埋物の庭

埋物の庭

街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

ちくま 教養 なまこ

先日蔵前のあたりを歩いているとき、筑摩書房を見つけた。ちくま学芸文庫とか出してるところ。

最近話題のGoogleマップ

 

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国道6号は仙台まで続く。


ビルの1階に筑摩書房の新刊が置いてあって、おもしろかったのでぺらぺらと眺めていると、スタッフの方から「PR誌ちくま」がもらえた。

 

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筑摩書房のwebサイトから。西村ツチカさんの表紙絵がかわいい。

 

定価で買うと100円+税なんだけど、本社ビルに来た本を買いそうな人には無料で配るという方針なのかもしれない。なるほど狙い通り本を買いたくなっている。

 

 2月号の戸田山和久さんの〈ひっこめ教養 7〉がおもしろかった。戸田山さんは科学哲学の専門家。ぼくは卒論を書くときに『論文の教室』を読んで、そのポップで明解な文章に感銘を受けた覚えがある。と同時に「夏にこの本を読みたかったよ…!」と大いに悔いたのも思い出したので、何事も事前のリサーチが大切だということを改めて胸に刻む。

 

〈ひっこめ教養 7〉では「教養」という言葉の意味に焦点が当たっている。いまのような「古今東西の学問・芸術に通じ、物知りで趣味がよい」といった個人の属性の意味で教養という言葉を用いるようになったのは、和辻哲郎のこの文章が第一号ではないかという筒井清忠さんの説が紹介されていた。

 

 

青空文庫で読んでみると大学を卒業して数年の心にもなかなか刺さるものがある。青春期を「心の動くままに味わいつくす」か、あるいは「厳粛な予想によって絶えず鍛練していく」か。前者だとなまこのような人間(!?)になっちゃうし、後者だとかかしのような人間になってしまう。和辻のおすすめはずばりタイトル通り「すべての芽を培え」ということ。それは放っておいてもやることはそのままやって、意識的にじゃないとやらないようなことは意識してやるということだ。なるほどなあ。筑摩書房さん、お世話になります。