していた。

しかし、終戦を迎え、近隣地区の住民たちが強制退去されたのと同時に現在地へと移転。だが穴守稲荷神社の大鳥居だけは撤去されず、長らく旅客ターミナルビル前面に残されていた。何度か取り壊しや移転案も出たのだが、その度に工事関係者の事故が相次ぎ、祟りを恐れてか撤去出来ずにいたのである。その鳥居も1999年の羽田空港新滑走路整備時、ついに多摩川と海老取川の河口に移された。徒歩で行ける羽田空港の最端の場所で、大鳥居は今でも近隣一帯を見守っている。

 

乗ってきた京急空港線が、もともとは穴守稲荷への参拝用だったという歴史を知って驚いた。それほど信仰を集めていたとは。東京と成田山新勝寺を結ぶためにできた京成電鉄とか、川崎大師への参拝を目的とした京急大師線とか、鉄道と寺社はその成り立ちで深く結びついている。

 

感心していると、境内の奥のほうになにか巨大なものが見えた。近づいてみる。

 

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大きな岩でできた山だ。稲荷山というらしい。

2020年にできたとのことでめっちゃ最近。昔日のパワーを取り戻しつつあるぞ、穴守稲荷。

 

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頂上には穴守稲荷上社と御嶽神社

 

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駅名にも書いてあったヤマト運輸羽田クロノゲートが見える。巨大だ

 

はしゃいでいるうちに飛行機の時刻が迫っていた。先を急ぐ。

 

天空橋駅

神社を出て海老取川を渡ればもうそこは空港の敷地だ。飛行機も見える。

 

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天空橋駅

 

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あ、違った。

東京モノレール天空橋駅京急天空橋駅が工事現場の横にこじんまりとあった。

一日の乗降客数は京急天空橋駅のほうが多いけど、駅舎はモノレールのほうが立派だ。

 

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東京モノレール 天空橋駅

 

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京急 天空橋駅

 

工事中の縦じまの建物は、2020年に部分開業したハネダイノベーションシティ(通称:HICity)だった。シティを名乗っていることに納得する規模。

 

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この日は中にあるライブハウスのZepp Hanedaでイベントがあったようで賑わっていた。不遇な時期にオープンしてしまったが、落ち着いたら遊びに来たい。

 

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新設されたばかりのHICity口から京急に乗って空港へと向かった。 

 

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京急東京モノレールの赤と青が並んでいてきれい

 

急いでいたので結局駅名の由来になった天空橋を見るのを忘れてしまったが、羽田の歴史と今を知ることができてよかった。

 

これから羽田に行くときはたまに京急も利用してみたい。